「戦争と平和」トルストイ

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★★★★ 新潮社
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何十年ぶりかに「戦争と平和」を少しずつ読みましたが、読み進むにつれてストーリーの断片を思い出してくる。

なるほど、たしかアンドレイはナターシャと婚約するんだったか。でも若いナターシャが駆け落ちして、婚約は解消。で、なんやかんやあってピエールとナターシャが一緒になるんだったか。ピエールってのは、何回読んでもイライラする困ったちゃんです。

ボルコンスキー家の不器量なマリアは、たしかニコライ・ロストフと結婚したような。じゃあソーニャはどうなるのか。これが記憶から消えている。そのまま日陰の花のように暮らしたんだったか。で、ロストフ家の長女、空気を読めない長女のヴェーラは、おそらく実際的なベルグと結婚する。たぶん、似合いの夫婦なんでしょう。

そうすると最初のほうで登場したロストフ家の居候ボリスはどうなったのか。これも実際的なしっかり者ですから、それなりに上手に世渡りするのかな。出世して、頑張っている没落貴族の母親を幸せにしてあげる。

貧乏な母親といえば、この小説にはドーロホフという魅力的な悪役がいます。この人の家も貧乏。後半はどうなったんだろう。記憶なし。

それにしても貴族が多い。知識階級=貴族という感じ。貴族でないのは商人か農奴で、こっちは一気に無知階級になる。で、戦争と平和はほぼすべてが貴族階級のお話ですね。ごく一部が農奴階級とのお話。貴族といっても、顕官もいれば貧乏人もいる。ドーロホフなんてのも、なんとなく没落貴族のような印象があります。そうじゃないと、たぶん賭博仲間と付き合ってもらえないでしょうね。

ニコライと軍でいっしょだったデニーソフという士官なんかも、気の迷いでナターシャに求婚してるから、たぶん末端の貴族階級なんでしょうね。で、第4巻では将軍になっている。将軍?と驚きますが、なんか佐官とか将官がすべからく大安売りです。近代的な軍制度が先入観にあると、当時のこうした人事のいいかげんさが理解できません。たしかボリスもすぐ大佐かなんかになってるし。


で、何週かけたんだか、なんとか読み切りました。もちろん著者が延々と繰り延べる愛とか人生とかの長大演説部分はかなりいいかげんな読み方です。1行々々しっかりなんてとんでもない。

思い込みと相違して意外だったこと。まずソーニャですが、容貌について「丸顔」という描写あり。へー、そうだったんだ。細っこいネコ娘かと思い込んでいた。また天然系色男のアナトーリですが、これも後半で「太っている」という描写を発見。なるほどねえ。

それからナターシャは駆け落ち実行犯ではなかった。未遂。しかしソーニャはやはり貧乏籤をひきます。「あだ花」なんだそうです。あっさり、ひどい決めつけだなあ。

総じてナターシャにしてソーニャにしてもアンドレイにしても、もちろんマリアとかニコライとか、完全な人物として描かれている登場人物は一人もいません。みんな狭量な部分もあるし、意地悪だったり自己本位だったり。その代わりエレンとかアナトーリとかイッポリートとか、悪役も案外いい味があるじゃないかと思わせたりする。

読み終わって、やれやれとページを閉じて、なかなか大変だったけど通読できてよかった。こんな本を採点するのは無理があるんですが、ま、★3というわけにもいかない。やはり★4ということになるんでしょうね。それにしてもなぜ著者は「トルストイ」なんだろ。「レフ・トルストイ」ではないんですね。


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