「11/22/63」上 スティーヴン・キング

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★★ 文藝春秋
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わりあい最近の刊行のようです。タイムトンネルもので、タイトルの数字は「63年11月22日」。ケネディ暗殺。

読み終えてからまだ下巻があることに気付きました。失敗した。分冊の片方だけ借りるってこと、まずしないんですけど。

で、上巻では主人公がトンネルを潜って過去へ行き、そこで5年ほど暮らしたあたりでおわり。設定として「タイムトンネルは過去の特定の日時にだけ通じている」「過去で何年過ごしても、現在に戻ると2分しか経過していない」「過去には意志があり、変更の行為に対して抵抗する」などなど。

随所にスティーヴン・キングらしさがあって悪くはないですが、それにしても米国人にとってケネディ暗殺ってのは大きな事件なんだなあ。ケネディが殺されなかったら世界が良くなったかどうか疑問なものの、それでもベトナム戦争とか、冷戦の推移、その後の9.11とか、アホの息子ブッシュとか、いろいろ違った世界になった可能性はある。

そういえば好きな作家であるコニー・ウィリスもタイタニックものを書いています。タイタニックの沈没は英米にとってそんなに大事件だったのか。そこがアヤがわからないので、この本(航路)もイマイチ共感できなかった。

ふと、もし日本だったら何か歴史上の重大な「IF」になるんだろうとも考えました。うーん、なんですかね。やはり本能寺だろうか。他にもいろいろありそうですが、さしたるインパクトはない。もし信長が生き延びていたら、かなり日本は変わる可能性があります。天皇制をひっくりかえしたか。あるいはフィリピン、インドシナあたりまで攻め込んだか。なんなとく朝鮮中国へは行かなかった気がする。どっちにしても秀吉の晩年ほどメチャクチャにはならなかったでしょう、たぶん。

いちはやく産業革命にすすんでアジアの強大国になり、結果的に大戦争して日本が滅びたかもしれませんね。そんな可能性もある。少なくとも保守ではなく革新。農本主義ではなく商業貿易。後の徳川時代とはかなり性格の異なる国家にはなったでしょう。それが日本にとって幸福か不幸かはわかりません。