「図説ヴィクトリア女王」デボラ・ジャッフェ

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原書房★★★
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副題は「英国の近代化をなしとげた女帝」。女王が「なしとげた」のか、たまたま「なしとげられた」時の女王だったのか。そのへんは諸説ありそうですが、ま、どうでもいい。あのエリザベス一世だって、積極的になにをした人なのか。むしろ「なにもしなかった」のが功績かもしれないし。

ずいぶん前に連続ドラマの「ダウントンアビー」にはまって(なかなか良かった。BBC制作だったかな)、その流れで次の「女王ヴィクトリア」も見たんですが、こっちはかなり質が落ちた。なにしろ女王がいつも胸を半分だしているようなドレスです。正装だったらそれに近い露出もあったでしょうが、普段着では無理でしょう。なんせヴィクトリア時代。おまけにサービスのつもりか、すぐ亭主のアルバートといちゃいちゃする。

ま、それやこれやでヴィクトリア女王に少し興味を持ったわけです。なーんにも知らないんですよね。小柄だった。太っていた。やたら子供を産んだ。長生きだった。喪服だった。ヨーロッパ中の王室と婚姻をむすんだ。で、大英帝国は近代化して大繁栄し、世界中の何割かを占有してしまった。パックスブリタニカ。

「図説」というコンセプトは良かったです。写真や絵が豊富な本で、著者はそもそもカメラマンらしい。グダグダ書かれるより、画像イメージは直截に当時の情報を伝えてくれる。

で、あらたにわかったこと。ヴィクトリアはパーマーストン(アヘン戦争。クリミア戦争)は大っ嫌いだった。ディズレーリー(スエズ運河買収、インド帝国成立)を気に入っていた。どうして嫌いだったり好きだったりしたのかというと、単に言葉づかいが無礼だったとか、女王のいうことを聞かないからとか。ま、そんな雰囲気です。ヴィクトリアはかなりワガママな人だった。おまけに短気だった。

幸いなことに亭主のアルバートというのが冷静沈着、いかにもドイツ人ふうに理詰め。よくしたもんです。おまけにこの夫婦は仲がよかった。一説によると、女王に口出しさせないためにせっせと妊娠させ続けたとも言われている。お腹がふくらむと人前には出ないのが礼儀でしたから邪魔されない。そのへんは保守的な人だったらしい。だから晩年、若い孫娘なんかが妊娠しているのに平気で体の線の出るドレスを着るのを嫌った。

良くも悪しくも英国のおばあちゃんだったんでしょうね。1901年没。その葬送の鐘と同時に輝かしい大英帝国の落日もまた始まった。あるいは陰りをおびた。そんなふうに記した本を読んだことがあります。あっ、ちなみにですが、写真に残った実際のヴィクトリアは表紙の絵とはかなり雰囲気が違います。どこにでもいそうな、あまり美人ではないふつうのオバはんです。そう。はじめて写真に撮られた君主でもあったわけです。


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