「森の人々」ハニヤ・ヤナギハラ

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★★★ 光文社
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密林生活をテーマにしたものかな・・と借り出してみたら、意外や実話をミックスさせた奇妙なSFだった。

SFというのも少し違うかな。不老不死というSF部分もあるけど、肝心なのは文明と始原の対比とでもいうか、ま、ちょっと違う部分にあるようです。

後にノーベル医学賞受賞者となる、好かんタイプの高慢ちき若い男がなぜか赤道直下、孤絶した太平洋の島へ行ってフィールドリサーチ。そこには不思議な未開の島があり、深い森の奥には怪しげな連中がくらしている。しかも人間だけでなく、ヒトともサルともつかない不思議な生き物もいて、カメもいて・・・。

ということで、だんだん不老不死の秘密がかいま見えてくる。しかしそれはさして重要なテーマではないらしく、じゃ何が重要なんだ?というとうまく説明できない。少なくともここではない。すまんです。

ま、けっこう面白い本でした。たぶん日系らしいこの作者の処女作。「実話」の部分というのは、実際に南の島でクールー病を発見した学者がいたらしい。ヤコブとか狂牛病と同じで、脳のプリオン体がなんたらという病気らしいです。脳を食べると食べた人間もワヤになる。食人習慣のある島では、そうした病気が発生していた。で、その発見者のその研究者も実際ノーベル賞をもらったし、その後は性的児童虐待で有罪となっています。このへんが小説と同じ。

ちなみに「作者は女性かな」と思ったらピンゴ!大当たり。密林生活の過酷さの描写が妙にきれいなんです。たいていの男性作家ならこのへん、もっともっと汚く惨めにする。


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