「一億円のさようなら」白石一文

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徳間書店 ★★★
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小難しい小説ではなく、一気呵成に読めてしまう本、「ひたすら面白い本」を書こうと決めたらしい。ま、そうやって書かれたのがこの小説で「これで直木賞を取ろうと思った」とか表紙のJ惹句にありました。ちなみに著者は他の作品で直木賞をもらっています。

徳間書店の本はめったに手にとらないけど、これはかなり良質な部類の面白本でしょうね。リストラされかかってはいるものの、とくに大きな不自由もなく堅実に暮らしている福岡のサラリーマン。せっせと仕出し弁当のパートをしている妻。鹿児島で歯科大へ通っている長男。長崎で看護学校に通っている長女。

ところがインフルエンザで寝込んでいるある日、東京の弁護士から電話がかかる。奥さんから「預かっているもの」をこれからどうするか。「もの」の中身はなんと46億円

とういことで、テーマは「お金と人生」「意外性」。「妻も子供も、表面とは違う顔を持っているのかもしれない」「常に真実が話されているとは限らない」「みかけとは違う動機や理由で人は行動している」。

シンプルなメルヘンふうのストーリーかと安心していると、次々に真実があらわれます。誰も信じられない。逆に、信じられないはずのものが善の顔を持っていたりもする。最後の結末は人によって好き嫌いがありそうですが、ま、なかなか楽しい小説でした。


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