「一発屋芸人の不本意な日常」山田ルイ53世

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ippatuyafuhoni.jpg朝日新聞出版★★

山田ルイ・・・はお笑いコンビ『髭男爵』の太っている方、右側に立っている芸人の名前です。通常、ボケとかツッコミという言い方をするようですが、実はこれがわからない。ボケが何をする役割か、ツッコミは何をするのか、知らんです。

ネットで山田ルイがいい原稿を書くということを知り、ためしに読んでみようと思った次第です。図書館で検索すると「一発屋芸人列伝」「一発屋芸人の不本意な日常」の2冊がすぐ予約できました。列伝のほうが年度が古い模様。

「・・・列伝」は文字通り、一発屋といわれる芸人たちのあれこれです。レーザーラモンとかテツandトモとか残念サムライとか安村とか。ま、10人ほどかな。これが新潮45の連載だったというのが面白いですが、中身はだいたい想像通り。登場芸人がみんな山田ルイと親しいというわけでもないし、みんながみんな魅力的ということでもない。まったく聞いたことない芸人も何人かいました。

そうそう。この連中が過日、会を作ったんだそうです。一発会。集まってそれぞれ、お前は何発に相当するかなどど笑いあった。小島よしおは売れたから1.5発か2発だろう。髭男爵は0.8発か、などなど。楽しい会なのかほろ苦い会なのかは不明。ただ、誰も終わってから「次、行こう!」とは言わなかった。タクシーで帰ったやつもいなかった。そう「・・不本意な日常」で書いていました。

たしかによく書いていますね。読ませます。それでも、2017年に連載の「・・列伝」はちょっと面白さを狙っているかな。この本は評価されて、なんか賞をもらったようです。

ippatuyaretuden.jpg「・・日常」は2年後の2019年刊で、テーストはちょっと苦い。一発屋として生きることの中身を正直につづっている感じです。淡々として、少し辛い。

「・・列伝」は少し笑える。「・・日常」は少し本音、真剣。読後感はどっちも悪くないです。

 

「一発屋芸人列伝」
新潮社★★