「政治の衰退 上下」フランシス・フクヤマ

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講談社★★★
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「政治の起源」(上巻 下巻)の続きです。面白いけど難解で、まともに読み続けるのが大変だった。今回もずいぶん時間がかかりました。

というわけで、内容をザッと要約するなんて不可能。西欧、アメリカ、中南米、アフリカ、東アジア・・・みーんな国家の姿と民主制の形が違う。歴史が違う、地理が違う、意識が違う、人が違う。

ケニアとタンザニア。我々にとっては同じような国家です。ではなぜ大きな相違が生じてしまったのか(そもそも相違があったのか?)。

そうそう。頭に残ったことですが、中南米が遅れてしまったのは宗主国(スペイン、ポルトガル)の絶対王政制がそのまま押しつけられたからです。この絶対王政、実はかなり危うくてもろいもので、ちっとも「絶対」ではなかった。王様の権威=税収システムは非常に弱かった。イージーに表現すれば、偉そうだけど見かけ倒し。

そういうわけで、本土から遠く離れた中南米では現地の白人やムラート連中が勝手に貴族化・豪族化してしまった。国家をささえる中間層がいないんですね。肌の白い(あるいは中間色の)エリート層と、せっせっと収奪される有色労働者層だけ。

一方でアフリカの場合は、宗主国がかかわりあいになる意欲がなく、手抜きをしてしまった。真面目に押しつけてこなかったらしい。あんまり関与すると面倒だから、現地の酋長やビッグマンに権威を委譲してどんどん勝手にやらせる。美味しいとこだけを本土が吸い取る。(この正反対のケースが英国のインドです。インドではしっかり関与し続けたもんで、最後まで面倒をみる羽目におちいった)

そういうわけで、サハラ以南のアフリカでは、ちいさな地域のビッグマンたちが権威を与えられてタケノコみたいに力を伸ばした。言語もバラバラ、意識もバラバラ。そんなところに国境線をひいて「国家を作れ」といったって無理です。「国家」という意識がそもそもない。ビッグマンたちにとっては「利益エリア」があるだけです。

つまりはヤクザの「シマ」です。ナントカ組から大統領が出ると、ナントカ組の連中がウハウハ喜ぶ。次に大統領が変わってカントカ組になると、前のナントカの連中はみーんなつぶされて消える。消えたくないから闘争がおきる。反乱がおきる。当然です。

というあたりが、なんなとなく頭の片隅に残りました。面白い話はいっぱいあったような気がするんだけど、いざ書こうとするとスルリと消える。ザッと通読しただけでは無理ですね。

まったく別の話ですが、こういう本を読んだあとにはポール・セローの「ダーク・スター・サファリ」 なんかを読み直したくなります。いい本でした。アフリカの現状が肌でわかる。

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