2010年9月アーカイブ

★★★★ 新潮文庫

bunjin2010.jpgだいぶ前に同じ嵐山の「文人悪食」を読んだことがあります。面白かった。鴎外が餡のせご飯とか饅頭茶漬をよく食べたというのを覚えています。

で、その続編でしょうか。「悪食」。少しずつ読みましたが、やはり達者で面白い。たかが文庫一冊の割りには時間をかけて読むことができました。

なかほどで壺井栄が登場して、「二十四の瞳」について触れている。映画で「百合の花の弁当箱」の部分をみて涙滂沱だった・・・という記述を読んだだけで私も涙腺の土手が切れてしまいました。

あれは確かに泣けます。マッちゃんだったかコトちゃんだったか、みんなの持っているアルマイト弁当箱が買ってもらえない。ついに先生に買ってもらえたけど、それを持って学校にいくことはできなかった。たしかうどん屋かなんかに奉公に出されてしまうんですよね。

こんなエピソードを思い起こしているだけで、ちょっと涙がにじみます。安直だなあ・・・とは思うのですが、涙腺を刺激れさるんだから仕方ない。

ずーっと昔、チャプリンのキッドですかね、子役の達者な演技をみて涙が止まらなくなったことがある。映画館でボロボロ泣いてました。

自分にはそういう部分があるんだなあ、と再認識でした。
★★★ 新潮社

shiono2010.jpgこんなのがあるんだ・・と発見して借り出し。

ま、悪くはないという程度の本。中世、地中海世界ではサラセンの海賊業が猖獗・・というか、アフリカ沿岸の連中にとっては立派な「産業」だったらしい。

金銀財宝だけでなく、とにかく町を襲って人間をひっさらってくれば商売になる。おまけに後期になると、熱心な「拉致解決騎士会」とかの連中がわざわざやってきて身代金を払ってくれる。一介の貧乏人キリスト教徒であっても、身代金の対象になる。すばらしいビジネスです。

イタリアあたりでルネッサンス開花の頃でも、まだ海賊商売は日常茶飯だった。王侯貴族にとってはどうでもいいことだし、十字軍の連中もエレサレムには関心あっても、アフリカなんかには気がのらなかったらしい。華々しくないですから。

ひどい目にあっていたのは海岸に暮らす人々だけ。ただし海賊もたまには内陸まで侵攻してきますが。

なるほど、そうだったのか・・という本でした。

追記
海賊は少なくとも18世紀の末まではいたようですね。フランス革命の後。そういえばモンテクリスト伯の中でも誰かが海賊につかまったとかいうエピソードがあったような。ん、山賊かな。いや山賊とは別に海賊話もあっような気がするけど・・・記憶がおぼろ。
★★★ 文春文庫

ryouma2010.jpg本棚に腐りかけていた全八巻を再読。もちろん何回か読んでますが、そう多くはないと思います。今回がたぶん3回め程度かな。

私が読んで、家人が読んで、娘が何回か愛読して、もうボロボロです。ページは色が変わっているし、表紙カバーはとれている。

司馬さんがこれを書いてから、新資料もずいぶん出ています。いちばん最近では、千葉道場のさな子さんが、竜馬の死後ですけど結婚もしたらしい。あんまり長くは添えなかったみたいですが、それでもよかったですね。竜馬なんぞに操をたてて生涯独身じゃ可哀相すぎます。

そうそう。竜馬が置いていった(司馬さんによると)汚い片袖。なんかまっとうな由緒ものだったという記事もどこかで読んだ記憶があります。おさなさんが許嫁と信じたのも決して根拠がなかったわけじゃないらしい。

ま、これだけ何回も読んでもらえれば幸せだろうな、という本。十分にモトのとれた文庫です。

 ★★ 草思社

学生時代、一般教養(略してパン教)の理系単位として地学をとったことがあります。担当の助教授がやたら休講が多くて、おまけに面白いという評判だったので。はい。化石時代の話です。

  chikyuu46.jpg確かに休講だらけでした。おまけにこっちも適当に自主休講するので、講義に出席した記憶は1回しかない。実際には数日は行ったと思うのですが、あとは覚えてません。

助教授といっでも、髪を角刈りみたいに短くして真っ黒かつ精悍に日焼けして、おまけに長靴はいて教壇にのぼった。いつでも長靴はいてハンマーを腰にぶらさげて山の中を歩き回ってる人という噂でした。顔だけは知的な肉体労働者。なんせ地学のセンセですからね。

講義で聞いたのが古磁気 古地磁気の話です。すでにヴェーゲナーの大陸移動説はある程度知れ渡っていましたが、「南アメリカとアフリカの海岸をあわせるとピッタリ付く」という程度の少しキワモノ感覚で、プレートテクトニクスという言葉は普及していたかどうか。

で、その地学のセンセ、講義をサボっちゃ山の中へわけいってひたすら石を割っているらしい。割って調べると中の鉄分が、いわば小さな磁石のようになっている。見たことはないんですが、そうなんだそうです。

もちろん地球の磁極は移動します。しかしそれとは別にその石をふくんだ地層じたいが、どっちを向いていたか、どこで方向が変化したかも見当がつく。

なんか、西日本と東日本では磁気の方向が違うんだと言ってました。その分かれ目が、もちろん例のフォッサマグナ。要するに東日本は中央地溝帯を境にしてグググッと北にねじ曲げられたらしいです。

アホな文系学生にも面白い講義でした。

しかし今ではプレートテクトニクスどころか、プルームテクトニクスなんて言葉が主流なんですね。地球表面で表皮が移動するだけではなくて、もっと立体的にマントルの構造や噴出・沈降も含めて理屈がなりたっているらしい。

やれやれ。本の感想を書こうと思ってたのに、まったく違う話で行数を費やしてしまった。今回読んだのは「地球46億年全史」。脇道話や観光案内みたいな部分も多くて、けっこう読みやすい内容ではありましたが、それでも後半はだんだん飽きてきました。

たとえばグランドキャニオン。谷底におりるためにのったロバだかポニーだかの話はそれなりに味があるものの、でも基本的に著者の関心は道筋の地層や石ですからね。ナントカ層の下にカントカ層が続いて、その下にナントカ石の層があって・・・とえんえん。

それにしてもこの手の地層や構造の話、読むだけではなかなか理解できません。ナントカ構造体がひっくりかえって褶曲して反転してシーツ状になって・・・って、それ、三次元イメージ図をいれてほしい。バンゲアがゴンドワナでローラシアがどうたら・・も、なんとなく分かるようで、でもあいまい。その時、ニホンはどこにあったんだ? ん?

トシとると、この手の本を読むのが大変です。

 

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