2018年に読んだ本

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ザッと検索をかけてみたら、今年は★★★★が3冊。いい本にめぐり合わなかったという印象もありますが、そもそも読んだ本の数が少ない。多かった年の半分以下です。目が悪くなったこともあるけど、読む根気がなくなってきたんですね。



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ローラ・インガルスの本というより、安野光雅の絵本ですね。訳も新しくして、いちおうは安野がチェックした。で、やたらめったら挿絵をつけた。ほんと、多いです。

文章で説明すれば簡単なことでも、それを絵にしようとすると一気にハードルがあがる。たとえば「すぐりを木のボウルに入れました」と書かれていても、絵にする場合はその大きさから材質、色、質感、形、すべてを具体化しないといけない。べらぼうに大変です。指示されて調査したのは朝日出版社の編集さんだったのかな。いやはや。

どうも安野もこんな作業に手を出してしまって後悔した雰囲気がある。そんなわけで、ローラ絵本はこの一冊だけでオシマイ。続ける勇気をなくした。




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安倍政権が不信任に足る7つの理由」です。野党が共同してこの夏、内閣不信任案を提出。代表して趣旨説明演説を行ったのが立憲の枝野幸男で、延々3時間。

その日は私もネット中継を時々覗いてはみましたが、さすがにずーっと見つづける根気はなかった。なかったけれど、枝野の演説がなんとも理路整然としているなあとは感じた。演説ってのは、こういうもんなんだよな。シンゾーみたいに官僚作成のペーパーをへろへろ読むのとは根本的に違う。

で、翌日だったか翌々日だったか。立憲のサイトをのぞいたら、この長大な演説を書き起こした支持者がいた。えらいなあ。動画を見ては書き、見ては書く。テープ起こしみたいなもんですね。私もダウンロードして読ませてもらいました。

で、とうとうこの演説を緊急出版する出版社まであらわれた。扶桑社ってのが皮肉というか、面白いです。フジサンケイ系列の扶桑社が「安倍不信任案」の議事録を刊行したって、もちろん悪いという理由はない。売れる!と踏んだんでしょう。

演説の中身はいたってまっとうで、民主主義、多数決の原理、議員内閣制とはなにか。中3の社会か高校の公民あたりの副教材に最適です。子供たちはぜひとも読んでほしい。保守の人にもぜひ読んでほしい。エダノという人は、ある意味では保守です。



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ちょっと前、評判になった本ですね。2月に図書館に予約を入れ、9カ月ほど待ってから読みました。

本の中身は、ま、要するに「どうしてホモサピエンスだけが栄えたのか」ということです。ひろい意味で「人類」と考えられる連中、つまり「ホモなんとかかんとか」はけっこう雑多にいて、ホモサピエンスだけが人類だったわけではない。たとえば体力とか脳の重さとか、ネアンデルタールが「人類」の覇者になっても不思議ではなかった。なぜホモサピエンスなんだ。

このテーマは人気があって、解説本は種々雑多、山のように存在します。そうした何十冊もある人類史本の中で、どうしてこの「サピエンス全史」が大ベストセラーになったのか。

まず気がつくのは、著者がやけに明快に断定することですね。語尾がハッキリしている。いろいろ学界で異論あることでも、これだ!ときめる。「××なのかもしれない・・」という調子のあやふや説明は基本的にしない。慎重かつ用心深い「典型的な学者」ではない印象です。うん。この先生の講義なら、学生は目を輝かせて聴く。わかりやすい。気分がいい。

そして「なぜホモサピエンスが」の答えも面白いです。脳の重さでもないし、火や道具を使いこなしたことでもない。言葉が使えたことでもない。そうした長所を持った人類は他にもいたでしょう。著者が看破する答えは「嘘」が言えるようになったこと。「嘘」というとナンですが、きれいに表現すると「虚構・妄想」を話せるようになった。おそらくはDNAかなんかの突然変移。

「嘘」が言えるということは、事実でないことを話せるということです。たとえば近くを豹がうろついている。これは事実なので、たぶんネアンデルタールでも、あるいはチンパンジーでも集団に警告できる。しかし「おれに飯を食わせないと豹がくるぞ」と脅すのは嘘です。虚構。妄想。仮の話。

この虚構力が上手になると、役割分担して集団での狩りもできます。オレがコレしたら、お前はアレをしろ。そしたらオレがナニするから。

あるいは「オレを怒らせると豹がきて、お前を食っちまうからな」という脅し。みんなで力を合わせてマンモス狩れば、豹の神様が喜ぶぞ、などなど。

こうして神話が誕生し、村や国家がうまれ、集団謀議が成立し、桜の樹の下を双眼鏡もたずに歩いていた男が逮捕される。ボスにとってはめでたしめでたし。他の動物にはぜったい真似できない優れた能力です。かくしてホモサピエンスは栄えた。



tengokuhamada.jpg本棚に転がっていた文庫本。読んでみたら意外や意外で面白かった。ま、星印は「★★★」ですけどね。

気弱で根性ナシでもう生きていけない・・・と思い詰めた若い女が、そうだ、死のうと考える。死ぬんなら、やっぱ北ですね。行く先も知らない北行きの電車(たぶん「列車」ではない)に乗る。日本海にぶちあたったけどまだ雰囲気が足りないので、嫌がるタクシーの尻を叩いてさらに北へ。

海辺の山奥の汚い民宿に転がり込んで、たしか一泊1000円で泊まる。民宿といっても、そもそも辺鄙すぎて商売する気がない。何年も営業してない。だから宿泊代の相場もよくわからない。ま、1000円でいいや。以後はだいたい想像通りの展開なんですが、この主人公の女がとぼけていて味がある。本人は「気弱」と思っているけど、ほんとにそうか? けっこう図々しいぞ。

笑える一冊でした。ひろいもの。他にもあるかと図書館を探したら同じ著者の薄い単行本が5~6冊ならんでいた。ただしみんな行間があいてて、ページが少ない。うーん、借りる気が失せました。本はあるていど厚くないと・・・・。


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これも★★★

ヴィクトリア女王については何にも知りません。小柄だった。太っていた。やたら子供を産んだ。長生きだった。喪服だった。ヨーロッパ中の王室と婚姻をむすんだ。で、大英帝国は近代化して大繁栄し、世界中の何割かを占有してしまった。パックスブリタニカ。

ま、この程度の知識しかなかったです。ところがたまたまNHKの連続ドラマ「ダウントンアビー」にはまって、その続きで「女王ヴィクトリア」も見始めた。ただしこっちはかなり「うーむ・・」という代物です。制作は同じ英国の民放なんですけどね。けっこうテーストが違う。

で、そこで描かれる女王ヴィクトリアの姿に、実像のヴィクトリアを多少は知りたくなった。はい。テレビ版のは派手で細くて気が強くて子猫みたいで、なんかなあ。ただ単に小柄だから抜擢された女優みたいな感じです。

ということで読んだわけですが、写真や絵が豊富で読みやすい本でした。もちろん実像のヴィクトリアという人は、とくに偉くもないし、優れてもいなかった。保守的で、気が強くて、短気で、好き嫌いが激しい

女王になりたての頃は首相のメルバーンにべったり。テレビではしぶい俳優が演じていましたが、実際はかなり臭い政治家のようです。後年になっても好き嫌いは激しく、たとえばグラッドストンは大嫌い。彼の政策をしつこく妨害していたようです。反対に大好きだったのはディズレーリー。これは亭主(アルバート)が死んだときベタベタの顕彰演説をしてくれたため好感を持ったとWikiにありました。

理性の人というより、感情の人だったのかな。老年になってからは政治に興味を失ってしまった。こういう本を読むと籠の鳥みたいな日本の皇室が悲しくなります。



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これもよかったです。

「昭和天皇実録」というのは、宮内庁が長年かけて編纂し、全60巻とかいうもの。前天皇に関する公式史ですね。まるで中国の「正史」みたいだ。

ザーッと読み流しただけですが、昭和天皇って大変だったんだなあ。母親には期待されず、弟からは突き上げられ、重臣も軍部もちっとも言うことを聞いてくれない。たまに怒ったら、この田中義一、あたふた恐慌で、あっさり辞職。後味が悪い。

最近、故天皇の御製推敲メモが公開になりましたが、あれなんかもせつない。言えるものなら言いたいことがたくさんあったんだろうな。

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