「皆川博子コレクション6 鶴屋南北冥府巡」皆川博子

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★★★ 出版芸術
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こんな選集が刊行されていたんですね。知りませんでしたが皆川博子ってのは膨大な数の小説を書いていて、しかも絶版が多いらしい。面白い作家と思うのですが、あんまり売れないと評価されているのか。それとも単に不遇なのか。

で、この選集6。「鶴屋南北冥府巡」と「二人阿国」。他にも数本の短編が選ばれています。

「鶴屋南北冥府巡」はタイトル通り、鶴屋南北が主人公。東海道四谷怪談が南北ですね。名前だけは有名ですが、どういう人物なのかはあまり知られていません。デビューするまでの人生はほとんど未詳らしいです。えーと、立作者になったのは39歳か。遅咲き。

で、野心に燃える若いころの南北と、南北がほれ込んだ初代尾上松助という役者の絡まりが内容です。当時の役者、ほとんどが若い頃は色子だった。色子ってのは陰間です。色を売る若者。色子として身を売りながら贔屓をつかんだり、芸を磨いたり。役者同士、先輩後輩の男色関係も常識だった。

で、この二人、いろいろ世間をしくじって大阪へ逃げる。その大阪での逼塞生活が「冥府巡」です。悲惨というかデガダンの極というか、めちゃくちゃ。このあたりの描写が皆川博子の真骨頂。

「二人阿国」は本物の阿国と、それに対抗する遊女歌舞伎の若い踊り手。出雲の阿国vs佐渡島阿国。出雲の阿国そのものが非常に資料に乏しいらしいです。だから有吉佐和子の「出雲の阿国」もあるし、皆川博子の「二人阿国」も成立する。当時の踊り子と遊女の境遇とか、なかなか雰囲気のある小説でした。


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