「南極大紀行」 NHK「南極」プロジェクト

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NHK出版 ★★

 

nankyoku.jpgさして期待しないで借り出した一冊です。

このところNHKがやけに力いれて南極ものを放映していますね。ま、せっかく取材班を送り込んだんだから、番組作らないと仕方ない。で、そうしたレポートをまとめたのがこの本のようです。

「プロジェクト」編のため書き手は複数。達者な人もいるし、ひたすら固い人もいます。それでも内容そのものに迫力があるため、けっこう楽しんで読めるものになっています。

この本では氷床の研究をしている英国チームの話が面白かったです。時代おくれの三角テントを張って寝泊まりし、プラスチックではなく木箱に機材を収納している。ローテクふうですが、実はあんがい賢い選択だし、堅牢。米国チームみたいに圧倒的ハイテク機材とパワーで南極の自然をねじ伏せるんではなく、なんといいますか、一種の共存のような姿勢。こなれた伝統を信頼しながら自然とうまく折り合いをつけいく進め方ですね。英国人ってのは、やは独特です。

観測船ももう三代目なんですか。宗谷から始まって、ふじ、しらせ。宗谷は海上保安庁の船だったはずですが、調べてみたら2736トン。今は船の科学館に係留されてるけど、実に小さいです。こんな船が南極まで行ったのか。文献引写しですが建造が昭和13年の「耐氷型貨物船」です。戦後は引楊船、灯台補給船。で最後が南極観測船ですか。

1次隊は南極海で氷に閉ざされて立ち往生。ソ連のオビ号に助けてもらったことがありました。宗谷には手も足も出ない厚い氷(といっても多分1メートル弱程度)の海をオビ号はザックザックとあっさり航行します。日本は情けないなー、大国ソ連はすごいなーと日本中の子供たちは実感したものです。

二代目の「ふじ」は5250トンです。三代目の「しらせ」は1万1600トン。倍々に巨大化している計算です。その「しらせ」も老朽化し、次船の予算がとれるとかとれないとかが問題になっているようです。

南極って、やはりロマンをかきたてられます。無理だろうけど、生涯に一回くらいは見てみたい。アムンゼンとスコットの極点到達レース、そして白瀬中尉の探検(でもやっぱり力が足りなかった・・)。子供にとっては憧れでした。月や火星への旅に比べても、夢がありましたね。