「落日の譜 雁金準一物語」 団 鬼六

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★★★ 筑摩書房

rakujitsunofu.jpg明治期の碁打ち・雁金準一のお話です。よくは知らない棋士です。人柄も良かったようですが、当時の本因坊家の跡目をめぐって確執があり、結果的に本因坊秀哉にはじき出される形で、日の目を見ることなく後世を送った。不遇の人生でしょうね。

でも強さは知られていたんで、小新聞だった読売の正力松太郎が因縁の二人の対決(大正の大争碁)を計画し、これが大当たり。棋譜の掲載で新聞売り上げが一気に三倍に増えたってんですから、やっぱ正力という人は商売のセンスがあったんですね。

で、なぜか本因坊秀哉という名前にはなんか覚えがある。どこで知ったか・・と考えると、たぶん子供の頃に読んだ村松梢風の「近世名勝負物語」、あそこに登場したんじゃないだろうか。調べてみたら「近世名勝負物語」の中に「本因坊物語」というのもあるらしい。これでしょうね、きっと。

村松梢風の本は父親の本棚にありました。こっそり抜き出して読んだりしてたんです。

秀哉という人、明治から昭和にかけて本因坊名人だった実力者ですが、結果的にこの人が名跡を譲渡する形で現在の実力制本因坊位になった。そういう功績ある棋士です。ただ人間的にはいろいろ悪口いわれるタイプだったようです。本因坊秀哉、雁金準一。どちらも名手、ちょっとこすっからい男とちょっと世渡りの下手な男、因縁のストーリーです。

あいにく未完で、肝心の因縁対局の場面まで到達していませんが、それでも明治期の碁の歴史として面白い本でした。それにしても棋界の連中、しょっちゅうケンカしているなあ。分裂したり謀叛があったり策謀があったり。ま、どこの団体だって同じようなものかもしれません。

そうそう。団鬼六をまともに読むのはこれが初めて。こういう文体で(も)書く人だったんだ。

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