2019年2月アーカイブ

anokoro.jpg 中央公論新社 ★★★★

けっこう数多く書いてる印象だったけど、落ち穂拾いみたいなこの「収録エッセイ集」も100本くらいはあるだろうか。なかなか分厚い本です。

一人娘の武田花さん編。死後に本は出すなという約束を破っての出版らしい。いけないんだろうけど、読者としてはやはり有り難い。武田泰淳の死後、本人的には「未亡人になって」から亡くなるまでが約16年ほど。その間にあちこちから頼まれて書いた雑文を花さんが選んだんでしょう。

楽しみながら読んでいたら、あっというまに期限がきてしまった。最近はこればっかり。結局、500ページ余りのうち半分しか読めませんでした。もったいない。

知らなかったこと。武田泰淳は肝臓に転移しての死だったらしい。富士日記だけではそのへんがモヤヤしていて、なんか急に亭主が原因不明、霞みたいに軽くなって消えたような印象しか残っていない。

書かれたものはみんな面白かったけど、戦後できた「世代」という同人誌と、その編集長をつとめた遠藤麟一朗という秀才については初聞。エンリン、よほどダンディな人だったらしい。腐ったようなパンプス履いて(たぶん)ドタドタ歩いていた百合子(神保町ランボオの貧乏ウェイトレス)を見るに耐えかねて、高い靴を買ってくれた話。美意識的にガマンできなかったんじゃないか、と本人は分析している。自分の給料の二カ月分と書いてあった。

原民喜だったか誰だったか。純粋そうな人に、たまに会うと「あんたはダメになった・・」と小さな声で叱られる。叱られると、確かにね、と本人も納得している気配で、このあたりの空気がなんとも楽しい。吉行淳之介たちの悪グループに誘われて百合子が逃げる話もいい。「毒牙にかかりたくないから」といわれた吉行はどんな顔をしたんだろう。

花さんによると「とにかく派手な女」だったそうです。また機会がきたら借り出しますか。


で、数日たつとやっぱり元に戻る。どうして「良さそう」と思ったことが良くなくなるのだろう。不思議です。結局、もとのカッティングマットに回帰しました。

つまらんこと、書いてるなあ。(少し)反省

cutmat2.jpg

マウスパッド代りに使ってる緑のゴム板、カッターマットとかカッティングマットというのが正式かもしれませんが、要するに紙なんかをカッターで切る際に使う代物ですね。これが実は下手なマウスパッドよりはるかにいい。

cutmat.jpgで、ずーっと使っているんですが、だんだん汚れがついたりカスレてきたり。きれいに保つのが面倒になってくる。動かすたびに位置もズレるし。

本当は白い紙でもいいんです。いまどきのレーザーマウスだと問題なく位置を認識する。ただし紙の場合はカッティングマットみたいに丈夫じゃないんで、すり切れるのが欠点。とかなんとか、いろいろ試行錯誤を続けてきました。

えーい、コロンブスのタマゴ。マウスパッドなんて使わなくてもいいんじゃないだろうか。デスクの上で直に動かしてみたらどうなんだろう

うん、これが実に正解。昔のゴロゴロボール・マウスじゃないので、デスクの上で滑ったりもしないし、なかなかいいです。スムーズに動いて軽くて、きちんと軌跡も追える。しばらくこれで試してみるかな。

ずーっとテレビが不調。ある日数本の横線が出現してからだんだん増殖し、いまではけっこうな本数になっている。賑やかです

で、気になって調べてみると、意外なことが判明。例の4K、右旋回だか左旋回だかの電波でどうだらこうだら。理屈はややこしいけど、要するにBSだけの話で、地上波には関係ない。そして「おそらく当分の間、地上波は4Kにならない」らしい。

冷静に考えてみれば当然ですね。NHKや全国の民放、すべてが機材を一新して、発信システムもぜーんぶ作り替える。そんな大変なことが簡単にできるわけがない。そもそもたいしてメリットもない。いつかそのうち、地上波放送という仕組みが消えるころには違うだろうけど。

走査線がタテヨコ2倍に増えた高解像度の「4K対応テレビ」には意味があるかもしれないけど、肝腎の「4K放送」そのものには今のところさしたる意義はない。なーんだ。業界ぜんたい、誤解されることを狙っている感じもありますね。

時折、「Microsoft IMEが標準使用の日本語入力システムになっていないぞ」という趣旨のメッセージが立ち上がります。そりゃ当然です。違うシステムを標準にしているんだから(事情あって、富士通のJapanistというのを使っている)

それはいいんですが、「次回からこのメッセージを表示しない」にチェックを入れても、不思議なことにまったく効き目がない。しばらくたつとまた「IMEが・・・」と出てくる。たいして邪魔でもないんですが、いきなり緊急ふうに飛び出すのでちょっとムッとする。

せっかく用意してある「次回からこのメッセージを表示しない」のチェックを有効にする方法はないだろうか。そう思ってネットを探しても、どうしても発見できません。不思議です。関連項目はたくさんあるんです。でも見事に「どうしたらMS-IMEを有効にできるか・・」という(前向きの)方向のものばかり。その逆は皆無。

なんか作為があるんじゃないだろうか。そう疑ってしまうほど。まさかとは思うんですが。

そうそう。例のWindows10なんかも、まだ「ほんとに使いやすいのか?」みたいな見出し記事はたくさんありますが、そうした記事をずーっと読んでいくと「・・・という具合に使いやすいOSです。食べず嫌いは惜しい」という結論にたどりつく。なるほど。ま、使いやすくて速くて素晴らしいOSなんでしょうね。ほとんどの記事が、無知なユーザの誤解を解いてあげるような内容になっています。ありがたいことですが。

マイクロソフトがIE (インターネットエクスプローラ)を今後はあんまり使わないようにと言ってるらしい。危険なんだそうです。その代わり新しい「Edge」を使え。

IE はもちろん評判悪いし嫌われもの定番のブラウザなんだけど、それでもみんな仕方なく(なんせ銀行やら大手やらの重厚サイトではデフォルト推奨)渋々使っていた。どんなにひどい代物だって慣れればそれなり、仕方なかんべ・・という感じでした。そしてEdgeはもっとひどいという噂もある。少なくとも使いやすいという話は聞いたことがない

確かEdgeはWindows10専用だったはず。私、このWindows10絡みの話からは必死に逃げているので、Edgeの詳細を知りません。知りたくもない。そもそもWin10に関しては、最新CPU絡みの制限話(※)なんてもあって、かなり気分を害しています。好かん。

今回のメッセージはいかにもMSですが、でも、うまくするとこれを機会にIEが見放されて消えてくれるかもしれない。そうなってほしいなあ。

簡単にいうと、インテルの新しいCPUを買うと、そのPCに古いWin7のインストールはできない(「お薦めできないから」というおためごかし)ということです。否応なくWin10を入れるしかない。はっ。

岩波書店 ★★★
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奥付を見ると2018年9月刊行。上下2巻。図書館が購入してからまだ誰も手を触れていないような雰囲気で、中央あたりのヒモしおり(スピン)がきれいに畳まれている。すこしトクをしたような気分です。

この著者は初めてです。カナダの作家。3部作シリーズの2作目らしい。一応は近未来のSF仕立てというか、ま、ファンタジーですが、オーウェルの「1984年」に似ている。ディストピアですね。

小説の舞台、多くの自然動物や家畜たちはほぼ絶滅して、その代わりDNA操作による合成動物が徘徊している。たとえばライオンと小羊をゴチャまぜにしたやつとか、人間の髪の毛を生やしたモ・ヘアという便利動物とか(たぶん植毛用)。人間に匹敵する知能をもった犬(危険)とか、賢い豚(怖い)とか。社会ぜんたいを巨大な科学カンパニーが支配し、カンパニーに勤務するエリート以外の一般下層民は、みんな汚物にまみれた暴力スラムで暮らす。

で、そうした科学万能享楽主義に抵抗する疑似キリスト教ふうのカルト教団もあり、スラムのビルの屋上で畑をつくって暮らしている。すべからく生命は奪いません。虫も殺しません。肉も食べません。ビーガン。生活に必要な物資はゴミ廃棄物を再利用して作ったりしている。ただ、絶対に食べないわけじゃなくて、ま、原則としてですね。たまに鳩のタマゴをいただくとかはいいんじゃないかな。

この清貧のカルト教団に、殺されそうになったヨレヨレの女が逃げ込んできます。そこからストーリーが始まる。かなりゴチャゴチャした内容だし、けっこう宗教臭もあるので、数十ページを我慢できるかどうかがカギかな。最後まで読み終えても、はて、傑作なのか駄作なのか、どうもよくわかりません。アーシュラ・K. ルグウィンの「オールウェイズ・カミング・ホーム」みたいな感じですね。魅力はあるけど、けっこう辟易する。

最後まで読めたんだから、面白いということになるのかな。

そうそう。「洪水」は、水ではなく、厄災の洪水です。つまり正体不明の疫病の襲来。少数をのぞいて、人類が滅亡してしまう。残った連中がどうなるのかはまだ不明。


白水社 ★★★
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以前に一回借りて、期限がきて途中返却。ちょっと悔しかったので返却してから数十分後に棚をみたら戻っていたため、再度の借出し。ま、読んでみたかったわけです。

少し前の連続テレビドラマ、ダウントンアビーの舞台は1900年代前半、大戦間の英国でした。だんだん貴族が力を失っていった時代ですね。で、この「おだまりローズ」もほぼ同時代。貴族の栄光に陰りがみえ、庶民が少しずつ自信を持ちだした時代です。たぶん。

そんな時代にヨークシャー出身(なぜかいつもヨークシャー!)、賢くて鼻っ柱の強い娘がメイド勤めをする。比較的世間体もいいし、うまくすると各地を旅行もできるってんで、貴婦人付きの女中を目指す。甲斐あって、アスター子爵夫人のメイドに採用。当時かなり有名な人だったらしいです。初めての女性下院議員。

子爵夫人、アメリカ人だったんですね。そして亭主もやはり金持ちのアメリカ人。そういえばカズオ・イシグロの「日の名残り」でも、アメリカ人のご主人に仕えていた。この時代、金満家のアメリカ人が英国に戻ってきて、貴族になったりすることが多かったんですかね。

ま、そういうわけで有名女性のメイドになったわけですが、このご主人は頭もいいし優しいときもあるけど、べらぼうに気が強い。しかもあんまり品はよくない。すぐ気がかわる。気まぐれ。メイドにとっては地獄の悪魔のような人です。しかしメイドのローズは負けない、ゆずらない、謝らない。なにしろヨークシャー生まれだから。

で、最後は「おだまりローズ」の鶴の一声。言われたらメイドは身分をわきまえてひきさがります。これを何回も何回もやっていると、だんだん好敵手のような関係になる。腐れ縁ともいいます。

という具合でなかなか面白かったんですが、やはりダメだった。半分ほど読んだところで期限がきました。さすがに次はすぐには借りません。そのうち気がむくかもしれませんが。

追記
気がつかなかったんですが「日の名残り」でもレディ・アスターが登場していたらしい。覚えてなかった。

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