「興亡古代史」小林惠子

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文藝春秋
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朝鮮半島や沿海州あたりを広い視野でながめた古代史・・・・だろうと思ったのですが、はて。

おそらく朝鮮半島と日本列島、古代は同じ文化圏だったんじゃないかと想像しています。対馬を間にはさんだ海は、遠いといえばいえるけど、でも近い。けっこうな行き来があったんだろうな。日本とか朝鮮とかいう明確な区割りもなかっただろうし、両方にまたがる国だって、きっとあった。そのあたりを俯瞰して解説してくれる入門書があったら楽しい。

というつもりでしたが、うーん、トンデモ本なんですかね。文春の本なので、あるていど信用したんですが。ひたすら縦横無尽に断定してくださる。で、そうした断定に残念ながら説得力がない。いくら素人相手の本であっても、もう少し順序だった論理の積み立てがほしい。あちこちの資料から都合のいい部分だけ拾って、勝手に創造力を羽ばたかせているとしか受け取れない。

5分の1くらい読んだ時点で諦めました。中国からだれかが日本列島南部に流れて、そこで権力を得て、それから半島にわたり、国王になり・・という按配です。実にダイナミック。あっ、記憶はいいかげんです。よく覚えていない。例の邪馬台国についても「奄美大島であろう!」とずいぶん簡単に決めつけとか。「南行」を文字通りに受け取った面白い考え方ではあるんですが、ちょっと素人目にも乱暴すぎる。

したがって★はナシ。