2010年12月アーカイブ

quatro.jpg★★★ 集英社

あくまで一般論ですが、何かというとキリシタンが登場する時代小説はあまり好きではありません。ついでですが、たいした理由もなく少女が男装する小説や時代劇も好きではありません。無理が多すぎる・・と感じるからです。

そういえば先日読んだケン・フォレットの「大聖堂」続編でも、尼さんたちが男装してフランス戦線に紛れ込むというシーンがありました。百年戦争、クレシーの戦いの現場ですよ。無理いうなよ、と言いたくなります。

好きな作家ですが、山本周五郎にもありました。えーと、例の印旛沼の政治家の・・・田沼だ。タイトル忘れてしまった。トシとると記憶力がなくなるんです。あの小説の中でも田沼意次の愛妾かなんかが意味なく男装して、もちろん見破られてしまうとか。

これも連想がひどいですが、大昔のアメリカ小説や映画、跳ね上がり娘のジェーンが無理やり探検に付いてきて、もちろんワニに襲われる。あるいはゴリラにつかまる。あるいは足をくじいて歩けなくなる。少年読者(あるいは鑑賞者)にとって、こんな腹のたつパターンはありませんでした。

そうそう、悪者につかまって「娘を殺されなくなければ武器を手放せ」とか言われて。正義のヒーローはこういう場合、かならず武器を床に落とします。落としてどうなるんだ・・・と思うんですが、たいていナントカなって大団円。

脱線がひどすぎるなあ。ようするに人気取りを狙った下手な作家はすぐキリシタンを登場させる。大河ドラマでもありましたね。長崎丸山の芸妓が隠れキリシタンで奉行所の密偵で、おまけに竜馬に惚れて後藤象二郎ともナントカで、小舟に乗ってエゲレスに旅立つ。マカオあたりで身ぐるみ剥がれて売り飛ばされてなきゃいいんですが。

という具合に訳のわからないキリシタン事情。で、天正の頃のキリシタンはどうだったのか。なんで少年たちが使節として旅立ったのか。こんごらがった糸が解きあかされます。

イエズス会とフランシスコ会なんかが邪魔しあっていたという事情は想像ついてましたが、同じイエズス会士といってもスペイン人とイタリア人ではまた考え方が違う。要するに「国家をバックにして威圧するか」「人心に分け入って信者を増やすか」という違い。こんなに単純なもんでもないですが、ま、だいたいそうだったようです。

なんやかんや、人生いろいろあって、そこに九州大名の意図やら信長の意向やら秀吉の野望やら、ま、なんだかんだで少年使節たちは帰ってきてから酷い目にあう。

ややこしい時代を詳しく教えてくれる本でした。けっして読みやすい1冊ではありませんでしたが、読んで損はしなかった。これってかなりの絶賛ですね。

前に書いたでしょうか。我が家で使っている掃除機(クリーナーと言わないといけないのかな)、たしか東芝のもので、それがある日とつぜん止まった。ガーッと仕事してたのが、いきなり静かになったんです。

えええ?とあわてて、スイッチ入れたり切ったり叩いたり。ウンともスンともいいません。ネットで調べたら「ホース部分に内臓のコードがダメになりやすい」なんて情報があったんで、そうだったのか、東芝も最近はあてにならないなあ・・と怒っておりました。

それからしばらくたって、家内がものは試しで電気をいれたら何故か動いた。「やったぜ。もうけた!」と乾季や孔雀、いや、歓喜雀躍。なんで動いたかは知りませんが、あまり刺激しないようにホクホクしながら使っておりました。

それからまた数カ月。使っていたのがバタっと止まりました。仕方ないです。延命期間があっただけでも儲け物。新しく買いますか・・とネットなんかを調べていたのですが、たまたまこの故障機種は「吸込仕事率」が何ワットだかった調べようと思って、古い取り説を読んだ。私ではなく、家内が、です。

そしたら書いてあったんですね。「ナントカカントカの場合、保護モードが働いてクリーナは停止します。1時間半は解消されません」。そうか、たぶんゴミ詰まりとかホコリ溜まりすぎで、賢いクリーナーは勝手に保護モードに突入してしまった。で、突入すると、状況が改善されない限り、90分は保護モードになっている。

そんなら希望はある。もしかして・・と、物置から引っ張りだしてパワーを入れてみました。あは。見事に電源オン。赤い注意ランプはチカチカ点灯しているものの、何事もなかったようにブンブン吸い込んでいます。はい。フィルターの掃除をサボっていたのが悪かったんですね。はいはい。すぐ家内がパックを引き出して、きれいに洗ってあげたのは言うまでもありません。うちのはサイクロン式。時々は洗ってあげないといけないんです。

★★★★ 中央公論新社

tensei.jpg偶然出会った本ですが、これは凄い。こんな作家をいままで知らなかったなんて。

著者の「莫言」はもちろん「言うなかれ」ですね。言う莫れという筆名で、猛然と書きなぐっている。あるいはのほうずに書きつらねている。

ストーリーは中国の山東省の田舎町、ある地主の死から始まります。国民党が追いやられてしまったんで、当然のことながら圧政の象徴である「地主」はぶっ殺されます。オレはなんも悪いことしとらんぞ!と恨み骨髄の地主は地獄の閻魔の裁定にも納得せず抵抗し続ける。

で、手を焼いた閻魔庁は反抗的な地主をロバに転生。生まれ変わったのはもちろん故郷の山東章高密県。で、かつての正妻やら二人の妾や子供たちが苦労したり、保身をはかったりするのをロバの目で見る羽目におちいる。

やがてロバが死ぬと次は牛、それから豚になり犬になり・・と転生が続きますわな。最後に猿になるころは中国ももう21世紀です。人民公社が促進され、毛沢東の大躍進が始まり、破綻し、紅衛兵が騒ぎまわり、そして個人農家の再開、発展。農民たちもナイキのスニーカーを買ったり、金持ちはロレックスを腕にはめたり。

という長い年月をとうとうたるホラ話でつづります。中国のガルシア・マルケスという評はもちろん当たっていますが、私はブルガーコフ(巨匠とマルガリータ)なんかもちょっと連想。なんというか、ひたすら土臭く、暴力的な大河小説なんですが、濃厚な詩情があるんですね。

豚は空を飛び、水にもぐる。怒った豚は尻をかじり取り、ロバは狼と戦う。可憐なお月さんは地上に近づいていっしょにダンスする。巨大なボス犬は1000匹の部下を統合して、深夜に酒盛りと乱交パーティを実施。

上下2巻、飽きずに読めました。莫言の本は他にもいろいろ出版されているようなので、次も期待です。(嘘か本当か知りませんが「アジアでノーベル文学賞にもっとも近い作家」なんだそうです)

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