「明治維新の「嘘」を見破るブックガイド」田中 聡

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河出書房新社★★★
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少し前から「維新の志士というのは、実は単なるテロリストだったんじゃないか」「幕府は役立たずで先の見えない連中ばっかりだったというのは嘘だ」」というたぐいの疑問・説をみかけるようになりました。

ま、当然ですわな。龍馬が小説みたいに快男児で、カッコよく生きたというのは、どうしたってマユツバの感がある。ついでに西郷隆盛ってのも、なんか正体がわからん。ほんとに敬天愛人の偉人だったのか・・・。

こうしたもっともな疑問に答える書です。といっても、著者がなにかを力説しているわけではない。そうした「新しい波」「最新の研究」を紹介している本です。「本を紹介している本」ですね。

ということでこっちも詳しくは書きませんが、なるほど、幕末や維新に関係するいわゆる「常識史観」「薩長史観」、たぶん90%以上が嘘。でっちあげ。

だれがでっちあげたかというと、もちろん明治の元勲たちです。都合のいいストーリーを流布させた。都合の悪い話は消した。そうした騙しの数々が、「開明の明治維新!」という(なんとなく晴れがましい)神話によってバイアスがかかり、みーんな疑わず信じた。今でも山口出身の嘘つき政治家が、「松陰先生」がどうとか、高杉晋作の「晋」だとか、無内容にいろいろ喚いてますね。

はい。そもそも「尊皇攘夷」なんて言葉はなかった。当時としては、そんなのは常識で、あえて言うほどのもんじゃなかった。「空気」ですね。更には「藩」とか「幕府」という言い方も幕末期にはなかったそうです。明治の一時期、「廃藩置県」が論議になった数年だけ通じた言葉だった。みーんな、だれかが後になって大声で言いだした。

なるほどね。よくまあ・・という一一冊でした。

そういえば「本が好き、悪口言うのはもっと好き」の高島俊男さんも、嘘歴史の根源は大河ドラマ司馬遼太郎と、もうひとつは何だったっけ。そうそう、日本外史だった。この3つが虚構の歴史観をつくった。高島さんにはまだまだ元気でいてほしい。


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