「死国」 板東眞砂子

| コメント(0) | トラックバック(0)

マガジンハウス ★★

 

shikoku.jpg「蛇鏡」によく似た構成ですね。

四国は「死国」である。右回りの正統お遍路に対して、死んだ人の年の数だけ左回りに回ると死者が帰ってくる。何やかにやで四国の中心の村には死者がつぎつぎと蘇ってきて・・・。ま、そういうようなストーリーです。

私、板東眞砂子は好きですが、ホラーそのものはあまり興味がない。ですからストーリーなんかはどうでもよくて、むしろ文体とか人間描写のほうが面白い。この本でも東京へ出ていたっ女がちょっと出戻りして、野暮ったかった少女が都会的に変貌していて、あいかわらずの村の同級生なんかと親しんだり疎外感を感じたり。そういう都会vs田舎、現代vs過去みたいな構図が好きです。土俗描写にかけてはこの作者、名人ですから。

あんまり説明になってないなー。それでもけっこういい本だったと思います。ちなみに私の場合、この人の代表作は「山妣(やまはは)」と「善魂宿」。とくに山妣は雪深い山奥を舞台にしたドロドロの因果もので、まるで圓朝の「真景累ケ淵」ですね。蛇足ですが洋もの(旅涯ての地などイタリアもの)は閉口で、読了したことはありません。

トラックバック(0)

トラックバックURL: https://www.min6.com/mt/mt-tb.cgi/584

コメントする

アーカイブ

この記事について

このページは、kazが2004年10月 9日 18:24に書いた記事です。

ひとつ前の記事は「あいかわらず・・」です。

次の記事は「ただいまレベル12」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。