「オールウェイズ・カミングホーム」 アーシュラ.K.ル=グィン

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平凡社 ★★★


allways.jpg将来の世界を民俗学的アプローチからとらえた本。カリフォルニアあたり(当然、地形も大幅に変わっている)の小さな谷間の住民たちの生活や伝承がテーマとなっている。

考えてみたらル・グィンおばさんって、元からこういうアプローチで小説を書いてきていたんだな。特定の惑星の住民のことなら「風の十二方位」とか「闇の左手」になるし、ある島々での魔法修行なら「ゲド戦記」になる。荒れ狂う冬の日、暖炉の周囲で老婆が語る昔話の雰囲気。こうしたル・グィンの志向が煮詰まったのが、このオールカミングということなのだろうか。ただし、なかなかに読みにくい上下二巻。(実はまだ読み切っていないのです・・)

多分「風の十二方位」の一挿話と思うけど、輝く金の髪の奥方が宝石を探してドワーフ(かな)の助けを借り、何も考えずに宇宙船に乗り込んで浦島になってしまう悲劇。妙に記憶に残る哀しさがありました。ル・グィンって、雰囲気を作る名人ですね。

追記:
金髪の奥方の話は「セムリの首飾り」。悪龍がドジな魔法使いになって身をひそめる「名前の掟」もよかった。