岸田官邸の実像

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先日朝日新聞に掲載の「岸田官邸の実像 追従」が面白かったので、読み直し。御厨貴氏へのインタビューらしい。(要旨。敬称略) 


 一国の首相として・・・物足りない。何かにかける情熱が見えない。「この時代に政治はどう対応していけばいいのか」といった発想が見えない。

 コロナでもウクライナでもG7でも、利用できるものは徹底的に利用する、その精神はすごい。だからあっという間に原子力政策をひっくり返す。そのスピードがすごい。状況追従主義は、もの深く考えないから早く結論が出せる。そして、何を言われても動じない。あまり前途を心配しないタイプなので、その点では生まれついての宰相なのかも。

歴代首相と比べて・・・誰にも似ていない。ここまでノンシャランとしている人はあまりいなかった。自分に能力がないことを感じている首相はたくさんいたが、その能力がなければ誰に任せるかを考える。海部俊樹は党務を小沢一郎に。宮沢喜一は党務をぜんぶ竹下派に丸投げした。

 岸田も海部や宮沢に本当は近いはずだが、唯一違うのは、自分の足らないところを深く考えない。どうしたらいいのかと思っていない。やれると思っている。プラス思考。

 本人は外交に強いと思っていて、外国首脳との会議にも動じないところはすごい。こういうタイプはなかなかいない。中曽根、小泉、安部もそういうタイプだったが、個性も強かった。岸田は個性はあまりないが、それを発揮できる。

 物に動じない性格は、今のような危機の時代には安心感を与える。「この人に任せておけばそう間違いはないだろう」と思われているところが強み。

ただ原発事故や戦争、対中関係などで何か大変なことがあったとき、この政権は意外に弱いのではないか。大変なことがないことを前提に、いまの状況だけで政治を考えているように見える。

 官邸は「安部官邸以前」に戻った。官邸が相対的に強くなっているのは間違いないが、安部のように各省で優秀な官僚を個人的に官邸に連れてきて、徹底的に働かせ、各省とは対立。そういう発想はない。やはり「宏池会」なので、官僚をうまく使い官僚との関係を政治にうまく生かしていくのが特徴。

 ではこのままでいいのかというと、なかなか難しい。安部によって相当傷つけられた(官邸を含めた)官僚制が、傷を癒して元のように戻すべきかというと違う。


うーん、最後の「元のように戻すべきかというと違う」の部分は少し意味不明ながら、それ以外は納得でしたね。御厨と言う人、皇位継承問題では有識者会議座長代理で、なんか拍子抜けの結論しか出さなかった人ですが、この記事は面白かった。