深夜特急 2~6」 沢木耕太郎

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新潮社 ★★★

 

midnight1.jpgこのところパラパラ読み続け、この土曜日曜に最後の5巻6巻を読了。パキスタンあたりからアフガニスタン。イランを経由してトルコ、ギリシャ、イタリア、フランス、スペイン、どん詰まりがポルトガルのサグレス岬。あとはオマケでパリ、ロンドン。

旅の直後に書いたものとばっかり思い込んでいましたが、どうも違う。20代の旅をふりかえって、30代40代になってから執筆したものらしい。そういう意味では紀行記ではなく、やはり一種のフィクション、ノンフィクションの匂いはするけど実は整理整頓して再構成したフィクションなんでしょうね。

特有の臭さはあります。良くいえば清冽な感受性、悪しざまに言えば若気の気取りとでもいうか。でもそうした些細なハナモチを完全に打ち消す迫力のあるシリーズだと思います。沢木にしか書けなかったものなんでしょうね。もし同じものを山口文憲が書いたら、まったく雰囲気が違ってしまう。

話は違いますが、私もマドリードに一泊したとき、夜中のバールで変なオッサンに酒を奢られました。超貧相な黒づくめオヤジで、たしか市役所かなんかに勤めてる下っぱというようなことでした。でも、私の貧弱な英語力でなぜそんなことまでわかったんだろう。不思議です。

グラナダの夜のバスではセビリア農協かセビリア婦人会のオバサンたち(たぶん)と同乗したことも思いだしました。薄暗いバスの中でオバサンたちが歌うセビリアおけさ(のようなものでしょう、たぶん)は哀愁があってなかなか良かったです。

そんなことを思い出してしまいました。