「自由の地を求めて」 ケン・フォレット

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新潮文庫 ★★★

 

  jiyuunochi.jpg文庫で上下二冊。大昔に読んだのもの再読、と思っていたが、奥付を見たら平成十二年。そんなに以前ではなかった。

ケン・フォレットって作家は出来不出来がある印象です。たとえば最近読んだ「鴉よ闇へ翔べ」なんかは超ひどかった。で、この本は割合いい方でしょう。内容は、そうですね・・前半はフォレット得意の近世英国もの。搾取に憤る、貧しく鼻っ柱の強いスコットランドの炭鉱夫の話です。で後半は甘っちょろい「ルーツ」+「コールドマウンテン」という感じかな。時代は独立戦争前夜です。

たいした小説でもないのになぜ読後がいいんだろう・・と考えてみると、やはり若い男女がプランテーションを逃亡して西部へ旅立つという設定なのかな。西部ったって、この頃はせいぜいアパラチアを越えるという程度ですが、でも夢がある。人がいなくて、川には魚がうようよしていて、山には鹿がゴロゴロ遊んでいて、梢には悠然とワシが飛翔。そんな辺境へ愛し合う健康な男女が旅立つ。もちろん弾薬用の鉛や農機具などたっぷり持っていないと、ひたすら悲惨な話になってしまいますが。

この小説の最後では、悪役はみんな死んでしまうし、新生活用に馬は10頭もいるし、インディアンは公正だし、西部の季節は春。男はたくましくて機転がきき、女は銃と乗馬が得意々々。ま、楽しそうな結末です。現実の悲惨さはまったくないからフラストレーション解消になるんでしょうね。これが厳冬だったり、装備がなかったり、食料が乏しかったりしたら、ひたすらみじめ。コールドマウンテンになってしまう。

(そうそう、私は見ていませんが映画のコールドマウンテンは男女がめでたく最後で会うらしいですね。小説コールドマウンテンではヒーローがあっさり殺されてしまいます。めぐり合うこともできません)

米国の地理にまったくくらいので、読み終えてから地図帳をくってみました。なるほど、バージニアの農園から馬車でリッチモンドへ南に下り、そこから西のシャーロッツビル。さらに西のスタントン(ストーントン)。その先で山脈にそって東北に上がって峠を越える。地図ではたいした距離に見えないんですが、何百キロもありますね。そりゃ大変だ。

別件ですが、この小説の主人公は流刑囚としてバージニアに送られます。で、徒刑の期間が7年。7年たつと自由人になれる。なるほど。渡航費の払えない一般の貧しい移民の場合は運賃後払いの形で行き、4~5年間の徒弟奉公という形をとる。奉公期間が終わると自由。うまくいくと手に職もつくし、開業資金もため込めるかもしれない。で、もちろん黒人奴隷もいます。こっちは期限なし。原則として一生奉公。というか権利ある人間としては認められない。ま、いろいろです。

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