「人類20万年 遙かなる旅路」アリス・ロバーツ

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 ★★★ 文藝春秋

jinrui20mannen.jpgNHKでも放映されたBBC科学ドキュメンタリーを本にしたもののようです。

20万年前ほどにアフリカの大地溝帯(たぶん)で誕生した現世人類。6万年ほど前にアフリカを出て、そこから小さなバンドが世界中に拡散した。いわゆる「アフリカ単一起源説」ですが、いまのところこの説が主流のようです。

で、そこからどうやってどこへ拡散したのた。面白かったのはスエズ地峡ではなく紅海の南端あたりを通過した連中のほうが成功したという説。北方ルートは沙漠地帯が障壁になっていた可能性がある。しかし紅海南端ルートだとアラビア半島の海沿いの緑地伝いに動けたかもしれない。

へえー、すると当時はアラビア半島と繋がってたんでしょうか。原始的ながら舟を使ったという説もあるようですが、はたして足を濡らさずに渡れたのかどうか。

もうひとつ意外だったのは、アラスカから北米への南下ルート。従来の定説では中央部の巨大な氷河と氷河の間の回廊を伝って南下という感じで、すっかり信用してましたが、実は太平洋沿いという説もあるんだそうです。海沿いは氷河の撤退が早かったというんですね。ワカメや貝を採ったりアザラシ殺したりしながらブラブラと拡散した。

また、いまの主流はもちろん「アフリカ単一起源説」ですが、実は「多地域進化説」もまだまだ根強い。またアフリカを出たのが1回だったのか、それとも何回もチャンスがあったのか。そのへんもまだ決定的ではない。世界中にはいろんな学者がいます。

そうそう、もうひとつ。狩猟から農耕への変化は必ずしも従来説が正しいとは限らない。従来説とは、貧しい狩猟民族が農耕を発見してよろこんで定住し、発展して小社会ができたという考え方。

まったく反対に、狩猟文化にもある程度の社会(や信仰)があり、なにか必要性に迫られて農耕が発展したかもしれないというんですね。農耕ってのが、それほどたいしたもんじゃないということです。狩猟生活も悪くはなかった。

実際、農業が始まると栄養状態は悪くなり、病気は増え、いろいろ不便なことが多くなったそうです。でも一応安定してたんで人口は一気に増えた。で、仕方ないから農耕を続ける羽目になった。なんかジャレド・ダイアモンドも同じような趣旨のこと書いてなかったっけ。

アリス・ロバーツってのは、いわゆるサイエンス・コミュニケーターというんでしょうか。あまり専門的ではなく、かなりかみ砕いた展開の本でした。まったく関係ないけどけっこう若くて美人です。いかにもBBCが喜びそうな人選。

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