「アトランティスのこころ」 スティーヴン・キング

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★★★ 新潮社

代表作の一つとは聞いていましたが、読んだのはこれが初回。

atlantis.jpg上下2冊ではあるものの、長編ではなく中短編が5つ。最初の中編に登場した人物が、なんとなくリレーのようにストーリーの中心になります。
いちばん長い「黄色いコートの下衆男たち」は、スティーヴンおなじみの少年と仲間たちと自転車と、そして影のモンスターたち。悪くないお話でしたが、私はむしろ2番目の「アトランティスのハーツ」が心に響きました。

「アトランティスのハーツ」は田舎の大学の寮が舞台です。ちょうどベトナム戦争。大学を落第すればたぶん徴兵が待っています。学生でい続けられるか、それともベトナムで殺されるか、それがいやなら敵を殺すか。ほとんど「非常時」なんですが、まだ10代の寮生たちは目をそむけ、疫病のように流行したカードゲームに熱中します。

私たちの学生時代だったら、マージャンかパチンコか、年代によってはPCゲームか。こんなことを続けていたら破滅する・・・と自覚しつつも、でも抜け出せない。試験前だというのに、また自堕落に時間を費やしてしまう。

登場する寮生たちがいいですね。みんな個性があって生き生きしている。イヤな奴、厭味なやつ、頭はいいのに破滅しそうなやつ、ガリ勉の優等生タイプ、自意識過剰の意地っ張り男。「友情なんて、ヘッ!」という顔をしていますが、でもイザとなると、やはり友人のために働きます。

3番目、4番目もベトナム戦争が題材。ベトナム還りの兵士たちのお話です。

書評などでは最終章が素晴らしいとかいう雰囲気ですが、わたしはあまり感心しませんでした。ちょっと甘いんじゃないの。スティーヴン・キングにしても、ちょっとご都合主義的な・・・。

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