「日本文化の原型 近世庶民文化史」 青木美智男

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nihonbunkano.jpg★★★ 小学館

「日本の歴史 近世庶民文化史」の別巻。全集は未読ですが、とりあえず別巻だけ借り出してみました。

面白い本でした。研究書という感じではなく読みやすいです。

要するに今の日本の文化、江戸時代にできあがったものらしいですね。それも元禄・天明の頃かな。戦国の世が落ち着いて、農民は武器を取り上げられ、自分の職の枠の中で向上を目指すしかなくなる。百姓も商人も、せめて人間らしい暮らしをし、より豊かになろうと必死になる。

そうやって、衣食住がガラリと変化します。衣では麻から木綿への移行。食では醤油と清酒による質の向上と多彩化。住まいもシンプルな掘立式から手のかかる礎石式へと変わっていきます。

読み書きの必要性も強まってきますね。基礎の読み書き算盤くらいできなくては上手な商売ができない。まったく無知では農民も損してしまう。管理者である武士と村役人の連絡には文書でのやりとりが必須になる。こうして寺子屋が増え、必要に応じて紙や筆、硯も生産される。ただしみんな勉強は嫌いなので、最低限覚えたらやめる連中が多かった。

江戸時代、なんか閉鎖的で面白みのない時代の印象が強いですが、なんといっても長期間の平和が保たれた。各地の藩は必死に殖産興業を図ったし、膨大な消費圏である江戸の誕生によって商業都市大阪が栄え、しだいに関東の近郊も力を付けてきた。

初期の頃を伝える資料に「おあむ物語」というのがあるらしいです。戦国の世を経験して(落城経験。敵の首化粧も経験)江戸初期まで生きた女性の説教話の記録。

13歳で作ってもらったたった一枚の着物(手作のはなぞめの帷子)を17歳まで着たとか(さすがにスネが出て恥ずかしかった)。一応は大垣の三百石取りの武将の娘らしいんですが。食事も質素で基本は雑炊、日に2食。ただし兄がたまに山へ鉄鉋撃ちに行く日だけは特例で菜飯を作ってもらったそうです。ご馳走だったんでしょうね。だから「にいさま、狩に行かないの?」と催促ばっかりしてた。

こういう話、実感があって楽しいですね。

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