Book.02の最近のブログ記事

東京書籍


dameni.jpg書き手が豪華なので、面白そうだなと、つい借りてしまった。失敗。

ようするにこの三人が、酒でも飲みながら(たぶん)言いたいほうだいのアホ話をする、という趣向。どんどん悪のりして話題が横道にそれたり、異次元に飛んだりする面白さを狙ったはずだが、読み手である私はあいにく乗れなかった。3分の1ほど読んで、諦めた。

どこかの雑誌で対談(三人だから鼎談か)したものをまとめたらしい。そういえば、前にもこの東京書籍の本で失敗したのがあったな。相性が悪いんだろうか。


中央公論社 ★★


kokugo.jpg著者はカナダ人らしい。山口県あたりの大学で歴史を教えているとか、最近は翻訳が多いとか紹介してあった。

中身はおおむね想像通り。官僚用語、政治家用語、広告業界用語(これが「財」のつもり)を徹底的に分析して笑い物にしたり、感嘆したりという本。

こう書くと単に笑いをとるための本のように聞こえるかも知れないけど、けっこう本格的だ。日本人執筆でここまで突っ込んだ本がいままでなかったのが不思議なくらい。取り組み方や執筆態度は非常に真面目。

何年日本にいるのか知らないけど、ここまで広く資料を集めて、達者に書くことができる人がいる。すごい。


平凡社 ★★★


allways.jpg将来の世界を民俗学的アプローチからとらえた本。カリフォルニアあたり(当然、地形も大幅に変わっている)の小さな谷間の住民たちの生活や伝承がテーマとなっている。

考えてみたらル・グィンおばさんって、元からこういうアプローチで小説を書いてきていたんだな。特定の惑星の住民のことなら「風の十二方位」とか「闇の左手」になるし、ある島々での魔法修行なら「ゲド戦記」になる。荒れ狂う冬の日、暖炉の周囲で老婆が語る昔話の雰囲気。こうしたル・グィンの志向が煮詰まったのが、このオールカミングということなのだろうか。ただし、なかなかに読みにくい上下二巻。(実はまだ読み切っていないのです・・)

多分「風の十二方位」の一挿話と思うけど、輝く金の髪の奥方が宝石を探してドワーフ(かな)の助けを借り、何も考えずに宇宙船に乗り込んで浦島になってしまう悲劇。妙に記憶に残る哀しさがありました。ル・グィンって、雰囲気を作る名人ですね。

追記:
金髪の奥方の話は「セムリの首飾り」。悪龍がドジな魔法使いになって身をひそめる「名前の掟」もよかった。


塩野さんの「ローマ人」が刊行されたらしい。本来ならすぐ買いにいくところなのだが、今月はモニター購入のあおりで極端にお金がない。しばらく我慢。

この15日、下欄の「文人悪食」などを図書館に返却。妻も読みたいと言っていたので貸し出し延長を頼んでみたが、予約が入っているとかで却下。

前にもトライして失敗したル・グィンの上下2冊本を借り出した。ル・グィンは好きなんだけど、この小説(未来のカリフォルニアが舞台?)はどうも読みづらい。無事読了したら報告します。

共同通信社 ★★★


america2.jpg以前に第3巻を読んでしまったが、その後で図書館に行ったら1.2巻もあった。もちろん借り出し。

内容は、ま、予想通り。ジョージ・ワシントンとか、アダムスとかジェファーソンとか、いろいろ難点はあったものの傑出した人間であったというようなことかな。偉人の扱いにしても、南北戦争やインディアンの見方にしても、よく言えばバランスのとれているのがこのポール・ジョンソンの特徴で、決して「騙された純情なインディアンたち!」といった観点は取っていない。だからといってカスター将軍を持ち上げたりもしないけどね。

7代のアンドリュー・ジャクソンという大統領。けっこう印象に残った。怒りっぽく、妻の名誉のために決闘で殺した人間は数知れず。生涯体に数発の銃弾を入れたまま、頑固一徹で生きた元軍人。その後をついだバン・ビューレンという政治屋もなかなか面白い。男やもめでホワイトハウスは豚小屋のように汚かったという。アメリカ史もこのへんの時代はいいなー。

内容が濃いので、2冊読むのにかなり時間がかかってしまった。


マガジンハウス ★★★★


akujiki.jpg笑えます。笑っているうちに、だんだん気味がわるくなってくる。どいつもこいつも作家とか詩人というのは濃い人間ばっかりだなー。石川啄木がけっこう美味しいものも食べていたというのも、なんとなく納得。ただ、何を食べても啄木が書くと悲惨な味になる。

樋口一葉が超小食だったとか、漱石が最後まで甘いものを食べたがった(辰野隆の結婚式に呼ばれた漱石が、鏡子夫人の目の届かないところで甘い南京豆食べて最後の吐血)とか。

高村光太郎の詩(なんだったか、貧しいながらも米とクサヤと何かを買って、智恵子とひたすら逞しくむさぼり食い、そして壮絶に愛し合うというやつ)だけが、不思議な事に清涼剤のようで記憶に残る。白い米のご飯とキラキラ光る冬の長ねぎを自分も食べたくなる。

補遺:
光太郎のは智恵子抄の「晩餐」のようです。ちっとも食についての評論は書かなかったけど小林秀雄が超うるさい食通だったとか、山本周五郎が意外にもアドルム呑んでいたとか。梶井基次郎から送ってもらったレモンが汚かったとか。いろいろ。


朝日新聞社 ★


takagen.jpg他に「退屈な読書」(朝日新聞社)、「タカハシさんの生活と意見」(東京書籍) 。血迷って高橋源一郎を3冊も借りてしまった。

面白いんだけどなー。面白いけど、なかなか読み通せない。3冊ともパラパラ、チラチラという読み方しかできなかった。「こんな日本でよかったら」は比較的読んだけど、それでも多分8割くらい。

この本はASAHI EVENING NEWSで「日本文化への疑問」に答える形で掲載したコラムの原文(日本語)なんで、巻末には掲載どおりの英文ものっています。さすがにこっち英文は全部あわせても2ページ程度しか目を通してません。じっくり読んだら日本語より笑えるかもしれないんですけど。編集部もあの文体を英語に訳すには苦労しただろうな。

高橋源一郎を図書館から借りるのはこれで2回目。今回もやっぱり挫折してしまいました。相対するためのエネルギーが、私には足りないようです。妻は相性がいいようで、私のいないときにけっこう読んでたみたい。


というわけで、Wizardry8が忙しくって、とんと本を読んでいない。

せいぜい、「高橋留美子のマンガ」を飛ばし読みしたり、また火がついて「ローマ人の物語」をめくったりしている程度。それでも多少はあるので、たぶん、来週あたりには報告します。

shiba1.jpg主として通勤時間を使って、まだ読んでいる最中。分厚い。比較的新しいエッセーや講演を集めたもののようだ。平成13年の1刷り。

内容そのものは過去の司馬エッセイにさんざん登場している馴染みのテーマで、司馬さんという人はこうしたいくつかの大きなテーマを生涯かかえこんで、それを何回も何回も反芻して話し続けてきた人のような気がしてくる。

今読んでいるのは「浄土--日本的思想の鍵」と題された章で、真宗がテーマ。数十ページにおよんでいて、けっこう読みごたえがある。

関係ないけど、私の特に好きな司馬本は「坂の上の雲」「項羽と劉邦」の2冊です。街道シリーズもいいけど、多数読んでいくとだんだん舌が鈍化して、味がわからなくなるような印象がある。


BNN ★★★★

先月の駄文(些事日乗)で小田島流・貧乏と貧困の定義をおぼろな記憶で書いたが、思いついて本棚から引っ張りだしてみたら、かなり違っていた。いいかげんなもんだなー。

正しく引用すると「貧困とは昼食にボンカレーを食べるような生活の事で、貧乏というのはボンカレーをうまいと思ってしまう感覚のことである。ついでに言えば、中流意識とは、ボンカレーを恥じて、ボンカレーゴールドを買おうとする意志のことだ」(ハッカーの金銭感覚より)

刊行されたのは昭和63年。そんな昔になるのか。この頃の小田島隆という人、活躍の舞台はあくまでマイナー誌ながら、ギラギラ輝くような感覚と才能、鋭い文体が魅力だった。将来どんな書き手になるのか、楽しみだった。その後たしか朝日新聞の「パソ」に連載を持ったはずだが、その鋭角さが急に鈍っていて失望した記憶もある。言葉は悪いが、荒野の狼が牙を隠して座敷に上がったら、ただの室内犬になってしまったような印象。小田島氏の毒のある個性と大朝日では最初から不幸な結婚だったんだと思う。

あらためて読み直しても、文体は相変わらず輝きを失っていない。天才的なものさえ感じる。もちろん書かれている内容自体はさすがに古いし、テーマも陳腐(というか、当時の掲載誌に問題があった)だが、それでもまだピカピカ光っている。東京に等高線を引いた場合の「赤羽崖っぷち論」など、何回読んでも笑える。

念のために調べてみたら、小田島氏のホームページもあった。本もいろいろ出しているらしい。少しホッとした。心ひそかに応援していた人なのです。


中央公論社 ★★★

多分、3回目くらいの読み直し。要するにイタリアのジャーナリストがかみ砕いて書いた通俗番ローマ史で、終始軽妙な文体でトントントンと進んでいく。しかし一見の印象とは別に、書かれていること自体はかなり真面目だし、分析も鋭い。

多分、いろいろなローマ史本を読み尽くした歴史通にとってはニヤッとできる本なのだろう。あまり歴史を知らない人間にとっても、それなりに楽しめる。ただし、これを読んでしまうと塩野七生さんのローマ史とゴチャゴチャになって、どっちに書かれていたことだったか混乱してくる。

そういいえば、そろそろ寒くなってきたから「ローマ人の物語」の新刊が出る頃合いだなー。いつ本屋に並ぶんだろうか。


日本列島の謎に迫る。たとえば地域による「桜もち」の相違と「道明寺」の存在。赤飯に入れる豆は小豆か甘納豆か。ところてんは甘くするか酸っぱくするか、等々。

例によって朝食前にザッと読み流した。ところどころは笑える。

角川書店 ★


moshi.jpg著者は宮内庁大膳課にいた人らしい。ある日突然、宮内庁からの招待状が舞い込んだとき、庶民であるあなた(および奥さん)はどう対処するか・・。ふつうはあり得ないとこなのだが、なんせ田中耕一さんの例もあるからなー。(今日の朝、文化勲章受賞のため正装した田中ご夫妻の写真を新聞で見た。妻によると、いい御着物だそうだ)

前半は招待状の細かな読み方、用意すべき服装、金額、前夜の過ごし方、交通手段などなど。後半は晩餐会の実際とマナーなど。著者によるとこうした公式行事はすべて「プロトコル」に乗っとって行われるものなのだそうだ。

昔、つきあっていた英国人の友人から「マナー」と「エチケット」の相違についていろいろ(日本語で)レクチャーを受けたことがあり、片方はいわば一般社会常識、片方は外交官などに通用する交際ルールであって、本来はまったく違うものと聞いた。どっちがどっちだったかは、もう忘れた。

こうした「マナー」と「エチケット」の更に上位に「プロトコル」なるものが存在していたとは・・・。「プロトコル」じゃ、通常の生活をしていたら身につくはずもないわな。一読、かなり笑えた。ただし後半の


NHK出版


toshimatsu.jpg悪名高い大河ドラマの原作となった著書。本人が原作(?)を書いて脚本もやっているんだから、この竹山さんという人の方向性はこの本ですべて見えるはずだろうと、怖いもの見たさで借りた。

今年の利家とまつについては、大河ドラマサイトなどで徹底分析され、かつクソミソにけなされている。借用になるかもしれないが、私自身も実感しているのは

・どこのお城もすべて出入自由で至便の3LDK構造
・近畿・北陸など各地を結ぶ「どこでもドア」開通済
・少数の主要人物はどこでも、何にでもすぐ集合する
・登場人物の性格と意見は毎週コロコロ変わる
・季節はその場に応じて自由自在に変化
・腰元・小姓・家来などは原則として存在しない。

見たことのない人には意味不明かもしれないな。たとえば清洲時代は重臣・柴田勝家が、部下・利家の留守宅に上がりこんでまつとダベっていたり、淀の方は生まれてまもない捨松を抱いて、前触れもなく金沢城の一室に出現したり(絶対にワープ!だ)、利家夫人が急に一人で城を抜け出して敵方の富山へむけて(吹雪の中!)歩きだしたり。それを亭主が一人で追いかけてきたり。佐々の奥方がなぜか厳冬の立山で遭難して助かったのに、夫には無意味に秘密にして会わなかったり。ま、しっちゃかめっちゃか。

で、文句ぶーぶー言いながら、でも毎週見ています。だって今度はなにをやってくれるか、ワクワクしてしまうんだもの。

そうそう、肝心の本の方ですが、こりゃ小説ではありませんな。テレビ見てるよりは登場人物の心理説明らしきものがある程度で、基本的に肉付けゼロの単なる脚本です(それもセリフの重みがまったく感じられない脚本)。それにしては厚い本で上下2巻もある。寝る前に寝っころがって下巻の半分までは我慢したけど、もう終わり。NHK出版もよくこんな本を出版したなー。倉本聡さんなんかんだと、テレビもいいけど脚本読む方が楽しい部分もあるんですけどね。

上巻を借りてる人が待ってるといけないんで、なるべく早く図書館に返却します。

そうそう、「アメリカの歴史 第3巻」も駆け足で読了。予想通り、ケネディは徹頭徹尾クソミソに叩かれていた。P.ジョンソンって、決して読みやすくはないのだが、こうした頑固オヤジふうのところがあって、つい手にしてしまう。


共同通信社 ★★


america.jpg実はまだ読み切っていない。実は1巻、2巻も読んではいない。たまたま図書館の新着図書コーナーでこれを発見したので、パクッと借りてしまった。ポール・ジョンソン爺さんだから、たいして面白いはずはないけど、なんといっても新刊だからね。図書館で新刊を借りられるなんて超ラッキー。

このとき一緒に借り出したのが「サローヤン伝説(ローレイ・バリー・ギフォード/青土社)」、「入江相政日記 第3巻(朝日新聞社)」。サローヤンの方は前半4分の1を読んで飽きてしまった。少なくともこちらが勝手にいだいていたイメージとはかなり違う人物だったらしいことだけはわかった。若くして成功して、予想外にリッチな男だったらしい。

入江日記は面白そうな印象。御所へ通勤して、誇りを持って仕事をして、たまさか入手した食べ物やお酒に心から喜びを覚えて(大変においしくいただく、という趣旨の記述が非常に多い)、自己流体操をしてから寝る毎日・・。機会があったら、また読もうと思う。いかんせん今回は時間がなかった。

というわけで冊数が多すぎたなー。下の方で書いた「天皇の世紀」もあったし、土日はゲームで忙しいし、旅行も入りで、今回の借り出しは失敗。ほとんどが読み残しになってしまった。

「アメリカの歴史」で記憶に残ったのは、国際連盟提唱で理想派学者肌「悲劇の政治家」というイメージだったウィルソン大統領が、かなり違うタイプだったらしいこと。P.ジョンソンによると、議会側は多少の譲歩と引き換えに国連加盟法案を通す意思があったのに、なぜかウィルソンは頑固に突っ張ったため批准案は潰れ。結果的に国際連盟そのものも屋台骨なしのクラゲ状態となる。このウィルソンの晩年は廃人同様で、恐妻が大統領代理サインをしていたなんてのも、すごい。

ついでに。歴代大統領の中でも評判の悪いクーリッジとかフーバー。これもP.ジョンソンによると立派な仕事をしていた。ただ任期中には成果があがらず、漁夫の利の形でその収穫をざっくり頂いたのがF.ルーズベルト。真偽を判定する根拠はなにもないけど、いかにもありそうな話だと思う。

高安犬物語(戸川幸夫/新潮文庫)」もつい最近読んだことを思い出したので記しておこう。もちろん再々読か、再々々読かになる。こちらの歳のせいか、少年時代ほどには感動を覚えなくなった。文章のあちこちから作者の「意図」が見えてくるようで、ちょっと身を引きたくなる部分がある。

とはいっても、やはり名著であることに変わりはないのだが。

そうそう「美空ひばり(大下英治/新潮文庫)」も半分ほど読んだのだっけ。たぶん、再読。あいかわらずそれなりに面白かったが、多分残りの後半はもう読まないだろうな。


小学館 ★★★

巻数はいいかげん。寝室の本棚に積んであったものを適当に再読(再々々々読かな?)している。最初は確か32巻くらいから読んで、次に26巻から進んだ。寝る前にページをくっていると、ちょうど1巻で飽きて眠くなる。

いつも感じることだけど、高橋留美子ってのは天才だなー。キャラクターの性格・絵ともにすべてユニーク。男も女も同じ顔で、違うのは服装と髪形だけという少女マンガ(という言い方は縄文時代だろうね)に辟易しているんで、こうしたまともなキャラ作りのできる人は尊敬してしまう。「陰陽師」なんかも大傑作とは思うが、このオール似・顔キャラの部分で疲れてしまう。

それより何より、登場する動物がすべて邪悪な目をしているんだな。ダチョウもツバメもネコもパンダ(パンダはらんま1/2か)、身勝手な人間への憎悪にあふれている。人間自体もそうだね。みんな徹底的なエゴイスト。海の家のオヤジや錯乱坊、あたるは当然なのことながら、さくらも、しのぶも、竜之介も、小狐も基本的に自分のことしか考えていない。いいなー。

まったく個人的かつささやかな希望としては、乱闘炸裂シーンがもうちょっと控えめなら言う事ないんだけど。その点、「らんま1/2」はなかなかに疲れるシリーズで、再々読まではなかなか行き着かない。なんせ、歳だからね、激しさに対応できるエネルギーがないんです。

追記
「性格・絵ともにすべてユニーク」は褒め過ぎだな。特に美形キャラの顔はけっこう同じパターンなんだけど・・。でも不思議に違った顔に見えてしまうから不思議。


朝日新聞社 ★★★


tennou.jpgなんとなく全12巻くらいはあるかと思っていたが、この10巻がいきなり最終巻。しかも前半の3分の1くらいで絶筆で、残り3分の2は索引。ヒョイとすかされたような印象が残る。3カ月以上にわたって斜め読みながらもチビチビと、惜しむように読み進んできたのがついに終わりになってしまった。

不特定多数が借りる図書の宿命だが、5~6巻あたりまではシミがあったり汚れが目立っており、ページを開くとカビの臭いがただようようだった。しかし最終巻はまだ美麗。心なしか新鮮な紙とインクの香りすら残っている。

北越戦争で河井継之介が脚を撃たれたところでこの連載が終わったとは今日まで知らなかった。たしかこの後の河井は退却に移り、司馬さんの本で得た知識によれば、従僕(松蔵だったかな)に夕暗せまる庭で火を焚かせ、その炎を横になって眺め続けることになるはずだ。

前巻の世良(長州)とも共通するが、これまで抱いていた土佐の岩村精一郎(河井の懇願をにべなく蹴って北越戦争を勃発させてしまった男。後に男爵)のイメージも微妙に変化した。今までは、なんという分からず屋だろうと思っていたが、考えてみるとこれは河井の方に無理があるというべきだろうな。実際、ここで岩村が妙にものわかりのいい男だったら奥羽北越戦争も中途半端になり、明治維新の方向性も変わってしまったかもしれない。あの段階で長岡藩が中立を守り切るなどどいうのは、やはり虫のいい幻想にすぎなかったのだろう。河井の、あまりに巨大な自負心の空回り。


筑摩書房 ★★

大昔、どこかの書評で見たような気もする。先週たまたま会社の所属部署が引っ越しをすることになったが、例によって業者の手順が狂い、何もできない空白時間が生まれた。要するに机も電話もない、PCも使えない、整理する荷物もまだ搬入されない・・・という時間。仕方がないので書店に行って暇つぶし本を探したら、偶然これに当たったという次第だ。で、オフィスの隅っこに座っていざページを開いたら、急に他の連中が机を運んだりし始めたので、仕方なく世間のギリで一応手伝うフリなどするはめになり、結局読む暇がなくなってしまった。

原題は「SCOTLAND, BLOODY SCOTLAND」。ま、哀しいスコットランドの歴史です。哀しいというのは悲惨ということではなく、同情する価値さえあるやらないやらの頑迷な国情とワンパターンの混乱の歴史。故に「哀しい」という表記になったらしい。

ページ数も少ないイラスト入りだけど、寝る前とか、ちょっと時間のあるときとか適当にパラパラ読んでいたら、1週間もかかってしまった。ま、可もなく不可もないといった、それなりの本。書いたのはスコットランドの男爵らしい。自国の嘆かわしい歴史を淡々と、ちょっと自虐的なウィットでつづっている。

これも大昔、スコットランドをレンタカーでうろついたことを思いだした。グラスゴーから車(ただし私は運転せず。助手席)で薄暗いネス湖を経由し、なんと最北のインバネスまで行ってしまった。スコットランド銀行発行の独自紙幣があって、これはイングランドに戻ると使えないと言われた。ただし、イングランド紙幣はもちろんスコットランドでも通用する。

そのとき案内をしてくれた人が途中で「今通っているのがボーダー。国境です」と教えてくれたが、確かに一山上がった感じがあって、以後はいっそう貧しい風景になったことを覚えている。

17世紀か18世紀あたり(もう忘れた)に最後の反乱が起こり、例のハイランドの戦士(ナントカ・ハイランダースという軍だったような気がする。当然毛ズネ足キルト姿の騒々しい軍だったんだろうな)がバグパイプを吹きながら華々しく全滅して、スコットランドの独立はオシマイ。そういえば北海油田の成功で、また独立機運が高まってきたという噂も前に聞いたけど、どうなったんだろう。


朝日新聞社 ★★★


tennou.jpgまだ読了していない。巻9の内容は浦上のキリシタン強制移送と迫害。奥羽列藩同盟などなど。

この天皇の世紀という本、朝日新聞に連載されていたことだけは知っているが、さすがに読んではいない。大仏さんの名著という知識だけで過ぎていたが、十数年前、どういう事情だったか巻9を手にする機会があり、総督府の仙台入りと奥羽同盟成立のあたりを読んだ記憶がある。それ以来の再読。

長州の参謀・世良修蔵という人物、飾りものの公家さんを別にすると実質的にはこの男が会津征伐の新政府側責任者だったわけで、この人物の横暴・傲慢な性格が仙台藩の反発を招いて、必要もなかった奥羽同盟を成立させてしまった形になる。同格の薩摩の参謀が大山綱良。たしか西郷の乱の時の鹿児島県令じゃなかったかな。西郷が追い込まれた環境を醸成した責任者(というべきかどうか・・)の一人だったと思う。深くは知らないが、これもあまり好印象の人物ではない。

当初は奥州行きの責任者として指名される予定だった品川弥二郎(後日内務大臣にもなっている)が後で「それにしても世良とはひどい」と文句を言ったという。そういう品川も、この会津成敗は失敗の可能性大と見てミッションから逃げた雰囲気があり、要するに品川というのは要領が良かったんでしょうな。それで人格に問題ありとされた世良が張り切って、居丈高に仙台に乗り込んで、気ののらない大藩の尻を叩こうとして、逆に裸で惨殺されてしまった。いやしくも総督府の参謀を殺してしまってはもう後ろには引けない。その結果が、列藩同盟。会津の戦争。白虎隊。

前回読んだときは世良という品のない人物に猛烈な反感を抱いた。なんせ幼いころから白虎隊=善というイメージが焼きついていたし、世良という人間の行動は実に品性がない。女グセも悪い。妥協がない。理由なんかどうでもいいから、とにかく憎い会賊を殲滅する。そこを何とか・・とグチグチ言っている大藩の指導者なんててんからアホ扱いしている。それで、隠忍自重の末に、仙台藩の激派が爆発しての惨殺。

十何年かたって読み直してみると、やはり世良という人物に共感はしないが、しかし仙台、米沢、会津などなどの指導者たちも決して褒められたもんでもなかったんだな・・というのが新感想。ひたすら犠牲者ふうに思っていた会津もその中では様々な思惑が渦巻いていたようだし、大藩仙台にはまた政宗候以来の古色蒼然たるカビが生えていたのだろう。

筒袖姿でテキパキと(言葉を変えれば粗暴乱暴に)動く奇兵隊あがりの新感覚男と、礼儀と門地と誇りと外見で生きてきた旧時代の教養あふれる武士たちの対立。何十日会議をしても会津を攻めるか攻めないかも決められない形式集団と、問答無用・会賊殲滅と言い切る単純明解な人物の抗争。その間でフラフラするお公家さんの総督。たまたまそのキャラクターだったからトラブルになったというより、はやり根源は相いれない文化の差だったんだろうな。

展開次第では、ほかの途もゼロではなかったかもしれない。でも、かなりのパーセンテージで、やっぱり奥州戦争は必然だったんじゃないだろうか。新政府としては、何がどうであれ旧世界思想の巣である奥州を一度叩き潰す必要があったのだと思う。

今回は悪評高い世良修蔵という人物に、ほんの少しだが同情を感じてしまった。


朝日新聞社 ★★★


tennou.jpg 慶喜の謹慎。官軍の東進、勝海舟と西郷の会談、大鳥圭介らの脱走。彰義隊などなど。さすがに大仏さんで、近藤勇の「故郷に錦のどんちゃん騒ぎ&甲府進軍の失敗&斬首」の件などは、しごくアッサリ片づけられている。近藤の首が「火酒につけて京へ送られた」というのがちょっと面白かった。

前々から不思議に思っていた新政府の攘夷→開港という信じられないような大転換。そもそも攘夷の勅を守らないことを理由に幕府をねちねち責めていたんだから、守旧の公家連はもちろん大反発だったはずだが、バタバタとほんの数週の間に決まってしまったことのようだ。なんせパークスたち夷狄を神聖なる京都に入れて、なんと天皇に会わせてしまうのだから凄い。人間ってこんなにコロリと固定観念をひっくり返せるのものなんだろうか。

回転の軸になったのはやはり岩倉。慶応三年の暮れから明治にかけての大改革はほとんどがこの岩倉具視と大久保一蔵が人間とも思えないバイタリティと粘り強さ、強引さでやりとげたような印象が残る。

昔からタイムマシン仮説の中で、時代のキーパーソンを暗殺したらどうなるかというテーマがある。少なくともこの激変の数カ月に関しては、大久保と岩倉という二枚看板抜きでは成立しえなかったような気がしてきた。


八坂書房

失敗だった。文字通りの「文化史」なのだが、ひたすら世界各国、文献上事例の羅列で、半分ほど読んで挫折。飽きた。多分、もう読まない。
文藝春秋社 ★

休日の朝、ちょっと早めに起きたら誰もいないテーブルの上に置いてあったもの。多分、妻が図書館から借りたものだろう。一人でコーヒーをいれて、テーブルに足をのせて、40分ほどでザッと読む。それなりに面白かった。
ハヤカワ文庫SF★★★

かなり好きで、もう5~6回は読み直している。寝る前の数十分、適当にページを開いてパラパラと読む。ニーブン&パーネルのコンビはけっこうひどい代物も多いが、この本などは成功例ではないだろうか。

久しぶりに再読してみると、ハンマー落下から後を描いた部分は案外少ないことに気がつく。記憶の中では上巻の途中くらいで落下したような印象なのだが。落下後のサバイバル部分が、ページ数の割には濃密に描かれているということなのかも知れない。

昨夜はジェリソン牧場の夏が終わりかけたあたり。帰還した宇宙飛行士とヒロイン(かな?)が再開したところで眠くなってしまった。無関係だが、寝る前の本としては岳宏一郎 の「群雲、関ヶ原へ」(新潮文庫)もいい。岳という作家、天才的と思うのだが、残念なことに寡作。というより、世に出るのがあまりに遅すぎた。


朝日新聞社 ★★★


手に入らないと諦めていた「天皇の世紀」だが、近所の図書館の閉架庫に保存されていることが判明したのがこの7月。喜んで数冊ずつ借り出し始めた。シミだらけの埃臭くなった古本だが、周囲の迷惑もかえりみず、主として通勤の行き帰りの時間を使って読み進めている。

tennou.jpgたいていは2冊か3冊を一緒に借り出して、3週間の期限の間になんとか読み終えているが、ちょっと時間が足りない。かなりの飛ばし読みだ。

巻7では薩摩の小松帯刀という人物に初めて興味を持った。維新に活躍した薩長サイドの人物にしては珍しく、たしか重職クラスの出身だったはずだし、大久保や西郷に匹敵する重要な動きをした人物なのに、明治になってからどうなったのをまったく知らない。ふつうなら新政府の大幹部として明治史に名を残すのが当然なのだが。

ひっとしたら久光といっしょに鹿児島に引っ込んでしまったのかなとも思い、WEBで調べてみたらすぐ解明した。明治3年に病死。掲載されていた写真も予想外で、簡単には病気にもならなさそうな、引き締まった精悍な雰囲気のポートレイトだった。

小松帯刀、という名前は、おそらくどんな維新物にも必ず登場する超有名人物のはずだ。しかし何故か今までなんの関心も抱いていなかった。ふと疑問を持って調べてみようとすると、実に簡単に事実が検索できる。どんな事情で、どんなふうに死んだのか。小さなことだが、ちょっと感慨。数日後の夕食時、「龍馬がいく」に狂っていたことのある娘にこの話をしたが、もちろんさしたる反応はなかった。それでも「そうね、確か小松どんというのがいたっけね」と返事をしてくれただけでもマシというべきなんだろうな。


アーカイブ

最近のコメント

このアーカイブについて

このページには、過去に書かれたブログ記事のうちBook.02カテゴリに属しているものが含まれています。

次のカテゴリはBook.03_1です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

OpenID対応しています OpenIDについて