2019年8月アーカイブ

日本経済新聞出版社★★★

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夏の暑さのせいか、トシと老眼のせいか、とにかく本が読めない。今回も3週間かけてようやく最後のページまでたどりついた次第。他にも2冊借りてはいたけど、まったく手つかず。ダメですね。

さて、定番のトランプ本です。

少し前に読んだ「炎と怒り」が、善悪はともかく強烈なリダーシップのバノン(首席戦略官)の失脚あたりで終わっていたのに対し、こちらはもう少しあとのモラー特別検察官登場あたりまで。トランプ側の弁護士がモラーに探りをいろいろ入れたり、国務長官がこのところ意見の食い違いが目立っていたティラーソンからポンペオにかわったり。

書き手はボブ・ウッドワードなので、さすがに読みやすいです。きちんと頭に入る。(ちなみに「炎と怒り」のマイケル・ウォルフはまるでトップ屋ふうの文章でした。品がない。とっちらかっている)

で、内容は、そうですね。想像通り。トランプという男がいかにどうしようもないかということがわかる。幹部・側近の仕事の大部分は、大統領が軽率にバカをしないように気をくばり続けることです。政治や外交での失敗は、単に損するだけではすまない。それを大統領は理解していない。大変だ。

朝、執務室のテーブルに米韓自由貿易協定を破棄の大統領令が置いてある。こんなのにサインされたら大変々々と、側近はそーっと書類を盗みだします。通常なら大問題なのですが、トランプは書類がないことに気がつかない。完全に忘れる。で、数カ月たつとふと思い出して、大統領令を出すぞ!書類を用意しろ!とまたわめく。また誰かがその危険書類を捨てる。トランプは忘れる。

貿易赤字に対する固定観念はもう病気みたいです。赤字はいかん。赤字を避けるには関税を高くすればいい。非常にシンプル。閣僚や補佐官が、関税障壁はむしろ有害で国内企業が傷つくとどんなに説明しても理解できない。、

在韓米軍駐留がなぜ必要なのかも、ほんとうにわからない。韓国との関係とか地域安定がどう役に立つのかなんて考えない。とにかく金がかかるから引き上げろ!と言い出す。

金正恩とロケットマンうんぬんで口げんかのころには、駐留米軍の家族に退避を指示しようとした。正式命令ではなく、ツイッターでです。もし本当に家族引き上げ指示ツイッターが発信されたら、かなりの確率で金正恩は「次は直接攻撃か」と怯えたはずです。けっこうな確率で、やけっぱちの先制攻撃もありえた。

誰だったかな。幹部の一人のナントカ補佐官がガマンしきれず辞任を申し出る。わかった、仕方ない。で、後任は誰がいいと思う? うん、そうだなトムか。私もいいと思う。「この発表は金曜にと思うのですがいかがでしょう」 うん、そうだな。金曜に発表しよう。

で、そのナントカ補佐官が家に帰るころ、トランプがもうツイートしている。ジョンは辞任した。すばらしい男だった。次はトムになる。こっちはすごい奴だ。いい仕事ができるだろう。

ただしトランプには裏切ったという意識は皆無。金曜うんぬんなんて覚えていない。新任のトムにまだ話を通していないことも忘れている。トムも驚きますね。とにかく「自分が最初に発表」なんです。非常にいい気分。そういう人のようです。

そういう男が大統領の地位にいる。移民と関税障壁なしの貿易が大嫌い。会議とか枠組みも大嫌い。そして何回かゴルフをしてその「友人」と自称しているお人好しもいる。ん? お人好しではなく、百も承知なのかな。今回も売れ残りのトーモロコシ買って帰りましたが。
ようやく酷暑の夏も折り返しかな。昨夜は暑くも寒くもなく熟睡して、起きてから横目で時計を見たらあれれれ・・という時刻だった。ゆっくり眠れて仕事に行く必要もない朝というのは、ささやかながら幸せです。

正直、ここ数週はきつかった。毎朝は汗まみれで目覚め、日中も体がボーッとだるくて不快。えい!と覚悟を決めてエアコン入れれば一変するんですが、悲しいかな、どうも心苦しさが残る。昼間からエアコンなんで怠惰のきわみ。軟弱もの。可能なかぎりガマンできないのか。

高校三年、受験の夏を思い出します。二階の窓を通る風も熱風。暑かった。ひたすら呆然。脳がまったく働かない。もちろんエアコンなんて考えもできない田舎で、部屋にいると頭が溶けてくる。考えてみると、扇風機もなかったんだな。それはきつい。

少しは涼しいだろう井戸端に机を置いてみたり、タライの水に足をつっこんでみたり、庭の柿の木の陰に涼を求めたり(蚊がくる。虫がくる)。溶けかかった頭をなんとか冷やそうと必死。この夏休みに追い込みかけなければもう時間はないのに、ちっとも進まない。焦る。

都会のどこかには涼しい部屋で勉強している連中もいるんだな。ふと思ったりもしました。うん。きっといたんだろーな。先日も知人から「軽井沢で過ごしていたけど、寝苦しい夜は一回もなかった」とかいうメールをもらった。ふん。かるく殺意が生じます。

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調べてみたら自分の高校生当時、日本のエアコン普及率はせいぜい数パーセント程度です。まだ時代が早かったのか。では扇風機は・・と見ると、こっちもまだ家庭に複数台を所有するような時代じゃなかったようです。茶の間の片隅に立派で大きなのがデンと置いてあった時代。客がくるとご馳走ですとスイッチを入れた。で、扇風機はブンブン首をふって強い風をまきちらす。

別件ですが、せいぜい45度とか60度の狭い首振り角度ができる廉価な扇風機、どうして発売にならないんだろう。要するに個人用の設定ですね。現実には役に立たない風速メニューなんかばっかり充実で、メーカーの考え方がわかりません。ちなみに自室のパソコン近くに置いてある扇風機は、購入以来最弱の「ベビー風」しか使ったことがないです。

そうそう。狭い首振り角度ですが、高級機の中には可能なものもあるようです。本当はむしろ廉価機にほしい機能なんですけどね。

写真は山善の25cmサーキュレーター。台所用に買ったものですが、なかなか優秀。足の形もけっこう可愛いしね。最近は「Yamazen」が信頼のメーカーという感じになってきた。

先日、アマゾンでなにやら買う機会があったので、ついでにトルクスドライバーを発注。

たぶん、たいていの人は初めて聞く名称と思います。「トルクをかける」なんていう時のトルクと思うのですが、これじゃ説明になっていない。正しくはどう解説するんだろうと調べたら「ある固定された回転軸を中心にはたらく、回転軸の周りの力のモーメント」とありました。はは。ま、捩じりですね。

torx.jpgものはKingsdun謹製、各種11本組。メモリなんかの世界でキングストンという有名メーカーがありましたね、なんか似ている。

これを何に使うかというと、パソコンのハードディスクとかスマホとか、精密部品で使用の特殊ネジ専用です。ネジ、通常はマイナス型とかプラス型ですが、こっちは特殊な星型。締めやすく、開けやすい。しかも子供がちょっといたずらして開けようとしても、けっして開けられない。サイズにぴったり適合した専用のドライバーが必要なわけです。

で、使わなくなったパソコンのハードデスクを開けて破壊するには、このトルクドライバーが必要です。写真のいちばん左にある黄色いのは、前に買った3.5インチディスク用のT-8という規格。たしか秋葉原駅前のゴチャゴチャした迷路みたいな電気街で探して、1本580円だった。高いものだなあと思った記憶あり。

今回はT3規格からT10まで揃っていて1260円。ただしプラ箱はなく、適当なビニール袋に入っていました。Made in Chinaでしょうね、たぶん。

Windows10 Homeに無償アップグレード、2日間つかった感想です。

Windows7でのデータや使用環境を維持するため、USBメモリからの上書きインストールでしたが、思ったより時間がかかりませんでした。途中でひっかかったのはMS官製のアンチウイルスソフト(MSE)だけ。メッセージが出たのですぐ削除して、そのままインストールを継続。とくに問題なくすすみました。

上書きだったため、スタート画面がやけに派手派手しくなった以外は何も変化していないような印象。ただしスタートボタンをクリックすると、例の(悪評高い)タイル羅列があらわれました。ただこれも、インストール時の選択で不要そうなもの(とくにプライバシー絡み)を全てカットしたためか、あんがい邪魔にならず。

この残ったタイルメニューも、まだ99%は不要の印象です。MSストアで買えるとか、友達と何かするとか、何かができるとか。どうでもいいこと、興味のないものばっかり。私はすべて消しました。「ピン留めを外す」というオプションを選択するとあっさり消えてくれます。

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消えたあとには、よく使うソフトやツールをピン留めしました。Win7でのショートカットと同じような感覚ですね。ここに登録して、その代わりデスクトップに置いてあったショートカットの数を減らす。

そうそう。電源オフが意外に不便です。スタートボタンから1クリックで・・・とはいかない。選択して、さらに選択する必要がある。さすがに使いにくいので、これもショートカットふうに登録しました。いまは画面下のツールバーにアイコンを置いてあります。1動作で電源オフができる。

まだいろいろありそうですが、とりあえず終了。思ったより動作は重くないです。前より快適・・という印象もないけど、すごくモタモタして使いにくいというほどでもない。ま、色づかいとかフォントとか、慣れない部分があってとまどっていますが、これから少しずつ改良の予定。

そうそう。なんか意味不明の「MSアカウント」とかいうもの、これは無視しています。従来の「ローカルアカウント」だけで何も問題ない。いろいろ調べた結果は、ようするにマイクロソフトの商売用で、MSショップとか便利な買い物に関心のないユーザにとっては、メリットゼロのような気がします。ま、今後何か不便がでたらまた考えることにしましょう。

朝日出版社 ★★★★
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副題は「歴史を決めた交渉と日本の失敗」。「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」の続編ですかね。「それでも・・」は栄光学園の高校生相手の講義だったけど、今度は首都圏で高校生を一般募集。ジュンク堂の会議室かなんかに集まってもらった。少ないけど中学生もいるし高校教師もいる。ま、関心をもった人が参加したわけです。(一般高校といっても、実際にはほとんどが有名私立の精鋭です)
しかも単なる歴史講義ではなく、聴講生には資料を読み込むことも要求。なかなか大変な夏休みだったんでしょう。
 
テーマはおおきく三つ。リットン調査団、日独伊三国同盟、日米交渉
 
通説では
・リットンは厳しい調査結果を出した。それで松岡外相が席をたって、国連から脱退した。
・ドイツが連戦連勝。バスに乗り遅れるな・・・と焦って同盟をむすんだ。
・ABCDラインで包囲されたニッポン。しかも交渉の甲斐なくつきつけられたハルノート。もう開戦しかない。
で、加藤センセイの講義というか、最近の歴史学者の研究の結果としては
・リットン卿はいかにも英国人ふうの、かなり寛容な(かつ膨大で読むのが大変)リポートを出した。つまり、日本が面子を保ったまま満州・中国に一定の利権を確保する道を残してあった。しかし政府がゴタゴタして(あるいは目がくらんで)それを利用できなかった。
 
ついでに言えば、一時は蒋介石と妥協の道すらあった。(重慶の蒋介石も苦しかったわけです)。しかし日本はなぜか(蒋介石の敵である)汪兆銘の南京政府と手をむすんでしまった。最悪のタイミング。これで好機は猿。去る。
 
・三国同盟の意味は、バスに乗り遅れるな!ではなかった。そうではなく、戦争が終わったあと(当然、英国の敗北を予想)英国やオランダ、フランスなどの植民地・保護領を日本がスムーズに占有するためのものだった。つまり戦後の分け前を確保するための同盟。同盟を結んでいないと、戦後にドイツと獲得争いになる可能性がある。
したがって、この三国同盟の結果として対米戦争になる可能性なんて、まったく予想していなかった。事実、米国は戦争を徹底的に嫌っていた(ルーズベルトの公約)。
 
・ハルノート。国務長官コーデル・ハルはルーズベルトと同じで対日戦争を回避したいと考えていた。したがって日本につきつけたいわゆる「ハルノート」も、一見すると厳しい内容のようだが、いたるところに巧妙な逃げ道があった。つまり国内向けのパフォーマンスの意味が強かったんでしょうね。
 
だから日本にたいして全面禁輸なんてする気は皆無だったような模様。そんなルーズベルトとハルがチャーチルとの会談なんかで忙しくしている間に、強硬派(米国にももちろんいた)が淡々と事務手続ふうに禁輸措置。商務省だったかな、そのへんの連中です。大統領にとってもまさか・・・という事態だったようです。どうしようか・・と考えているうちに、独ソ戦。風向きが少しかわってきた。
 
同じく「全面禁輸」になるとは夢にも思っていなかった日本側は、簡単にいうと「全面禁輸にでもならない限り戦争はしないつもり」とかねて方針を決めてあった。その「方針」が身を縛る。けっして軍部もバカではなかったんですが、つまらない前提を入れてしまったのが運の尽き。
米国の強硬派からすると、これくらい圧力をかければ日本も頭を下げてくるだろう。そう思っていた。立場をかえると今の対韓国にも似ています。しかし、まさか絶望的になって戦いを始める連中がいるとは考えもしなかったらしい。頭を下げるくらいなら死のう!なんてそんなバカな。相手を理解していなかった。
こうした結果がパールパーバーです。そうそう。例の「米軍は暗号を解読していた」というストーリーですが、実は日本だって米側の暗号を70%だか80%だか読み取っていた。日本軍だって完全なアホではなかったんです。
 
ついでに。宣戦布告の遅れですが、これも「大使館の連中が寝坊したんで遅れた」という通説はウソ。絶対に間に合わないようなタイミングで大使館へ暗号文書を送っていた。あんまりアホ扱いしてはいけませんね。反対に米国から天皇宛の緊急文書は配達を遅らされて参謀本部のどこかで眠らされていた。どこかで 課長とか部長クラスが何かを考えてサボタージュする。そうした隠微で些細な手続き遅延が大きな結果にもなる。
 
とにかく、一般論として「耳に快い通説」はみーんなウソですね。ひたすら日本がいじめられたわけでもないし、英米がいじわるだったわけでもない。日本軍はずいぶん勝手をやったけれど、軍部だけが悪で政府が善というのとも違うし、国民はフェイクニュースにあおられて騒いだけれど、かれらが調子にのって騒いだから軍も背中を押された面がある。新聞もみんながほしがるニュースばっかり書いては煽っていた。
 
誰か、何かだけが特に悪かったわけではない。流れに抵抗した連中はたくさんいたけれども、なぜか流れの本流にすべてが向かってしまった。情報もたくさんあったけれども、その流れもあちこちで滞った。土壌風土そのものがいけないんでしょうね。あのときあれが・・・というチャンスはたくさんあったのに、でもダメだった。
 
いい本でした。
ついにというか、ようやくというか、Windows7をWindows10に変更。なんせ来年早々にはWindows7のサポートを打ち切りというんですから、どうしようもない。なーんも不満はなかったのに。

Windows10って、けっこう高価です。最近の相場はHomeで1万5000円程度、Proで2万3000円くらいかな。HomeとProの相違は「勝手なタイミングで自動更新させない設定」があるかないか程度です。

自動更新は大問題です。こっちの都合も関係なく、いきなり暴力的に「更新で~す」と割り込み占有されるのは非常に困る。おまけに去年の秋の大規模更新みたいに、勝手にバージョンアップした結果がバグだらけで大騒ぎ・・なんてこともある。ということで、仕方ない、Windows10 Proを買うしかないか・・・と覚悟をきめたんですが、さらに調べてみると意外や意外。

はい。いまでもWindows7からWindows10に無償でアップグレードできるんです。去年の夏だったか秋だったかに期限がきて無償アップグレードは終了になったと思っている人が大部分と思いますが、これはあくまで「MS提供のナントカツールを使った(便利な)アップグレード」の話。無償アップグレードそのものを終了したとは言っていません。変な理屈ですが、たぶんそういうことなんだろうと思います。

具体的には自力でMSのサイトからインストールツール(MediaCreationTool)を手に入れ、Windows10をダウンロード。落とした中身は8G以上のUSBメモリに格納し、ここからインストール開始。

私の場合はだいたい2時間で終わりました。既存のソフトやデータを残したままのアップグレードです。MSE(セキュリティエッセンシャル)が邪魔になるようで削除を要求されましたが、その他はとくに問題もなく、スムーズに運びました。

まだ使い始めた段階なので手間がかかっています。少しずつ自分好みにカスタマイズしていくつもりです。そうそう。悪評高い強制的な自動更新のタイミングですが、Home版でも1カ月くらいの猶予を置かせることができるようになったみたいです。この春の更新版(May 2019)から、少し改良された。

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ユーザ無視みたいに見えるマイクロソフトですが、本当は理解しているんですね、きっと


上書きインストールなので、思ったより雰囲気は変化なし。

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