「うつ病九段」先崎 学

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文藝春秋 ★★★
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副題は「プロ棋士が将棋を失くした一年間

先崎学という人は、たしか青森出身だったかな、小学生の頃から米長邦雄の内弟子で、林葉直子にとっては弟弟子という関係です。林葉直子といっても、もう知らない人が多くなってるかもしれません。べらぼうな将棋の天才。かつ美少女。棋士を引退して、まだ存命と思いますが、漫画の原作とかタロット占いとか。そんなことをやってたはずです。

で、先崎という棋士はたぶんすごい将棋の才能があった。ただ若い頃からちょっと遊びすぎの感じはあって、そのせいか思ったより伸びない。たしか棋士の写真を2枚並べて掲載された雑誌で、片方は「天才 羽生・・」とキャプション。しかし先崎のほうは「元天才?の先崎・・」とか書かれた。その夜は新宿で泣きながら呑みました、とか、初期のエッセイに書いていました。いい味の文章を書く人で、週刊誌にかなり長期の連載をもっていたはずです。

で、そんな世のなかを渡る巧者が、なぜかうつを発症。まったく知識のない「うつ病」ですが、これを「心の病」と思うのは大間違いで、完全に「脳の病気」らしい。というか、そもそも「うつ病」について書かれたものを読んだ記憶がない。

で、感想ブログなどを眺めてみると、そもそもうつ病だった当人が書いた本なんて非常に少ないらしい。たしかに闘病中に文章なんて書けるわけがない。治ってからも書きたい気分になることは少ないだろう。たまに「書くぞ!」という奇特な人がいて、だからといって本にしてくれる出版社があるとは限らない。ま、しませんわな。そういう理屈で、世の中に「うつ病」の正確な知識がひろまらない。今回は面白く一読し、かつ、うつとはこんな病気だったのかと勉強になりました。

ちなみに先崎九段の実兄は精神科医らしく、これは恵まれていた。慶応病院に紹介してもらって入院。看護師なんかも質がいいんでしょう(気のせいか美人が多い)。で、教授回診の際につい「治りますか」と聞いたら、自信タップリの笑顔で「ここは慶応病院です」と言われた。すごい安心感だったとか。笑えるけど納得のエピソードでした。


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