「岳物語 / 続岳物語」椎名誠

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★★★ 集英社

gakumonogatari.jpg以前から本棚にあるのは知っていましたが、ついに手にとって読みました。

うーん。成長する少年、父、ついでに妻。けっこういい味のお話なんですが、全面的に「感動した!」とは言いたくない気分がある。岳はいかにも能天気な小学生で、可愛いいとも言えるけど、傍から見たら非常に困った悪ガキでもある。父親にしても、いい父親なのか、それとも自分勝手な押しつけ男なのか判断に迷う部分もある。

理由は何なんでしょうかね。なんか特定の価値観をやんわり押しつけられたような・・・。


話は逸れますが、この小説(私小説?)に登場するカヌー乗りの野田知佑は非常に気に入っている書き手です。乾いた感じのスッキリした叙情。ハードボイルドですね。あんまり書くのが好きではないような気配もありますが、とりわけ「ユーコン漂流」はよかった。

自分勝手で、エゴイストで、もちろんそれは百も承知。とにかく好きなことだけやって生きていきたい。カヌーに乗り、魚を採り、一升飯を食らい、酒をあおり、時には怒り狂うグリズリーを銃で追っ払い、雨が降ればテントの中で本を読む。運が悪ければのたれ死にも覚悟。

椎名誠の本の中に登場する野田知佑、長いカヌーから帰ってくるとげっそり痩せこけていることが多いようです。そりゃそうでしょう。3カ月も川を漂っていたら、連日の重労働と単調な生活で痩せもする。でも「ユーコン漂流」の中ではほとんど弱音を吐いていません。好きなことやってるんだから、文句いっちゃ罰が当たる・・ということなんでしょうか。

今は四国あたりで川の子供教室を主催してると聞いてましたが、 ネットの噂ではアルコール依存症になったとかならないとか(こういう不確認情報はいけないですね。削除)。若い頃からずいぶん飲んでるふうだったし、ま、仮にそうでも仕方ないですか。カッコいい人の老後は難しいです。

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このページは、kazが2013年11月15日 16:09に書いた記事です。

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