「日本まんが 第壱巻 第弐巻」荒俣 宏

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東海大学出版部 ★★★
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戦後のブームを支えたマンガ家たちを、年代別にインタビュー。第壱巻は「先駆者たちの挑戦」。やなせたかし、ちばてつや、水野英子、水木しげる などなど。第弐巻は「男が燃えた!泣いた!笑った! 」で、さいとうたかお、松本零士などなど。

まさにマンガ史一覧です。面白かったし、知らないエピソードが非常に多かったんですが、それよりインタビューを受けたマンガ家たちがみーんなトシヨリになってること。

トシヨリというのは、たんにトシをとってるだけでなく、グチが多くなったり、我を張ったり、自慢コキになったりということです。それが面白い。

たとえばトキワ荘の女性1号として知られる水野英子なんかは、自分のマンガを本にしてくれる版元がなくなって苦労している。書きためているのに発表できない。ブツブツ。()

水木しげるなんてのも、ひたすらお金のことしか考えてないみたいな雰囲気。当然でしょうね。貸本時代はひたすら苦しかった。連載始まってからは苦労がなくなった。オレはうまく転換できた。うまくいった。ほんと、喜んでいる。夫婦そろって喜んでいる

松本零士はイメージと違って、スーパー野蛮人()。関門海峡を泳いで横断しようとしたり、ライフル持ってライオン追っかけたり、やりたい放題。
ライオン、本当は撃っちゃいけないけど、さすがに危険を感じた緊急事態なら発射できるルール。それを逆手にとってライオンを徴発、迫った。危険な雰囲気感じて賢いライオンは逃げた

そうそう。荒俣宏がマンガ家になろうとしていたとは知らなかった。ちなみに第参巻は里中満智子なんかの少女マンガらしいです。

水野って、予想外にマンガ開拓の功労者だったんですね。意外。彼女が敷いた道を、以後の女流がするすると通過していった感がある。
ちばてつやと正反対。ちばは描くのが遅くてほんと苦労したらしい。売れたけど、大変だった。苦労だった。野球を知らないから自由に魔球を創作できた。