2020年9月アーカイブ

新潮社 ★★★
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著者の「ろ」は王偏に各。「革命いまだ成らず」では勝手に「譚路美」と表記してしまいました。ごめんなさい。

で、表題の本。「愛した日本」というのは少し違うかな。でも魯迅も蒋介石も日本で学び、なにかにつけて何度も何度も本土と日本を往復しています。日本はすぐ近くにある先進国。遠い欧米へいくより日本の方が手軽で文化も近い。一時は数千人が留学していたらしい。そりゃ日清戦争で負けたのは悔しかったでしょうが、でも負けたのは「清」だともいえます。中国は負けていないぞ。

魯迅の場合は「藤野先生」という短編があるので、日本に留学したことは知っていました。また孫文と日本との関係もあるていどは知識がありました。でも蒋介石については、ほとんど皆無。

なるほど。蒋介石は長岡外史の下で二等兵として勤務していたことがある。もちろん近代的な軍事行動、軍運営について学ぶためです。しかし途中で故国から「革命成功!」の知らせを受けて(もう少し待てといわれていたのに)焦って脱走、帰国してしまった。せっかち

その当時の蒋介石、かなり平凡な男だったらしいです。勉強は嫌いだし、さして熱心でもない。とくに勇敢でも切れ者でもない。後年「あの男がねえ・・・」とみんなが意外に思ったらしい。孫文に仕えてからもとにかく功を焦っていた雰囲気がある。おまけに怒りっぽい。

というように、いろいろ面白いエピソードがいっぱいなんですが、個人的に興味をもったのは蒋介石の結婚遍歴。少なくとも3回、あるいはそれ以上。で、最後の宋美齢、なんとなく孫文との縁で再婚かと思っていたらこれが大間違い。(宋三姉妹。次女の慶齢は孫文夫人。三女の美齢は蒋介石と結婚)

譚ろ美に言わせると、宋美齢はそろそろ行き遅れの年齢にさしかかり、父親が焦っていた。おけにあんまり美人でもなかったし(たぶん気は強かった)。おまけに蒋介石には惚れて結婚した(何回目かの)妻がいたんだけど「別れてうちの美齢を妻にしてくれればたっぷり資金援助するぞ」と申し出があった。うーんと迷ったあげく、ついに決断したわけです。

で、無理やり離縁された古女房、後日、涙で腫れ上がった目で新聞を読むと「実はあれは妻ではなかったのです・・・」と蒋介石が談話を発表していた記事があったらしい。悪い男です。でもそのお蔭でお金がたっぷり入った。革命は成功。蒋介石は大出世。

本筋と関係ないですが、魯迅も女と肉親絡みではいろいろ苦労したみたいです。ちなみに弟の奥さんは日本人だった。いずれにせよ、男が勝手気ままにふるまっていた古い時代です。


集英社インターナショナル ★★★
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日本はなぜ基地と原発を止められないのか」の矢部宏治の本です。内容は、表題そのまま。

ま、想像した通りですが、要するに日本政府は(伝統的かつ致命的に)外交が下手というか、できないのね。島国だからでしょうか。

そもそもを考えれば天智の白村江の戦いからしてそうです。元寇もそう。問答無用で元の使者を切るってのは、外交でもなんでもない。頼山陽は「相模太郎、胆カメの如し」なんてオベンチャラいってますが。もっ後になると秀吉の能天気な朝鮮遠征ですか。

時間が足りなくて、実は最後まで読み通していません。したがって勝手な推測も入っていますが、理想憲法を作らせたものの朝鮮戦争で事情がガラリと変わり、マッカーサーはたぶん焦った。困ったことをしちゃった・・・と後悔。そこで登場したのがやり手のダレスで、日米安全保障条約の「生みの親」とか言われてるみたいですが海千山千。日本政府はみごとに騙された。いや、騙されたふりをしたのかな。

結果として、米国は日本を(いざとなれば)好きなようにできることになった。基地権の密約、指揮権の密約。指揮権ってのは、いざ戦争になると日本軍は米軍の指揮下に入るという意味です。で、日米お互いバレては困る都合のわるい部分は秘密会として覆ってしまい、まずまずお互い満足の形で終了した。そして与党自民党であっても、ほとんどの政治家はこのへんの深い事情を知らない。(だから鳩山の「知らなかった・・」という奇妙なコメントがでてくる)

ま、そういうことのようですね。そして問題は、以後数十年、政府も外務省も、誰もこの取り決めを根本解決しようとはしていないことでしょう。いや、岸の孫のアベがもっともっと悪い方向に動かしたのかな。ほんとになに考えてんだか。実に気分の悪い本でした。



文藝春秋 ★★★

12ninnoshinitai.jpgタイトルからはあまり期待していなかったのですが、予想外に面白かった。冲方丁という作家、ときどき外して悲惨なのもあるけど、おおむね読ませますね。

えーと、要するに事情をかかえた12人の子供(年齢も家庭環境もいろいろ)がとあるビルに集まって、みんなで自殺しようと計画する。一人じゃ寂しいし、なかなか決心がつかないわけです。みんなでやるんなら、いいか。

ところが予想外の事件がおきたり、意見の不一致がおきたり、なかなかスムーズに運ばない。ま、そういうお話です。

笑える部分も多く、そんなに深刻な内容でもないし、推理小説のような味もあり()、ま、良作なんでしょうね。そこそこ楽しめました。

読了後、めずらしくザーッと再読。ぱらぱらと詳細部分を確認したり。推理小説でもこんなことするのは珍しい。

文藝春秋 ★★
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江戸時代の歴史に埋もれた3つのパターンのストーリー。東北の街道筋の商人たちが、寂れた町を存続させるために密かに計画をたて、爪に火をともして銭を貯める。義民、義士ですね。

あるいは世俗を離れ、ひたすら無欲・純粋、学問と詩作に生きた男。すばらしい詩人でもあったらしいけど、書いたものを捨ててしまったんで、詳細不明。

そして幕末の京に生きた風変わり、規格外の尼僧。美人だっただけでなく文武百般、なんでもできた。ゆいいつ下手だった焼物も苦心しているうちに味が出てそれが人気となった。

「無欲」という言い方でいいのかどうか。ちょっと違うような気もします。無私、無欲、奉仕。衣食住、立身出世など個人的な欲望の否定。そんなところでしょうかね。江戸時代あたり、そうした生き方の理想象がたぶんあった。

ま、面白い本でした。あまり資料のない人たちだったらしく、発掘は大変だったようです。

追記
話のついいでに荻生徂徠「せこい男」であったことが紹介されています。非常に納得。落語の世界では長屋住まいをして豆腐屋をただ食いで泣かせたこと。また赤穂浪士の切腹処分を具申したんでも有名だったかな。それ以外はよく知らない学者です。


雑誌「Number」が将棋特集号「藤井聡太と将棋の天才。」を発売。中国なんかでは「碁はスポーツ」「棋士はアスリート」という感覚で、だから少し前のアジア競技大会では碁の部門も設けられた。とうぜん棋士たち対象のドーピング検査もあったそうです。というわけで、碁がスポーツなら将棋もスポーツ。「Number」が特集組んでも不思議じゃないですね。

で、発売当日にもう増刷を決めたらしい。それでも足りなくて、翌日にも増刷を決定。トータルで8万部をプラス。思ったより読者の関心があった。計算違い。

number1010.jpgそんな記事を読んで、すぐ本屋を見に行ったけど、もちろん在庫なし。他の本屋でも同様だったので、仕方なくアマゾンに頼みました。できれば実店舗で買いたかったんだけどな。

さすがに藤井聡太だけではもたないと踏んだのか「天才たち」の記事写真もふんだんに取り込んでありました。渡辺明や羽生善治は当然として、谷川浩司とか中村太地とか、珍しいことに里見香奈の記事もある。練馬の白瀧呉服店にも取材している。

記事を書いている将棋記者とかライターとか、ふだんとは筆致が少し違う。Tシャツだったのが急にワイシャツを着た感じ。中には季節外れのスーツを着込んでしまったライターもいて、笑ってしまう。はい。妙に格調高くって、空回りしている。有名誌で緊張したのかな。

そこそこ面白く、数時間は楽しめました。さすがに写真は綺麗です。


きっと忘れるだろうから、主なものをメモ。

集団的自衛権( 安保法制)  / 共謀罪 / 特定秘密保護法 /  高プロ / 森友 / 加計 / 桜 /

他にもあった気がするけど・・・うーん。もう記憶がおぼろになっている。検察庁法案なんてのもあったな。

ついでに人物も。
安倍晋三 /  ロナルド・トランプ / 習近平 / プーチン / ネタニヤフ / エルドアン / 文在寅 / ボルソナーロ / ルカシェンコ / ボリス・ジョンソン / ・・・・で、スガは?
ようやく秋の気配を感じられる空気。朝、北側と南側の窓を開け放つと、北窓の薄いカーテンを揺らして涼風が吹きぬける。心の底から嬉しい。

先日、汗まみれで髪振り乱した己が姿を鏡で見て、うーん、こりゃ某エビス氏だ。ガマンし切れず、床屋で短くしてもらう。似合いはしないが、すくなくとも涼しい。

去年の暮れから通い続けた歯医者はようやく卒業。先方は「また来い」と言っていたような気もするが、もう十分です。一生分、通った。こんなに綺麗な歯になって、もう死ぬまで持ちそう。あはは。

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