「平家物語 巻1.2」 森村誠一 

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小学館 ★★


morimura-h.jpg巻1の副題は「新星 平清盛」巻2が「驕れる平氏」。清盛の誕生から保元・平治の乱、一門の躍進、小松殿(重盛)の死あたりまでです。

ちょっと真面目になりますが、このテの本を読むといつも思うのが「権力」というヌエの正体。たとえば院政。天皇ではなく上皇がなぜ実権を持つことができたのか、あるいは上皇・法皇(この場合は後白河)の権力を奪って天皇が実権を回復するとは、具体的にどういうことなのか。人間同士の、単なる性格的な力関係なのか、たとえば味方となった公家たちの数や財力なども多少は影響しているのか。

例えば摂関を独占していた藤原の主流にとって、実権が天皇から上皇に移るというのは致命的なことです。あくまで摂政関白とは、天皇制に依存しているわけですから。天皇(つまりは摂関)を無視して、どこかの院で政治を行われてはたまらない。でも、そうなってしまった。

ついでに言えば「政治を行う」とは、天皇なり上皇なり命令を下すということです。天皇なら詔勅とか宣旨。院庁なら院宣かな。あくまでシステム上は「天皇の代理である上皇・法皇の命令」という形だったはずです。で、上皇や法王に権威があって天皇側が弱体なら問題ないけど、たまたま意欲的な天皇が登場すると話がややこしい。それがまぁ保元の乱ということになるんでしょうね。

時代は違うけど、秀吉が蒲生氏郷の死後、会津ン十万石を改易しようとした際も、実権を持たないはずの関白秀次が秀吉の命令書に印を押さなかったという事件があった。ま、いろいろ事情はあったんでしょうが、たとえ実権がなくてもシステム的には関白のハンコがないと実効性を持たなかったわけです。もちろん、太閤に逆らった代償は破滅でしかありませんでしたが。

そうそう、この平家物語。ま、いかにも森村調の歴史モノです。好きな人もいるんでしょうけど。


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