「旅へ --新・放浪記(1)」野田知佑

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tabihe.jpg★★★ 文春文庫

廉価購入本、その2。初読です。

いいですね。大学を出たけど、何かを求め続けて、でも得られない青年。自由にあこがれて放浪している。いろいろやったあげく日本を脱出しようと決めて、せっせと金を稼ぐ。稼いだ金を持って(もちろん定番のソ連経由で)旅立つ。念願の自由を得る。でもだからといって完全に幸福になれるわけではありません

少し時代は違いますが、わかります。とにかく日本を出たかった。でも旅費がない。貧乏ニッポンの青年にとって渡航費用は高額だったんです。親に言えば出してもらえるような時代じゃありません。フルブライトに受かれば米国に行ける。サンケイスカラシップなんてのもあった。でも、どっちも成績が超優良でないと無理。勉強してない学生には不可能な話です。友達とグジグジ言いながら、ひたすら喫茶店で時間をつぶしていました。懐かしい青春時代なんていうもんじゃありません。無意味で自堕落で恥ずかしいような日々です。

現実の野田知佑青年は新聞販売店でアルバイトをし、実入りのいい英字新聞の勧誘で稼ぐ。精神的には辛いけど、勧誘はいいお金になった。そうやって現実的な一歩を踏み出した。

フィンランド、ギリシャ、マケドニア、フランス・・このへんの放浪談は楽しいです。精神的にはかなり辛そうだけど、でも逞しい。沢木耕太郎ほどスカシてないで、けっこうウジウジ悩んでいます。で、結局は日本に舞い戻る。舞い戻って、実家の近くに帰って一応は真面目に英語教師なんかもする。東京に戻ってカメラ雑誌の社員になる。つい、結婚もしてしまう。でもネクタイ締めたサラリーマン生活が堪えられない。大酒を飲むようになる。カヌーで遊ぶ楽しさを発見する。そして、フリーライター。

こうして、野田知佑という人間ができあがった。

読後感は非常に良し。また読みたいと思える一冊でした。

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