「一中尉の東南アジア軍政日記」榊原政春

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★★ 草思社
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以前読んだ「徳川慶喜家の子ども部屋」は非常に面白い本でしたが、その著者・喜佐子が嫁いだのは越後高田藩の榊原政春。ようするに当時の華族です。東大卒の華族といっても戦争が近くなると徴兵にとられ、しばらくの間は一般兵士と同じで殴られて暮らした

少尉となってからは東京勤務。しかし開戦寸前に南方軍総司令部付となって移動。最初は報道部担当だったようです。しばらくすると軍政担当。サイゴンあたりを拠点としてスマトラからフィリピン、シンガポールとあちこち飛び回り、仕事のかたわら感想を平易にメモした。

徴兵前は台湾の国策会社に勤務もしていたし、視野は広いですね。ただし根幹はあくまで「大東亜共栄圏」。これは仕方ないことです。大東亜共栄圏達成のためには現地を搾取する必要もあるし、軍の力で弾圧することも必要。マニラあたりの米国に甘やかされた市民は論外。仏印、マレーでも最大の敵は強固な華僑ネットワークである。内地では平等とか温和政策とかいう連中がいるけどとんでもない。しばらくは強権政治が必要だ。

立場なりに合理的に判断している。しかし東京の本部の方針にはかなり批判的だし、現地でもいい気になって増長している日本軍には嘆いています。ストレスがいろいろあったらしい。当時のインテリ軍人がどんなことを考えていたか、如実に理解できます。

なかなか面白い日記でしたが、あいにく期限がきて、半分ほど読んだ段階で返却。


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