「最悪の将軍」朝井まかて

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集英社★★★
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この作家は初めて。新聞に連載をしていることは知っていますが、だいたい連載の新聞小説ってのは読んだことがない。毎日少しずつ・・というのが性分にあわないです。

で、将軍で最悪といったら、ま、数人しか候補にあがりません。義満とか義政とかもそうなんでしょうけど、ちょっと認知度がない。やはりふつうは徳川でしょう。犬公方か、でなかったらオットセイ公方。場合によっては家定も入るか。それくらい。


なるほど、なかなか達者な人です。通説をうまくひっくり返している。下馬将軍といわれるほど権勢を振るった酒井忠清をちょっと下げて、そのかわり次の堀田正俊を持ち上げる。ついでに母の桂昌院(お玉の方)を憎めない陽性の女性に設定し、正室の鷹司信子は好奇心あふれる賢い女性。

そして、みんながいちばん興味のある柳沢吉保は、ま、ごく普通の気の利く能吏でした。とくに悪賢くもなく、とくに善良というわけでもなし。ごく善意で発した犬猫保護策が誤解されて騒動になる。心得違いの逆上大名に切腹させたら、なぜか大騒ぎの討ち入り事件になる。なんかうまくいかない。

実際、飢饉やら噴火、地震、大火などなど、次から次へと災難があった。みーんな将軍の責任と言われれば、ま、仕方ないですね。平成の御世だって天皇は引退するし、上に立つ総理に徳がないんで次から次へと台風やら地震やら天変地異。後の世に「悪政もりかけ時代」なんて言われるかもしれません。

そうそう。この小説は中山義秀文学賞をもらったそうです。前にNHKの(ときどき作る)良質ドラマ「眩~北斎の娘~」も、この人のが原作らしいですね。あのドラマは宮﨑あおい、長塚京三、松田龍平、みーんな最高で素晴らしかった。


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このページは、kazが2018年10月 4日 15:55に書いたブログ記事です。

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