「無理」 奥田英朗

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★★★ 文藝春秋

muri.jpgこれも初めての作者。なぜか図書館の本棚に3冊あったので、たぶん人気の本なんでしょう。気になって借り出してみました。

面白いです。飽きずに読みました。内容は東北の小さな市(最近町村合併したばかり)に暮らす人々のお話。どうしようもない閉塞感です。かなり実態に近そう。

一人は市役所のケースワーカー。奥さんは出ていきました。上からは生活保護の件数を減らせと圧力かけられている。相談に乗っている申請者たちはみんな身勝手で、楽して遊ぼうとしか考えていない。やる気がないわけではないけど、だんだんウンザリしている。パチンコ屋の駐車場で、若妻らしい女の密会現場をみて、心がときめいてしまう。

一人は暴走族あがりの若い男。別れたモト妻はぷらぷら遊んでいて、生活保護を打ち切られそうなので金を入れるか幼児を預かれと勝手なことをいう。族の先輩がやっている怪しい会社で検針メーターをせっせと販売している。もちろん年寄り相手、詐欺まがいの商法です。そんな仕事や会社なのに、続けているとついつい仕事(つまりバアさん連中を騙す)に熱が入ってくる。

一人は女子高校生。こんな田舎町を出て行くために、なんとか東京のマシな大学に合格しようと計画している。田舎は嫌いだ。絶対に出て行く。脱出するぞ。東京の大学入ったらイケメンの男と出会って初体験するんだ。こんな田舎でアホな男たちとつきあってたまるか。

一人はスーパーの保安員。万引き犯を見張ってつかまえるのが仕事。正社員なんかじゃないです。若くはないし、給料安いし、亭主はいないし。一人でやってくしかない。クルマもないので真冬でも自転車こいで通勤する毎日。とある宗教団体に出入りしているときだけが幸せ。

一人は親の地盤を次いだ市議会議員。裏で産廃関係の会社をやっていて、多少の悪いことは当然ながらやってます。奥さんはアル中で壊れかかっている。こんな町でいつまで議員をやっていても出口は見えない。はやく県会に打って出たい。

という5人。どうしようもない逃げ場のない地方の現実が非常にリアルに描かれています。地方在住の作家かなと思ったら、東京の人らしいですね。容赦なく、ズバッと描いています。

で、どうしようなもい5人+アルファは、どうしようなもい終末へと向かっていく。最後にドッカーンとカタルシス的なハプニングがあり、もちろん、解決なんて何もありません。あるわけ、ないか。

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書籍「無理/奥田 英朗著」★★★☆ 奥田 英朗著 , 文藝春秋、2012/6/8 ( 428ページ/ 358ページ , 各610 円) 続きを読む

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