「大聖堂」レイモンド・カーヴァー

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★★★★ 中央公論新社
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村上春樹がよく言及する作家レイモンド・カーヴァーの短編集。まったく読んだことないと思っていましたが「ささやかだけど、役にたつこと」だけはたぶん既読。パン屋と誕生ケーキと交通事故の話です。ただし後半の数ページはなんか違っていたような気がする。

カーヴァーってのは発表後もまめに手をいれる人だったらしいので、その違う版だっだのか。暗い結末だったような記憶でしたが、この翻訳ライブラリー版は少し明るく締めくくっている。不明。

粒選り良質の短編が揃っています。特にオチはないけど柔らかく坦々と深淵を描く。アル中、離婚、失業を描いたものが多い。★3つにするか4つにするか迷うところですが、えい、オマケだ。大盤振る舞いで★4つにしてしまえ。

中でもアリゾナの賃貸アパートに引っ越してきた家族を描いた「」、依存症治療センターで出会った煙突掃除夫の話「ぼくが電話をかけている場所」、余韻の残る短編です。カーヴァーってのはいい作家ですね。ただし表題の「大聖堂」はあまり好みに合いませんでした。

また、本棚にあったら借り出してみようかな。