「東眺西望」 陳舜臣

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★★ たちばな出版

tochosaibo.jpg歴史エッセイとでもいうべきなんでしょうね。アジアを中心として古今の歴史を概観。きちんと首尾の整ったものではなく、わりあいランダムに思いついたこと、気がついたことの断片、覚書といった趣です。深く考えずサーッと読むのにふさわしい。ベッドサイドに置いて拾い読みしました。

当たり前の話ですが、よく読み深く知っている人です。陳舜臣のような作家をわざわざ褒めるほうがヘンか。

面白かったのは中国各王朝の性格付け。たとえば殷は厳しい強圧政権であり、その後の周は庶民にとって暮らしやすかったはず。唐は強大な版図を誇ったけれども内実は貧しく、むしろ戦争に負け続けの宋のほうが経済は豊かだったとか。もし過去に戻って暮らすのなら絶対に宋がおすすめ。

こうしたあたりの指摘は目からウロコの欠片が落ちる感じです。経済の観点から中国王朝を見たことはなかったもんなあ。