「悪童日記」アゴタ・クリストフ

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★★★ 早川書房
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シリーズらしい文庫3冊が本棚に積まれていたので、とりあえず刊行の古いものから手にとりました。なるほど。こんな作家がいたんだ。

この本を説明するのは難しいです。たぶんハンガリーの田舎らしい場所が舞台。時代は第二次大戦の真っ最中です。そこへ母親に連れられて双子の男の子がやってくる。都会ではもう食料が手に入らない。田舎ならまだなんとか食べられる。アルプスの少女ハイジの少年版とも言えるし、あるいは佐賀へひきとられたB&Bの島田洋七。ただし二人組で、洋七が二人いる

ハイジの祖父は村でも嫌われ者の孤独な依怙地だったし、ガバイ婆さんは貧しいながらも楽天的な節約合理主義者でした。で、「悪童日記」の婆さんは超絶的に強欲で暴力的で、まるで魔女です。実際、亭主を殺したという黒い噂もある。ただし働くことは厭わない。「働からざるもの食うべからず」を唱えながら孫たちを過酷にこき使う。

双子はくじけません。お互いにサポートしあいながら食い物を奪い、自立し、厳しい自主トレに励み、盗み見をし、万引きをし、好色な司祭を脅し、しかし憐憫の施しものは受けない。二人だけに通じる誇りを持って生きている。そして、この二人の(どちらが書いたかはわからない)日記の形式でお話は進みます。

文体がなかなかいいですね。子供の文章のようにシンプルで、乾いている。感情を記述しない。事実だけを書く。暴力があり、血が流れ、飢え、ちょっとした善意とそれを大きく越える悪意。

面白い本に出会った気がします。★4つにマケてもいいような気もします。続編も読む予定。



「ふたりの証拠」アゴタ・クリストフ
★★ 早川書房
「第三の嘘」アゴタ・クリストフ
★★ 早川書房

futarinoshoko.jpg続編です。

ま、要するに双子の二人が書き綴ったノートはいったい何だったのか。それは真実の記録だったのか、それとも・・・・というお話。

「ふたりの証拠」は双子の片割れが国境を越えて何年後かのストーリー。そしてさらに何十年か経過したのが「第三の嘘」。ちょっと雰囲気は違いますが、芥川の「藪の中」ですね。どう解釈するか、どう受け止めるかはたぶん自由。なかなか面白い小説でした。

「第三の嘘」後にもまた刊行された本があるらしいです。ただし続編とも言い切れない模様。しかし舞台や時代は同じなのかな。




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