「最後の瞽女 小林ハルの人生」桐生清次

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文芸社★★
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最後の瞽女については何冊かの本があるようです。たぶん、そのうちの一冊。

1900年の生まれと書かれていました。明治33年。きつい時代ですね。障害者への差別は半端じゃない。豊かな家なら離れとか土蔵で育てられたり。貧しければ、言うにはおよばず。外に出ればののしられる。石を投げられる。とくに田舎の子供は残酷です。

この小林ハルさんは豊かな農家の生まれらしく、目を悪くしてからは生母がきつく躾けた。理不尽に感じられるくらい厳しかったらしい。ただ、そのおかげで一人で生きる術を身につけた。自分を主張しない、口答えしない。ひたすら耐える。

瞽女になってからも周囲の大人、養女、係累、ひどい連中がいっぱいいた。その代わり、親切にしてくれる人もいた。唄をうたって三味線ひいて門付けして歩けば、盲目の女でもなんとか飢えをしのげた。たぶん、多少の貯えもつくれた。

ま、そうやって生きてきた。年取って廃業してから入った養老院でも、最初は必ずしも安穏ではなかったようです。意地悪な人間はどこにでもいる。でもそのうち周囲がだんだん暖かくなってくる。そしてふとしたことから「最後の瞽女」なんて呼ばれ、本を出版させられたりレコーディングされたり表彰されたり。最後は人間国宝

そういう人がいたんですね。晩年は105歳まで生きた。芸に感動して後継者も出現した。瞽女ではないけど瞽女唄をうたい継ぐ。

悲惨な内容でもあります。頻出する新潟弁もあって、決して読みやすい本ではなかったです。