「世界の誕生日」アーシュラ・K・ル・グィン

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★★★ 早川書房
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ル・グィンは大好きな作家の一人です。大昔に読んだ短編集「風の十二方位」は良かったなあ。もちろん長編もいいです。西海岸あたりの未来を舞台にした「オールウェイズ・カミングホーム」以外は()みんな好きです。ゲド戦記ものもいいし、ハイニッシュとかいう一連のシリーズもいい。男になるか女になるか未定の両性人の「闇の左手」とか。

で、「世界の誕生日」は短編集です。収められたほとんどがハイニッシュもの。かつて栄えた人類が宇宙に散らばって、そこで独自の文明を築き上げる。成功した世界もあるし、原始的な段階に止まった惑星もある。

表題の「世界の誕生日」は、インカとか古代エジプトあたりをモデルにした神権政治の国のお話で、ちょっと長めの中編。皇帝(神)の娘と息子が結婚して次の神になる。そこへやはりエクーメンふうの使節が宇宙船で来るんですが、しかしこの連中は何もできない。そういう意味ではハイニッシュシリーズとは違うのかな。何もしないけど、宇宙船の来訪をきっかけに神の帝国は崩壊してしまう。

「世界の誕生日」というのは、皇帝(つまり神)が毎年決まった日に踊ることで、太陽の運行が定まる。つまり世界を毎年々々誕生させる。そういう意味。どうもかなり暑い世界のようです。宇宙船で来た連中はみんな皮膚ガンになってしまう。

「オールウェイズ・カミングホーム」はフェミニズムというか、要するに女臭さが強すぎたんでしょうね。アーシュラおばさん、女同士の関係を描くとベッタリ濃密すぎてどうも辟易します。