「三四郎」 夏目漱石

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★★★★ 新潮文庫
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何年ぶりなんだろうか。文庫の奥付を見ると平成十二年。16年前に買ったことになるけど、はて買ったのは自分なのか家内なのか娘なのかも判然としない。こんなイラスト表紙になっていたんですね。

三四郎を初めて読んだのは中学1年です。たぶん春陽堂の全集(たしか古い土蔵の中にあった)で読んだ。学校から帰りに友達が「なんか話をしろ」というので、歩きながら三四郎の粗筋を語った。乱暴なことをしたもんです。粗筋なんて言えるわけがない。聞かされた友達も困ったでしょう。

どこかのサイトに、三四郎のモデルは小宮豊隆だと書いてありました。ふーん。で、 与次郎は鈴木三重吉だとなあった。なるほど、こっちは納得です。三重吉ってのは童話のイメージとは違って、かなりうるさい男だったらしい。何で読んだんだったかな。それはともかく美禰子は平塚らいてうだという。これは少し意外。らいてうってそんなタイプの女だったんだろうか。

再読か再々読か再々々読は知りませんが、美禰子ってのはどんな女なのか真面目に読んでみようと思いました。若いころにいい加減に読んでいると、どうも美禰子がよくわからない。で、読了して、なんなとく理解した。ま、そういうことだったんですね。ぼんやりした記憶では結局美禰子は野々宮さんと結婚したように勘違いしていましたが、それも違っていた。なるほど。勝手に読みたいように読んで、覚えたいように覚えている。いい加減なものです。

ついでにこの三四郎が「それから」「門」と並んで初期三部作だと知りました。へぇー。「それから」も「門」も未読。もちろん後期三部作も「こころ」しか読んでいない。結局自分の読んだ漱石は「吾輩は猫である」「虞美人草」「草枕」「坊つちやん」それに「倫敦塔」とか「幻影の盾」あたり。かなり偏った読み方です。

それにしても、ま、漱石はやはりいいですね。読み終えると極上のお茶かコーヒーでも味わったような気がする。やはり★は4つつけるしかないです。