Book.02の最近の記事

東京書籍


dameni.jpg書き手が豪華なので、面白そうだなと、つい借りてしまった。失敗。

ようするにこの三人が、酒でも飲みながら(たぶん)言いたいほうだいのアホ話をする、という趣向。どんどん悪のりして話題が横道にそれたり、異次元に飛んだりする面白さを狙ったはずだが、読み手である私はあいにく乗れなかった。3分の1ほど読んで、諦めた。

どこかの雑誌で対談(三人だから鼎談か)したものをまとめたらしい。そういえば、前にもこの東京書籍の本で失敗したのがあったな。相性が悪いんだろうか。


中央公論社 ★★


kokugo.jpg著者はカナダ人らしい。山口県あたりの大学で歴史を教えているとか、最近は翻訳が多いとか紹介してあった。

中身はおおむね想像通り。官僚用語、政治家用語、広告業界用語(これが「財」のつもり)を徹底的に分析して笑い物にしたり、感嘆したりという本。

こう書くと単に笑いをとるための本のように聞こえるかも知れないけど、けっこう本格的だ。日本人執筆でここまで突っ込んだ本がいままでなかったのが不思議なくらい。取り組み方や執筆態度は非常に真面目。

何年日本にいるのか知らないけど、ここまで広く資料を集めて、達者に書くことができる人がいる。すごい。


平凡社 ★★★


allways.jpg将来の世界を民俗学的アプローチからとらえた本。カリフォルニアあたり(当然、地形も大幅に変わっている)の小さな谷間の住民たちの生活や伝承がテーマとなっている。

考えてみたらル・グィンおばさんって、元からこういうアプローチで小説を書いてきていたんだな。特定の惑星の住民のことなら「風の十二方位」とか「闇の左手」になるし、ある島々での魔法修行なら「ゲド戦記」になる。荒れ狂う冬の日、暖炉の周囲で老婆が語る昔話の雰囲気。こうしたル・グィンの志向が煮詰まったのが、このオールカミングということなのだろうか。ただし、なかなかに読みにくい上下二巻。(実はまだ読み切っていないのです・・)

多分「風の十二方位」の一挿話と思うけど、輝く金の髪の奥方が宝石を探してドワーフ(かな)の助けを借り、何も考えずに宇宙船に乗り込んで浦島になってしまう悲劇。妙に記憶に残る哀しさがありました。ル・グィンって、雰囲気を作る名人ですね。

追記:
金髪の奥方の話は「セムリの首飾り」。悪龍がドジな魔法使いになって身をひそめる「名前の掟」もよかった。


塩野さんの「ローマ人」が刊行されたらしい。本来ならすぐ買いにいくところなのだが、今月はモニター購入のあおりで極端にお金がない。しばらく我慢。

この15日、下欄の「文人悪食」などを図書館に返却。妻も読みたいと言っていたので貸し出し延長を頼んでみたが、予約が入っているとかで却下。

前にもトライして失敗したル・グィンの上下2冊本を借り出した。ル・グィンは好きなんだけど、この小説(未来のカリフォルニアが舞台?)はどうも読みづらい。無事読了したら報告します。

共同通信社 ★★★


america2.jpg以前に第3巻を読んでしまったが、その後で図書館に行ったら1.2巻もあった。もちろん借り出し。

内容は、ま、予想通り。ジョージ・ワシントンとか、アダムスとかジェファーソンとか、いろいろ難点はあったものの傑出した人間であったというようなことかな。偉人の扱いにしても、南北戦争やインディアンの見方にしても、よく言えばバランスのとれているのがこのポール・ジョンソンの特徴で、決して「騙された純情なインディアンたち!」といった観点は取っていない。だからといってカスター将軍を持ち上げたりもしないけどね。

7代のアンドリュー・ジャクソンという大統領。けっこう印象に残った。怒りっぽく、妻の名誉のために決闘で殺した人間は数知れず。生涯体に数発の銃弾を入れたまま、頑固一徹で生きた元軍人。その後をついだバン・ビューレンという政治屋もなかなか面白い。男やもめでホワイトハウスは豚小屋のように汚かったという。アメリカ史もこのへんの時代はいいなー。

内容が濃いので、2冊読むのにかなり時間がかかってしまった。


マガジンハウス ★★★★


akujiki.jpg笑えます。笑っているうちに、だんだん気味がわるくなってくる。どいつもこいつも作家とか詩人というのは濃い人間ばっかりだなー。石川啄木がけっこう美味しいものも食べていたというのも、なんとなく納得。ただ、何を食べても啄木が書くと悲惨な味になる。

樋口一葉が超小食だったとか、漱石が最後まで甘いものを食べたがった(辰野隆の結婚式に呼ばれた漱石が、鏡子夫人の目の届かないところで甘い南京豆食べて最後の吐血)とか。

高村光太郎の詩(なんだったか、貧しいながらも米とクサヤと何かを買って、智恵子とひたすら逞しくむさぼり食い、そして壮絶に愛し合うというやつ)だけが、不思議な事に清涼剤のようで記憶に残る。白い米のご飯とキラキラ光る冬の長ねぎを自分も食べたくなる。

補遺:
光太郎のは智恵子抄の「晩餐」のようです。ちっとも食についての評論は書かなかったけど小林秀雄が超うるさい食通だったとか、山本周五郎が意外にもアドルム呑んでいたとか。梶井基次郎から送ってもらったレモンが汚かったとか。いろいろ。


朝日新聞社 ★


takagen.jpg他に「退屈な読書」(朝日新聞社)、「タカハシさんの生活と意見」(東京書籍) 。血迷って高橋源一郎を3冊も借りてしまった。

面白いんだけどなー。面白いけど、なかなか読み通せない。3冊ともパラパラ、チラチラという読み方しかできなかった。「こんな日本でよかったら」は比較的読んだけど、それでも多分8割くらい。

この本はASAHI EVENING NEWSで「日本文化への疑問」に答える形で掲載したコラムの原文(日本語)なんで、巻末には掲載どおりの英文ものっています。さすがにこっち英文は全部あわせても2ページ程度しか目を通してません。じっくり読んだら日本語より笑えるかもしれないんですけど。編集部もあの文体を英語に訳すには苦労しただろうな。

高橋源一郎を図書館から借りるのはこれで2回目。今回もやっぱり挫折してしまいました。相対するためのエネルギーが、私には足りないようです。妻は相性がいいようで、私のいないときにけっこう読んでたみたい。


というわけで、Wizardry8が忙しくって、とんと本を読んでいない。

せいぜい、「高橋留美子のマンガ」を飛ばし読みしたり、また火がついて「ローマ人の物語」をめくったりしている程度。それでも多少はあるので、たぶん、来週あたりには報告します。

shiba1.jpg主として通勤時間を使って、まだ読んでいる最中。分厚い。比較的新しいエッセーや講演を集めたもののようだ。平成13年の1刷り。

内容そのものは過去の司馬エッセイにさんざん登場している馴染みのテーマで、司馬さんという人はこうしたいくつかの大きなテーマを生涯かかえこんで、それを何回も何回も反芻して話し続けてきた人のような気がしてくる。

今読んでいるのは「浄土--日本的思想の鍵」と題された章で、真宗がテーマ。数十ページにおよんでいて、けっこう読みごたえがある。

関係ないけど、私の特に好きな司馬本は「坂の上の雲」「項羽と劉邦」の2冊です。街道シリーズもいいけど、多数読んでいくとだんだん舌が鈍化して、味がわからなくなるような印象がある。


BNN ★★★★

先月の駄文(些事日乗)で小田島流・貧乏と貧困の定義をおぼろな記憶で書いたが、思いついて本棚から引っ張りだしてみたら、かなり違っていた。いいかげんなもんだなー。

正しく引用すると「貧困とは昼食にボンカレーを食べるような生活の事で、貧乏というのはボンカレーをうまいと思ってしまう感覚のことである。ついでに言えば、中流意識とは、ボンカレーを恥じて、ボンカレーゴールドを買おうとする意志のことだ」(ハッカーの金銭感覚より)

刊行されたのは昭和63年。そんな昔になるのか。この頃の小田島隆という人、活躍の舞台はあくまでマイナー誌ながら、ギラギラ輝くような感覚と才能、鋭い文体が魅力だった。将来どんな書き手になるのか、楽しみだった。その後たしか朝日新聞の「パソ」に連載を持ったはずだが、その鋭角さが急に鈍っていて失望した記憶もある。言葉は悪いが、荒野の狼が牙を隠して座敷に上がったら、ただの室内犬になってしまったような印象。小田島氏の毒のある個性と大朝日では最初から不幸な結婚だったんだと思う。

あらためて読み直しても、文体は相変わらず輝きを失っていない。天才的なものさえ感じる。もちろん書かれている内容自体はさすがに古いし、テーマも陳腐(というか、当時の掲載誌に問題があった)だが、それでもまだピカピカ光っている。東京に等高線を引いた場合の「赤羽崖っぷち論」など、何回読んでも笑える。

念のために調べてみたら、小田島氏のホームページもあった。本もいろいろ出しているらしい。少しホッとした。心ひそかに応援していた人なのです。

中央公論社 ★★★

多分、3回目くらいの読み直し。要するにイタリアのジャーナリストがかみ砕いて書いた通俗番ローマ史で、終始軽妙な文体でトントントンと進んでいく。しかし一見の印象とは別に、書かれていること自体はかなり真面目だし、分析も鋭い。

多分、いろいろなローマ史本を読み尽くした歴史通にとってはニヤッとできる本なのだろう。あまり歴史を知らない人間にとっても、それなりに楽しめる。ただし、これを読んでしまうと塩野七生さんのローマ史とゴチャゴチャになって、どっちに書かれていたことだったか混乱してくる。

そういいえば、そろそろ寒くなってきたから「ローマ人の物語」の新刊が出る頃合いだなー。いつ本屋に並ぶんだろうか。


日本列島の謎に迫る。たとえば地域による「桜もち」の相違と「道明寺」の存在。赤飯に入れる豆は小豆か甘納豆か。ところてんは甘くするか酸っぱくするか、等々。

例によって朝食前にザッと読み流した。ところどころは笑える。

角川書店 ★


moshi.jpg著者は宮内庁大膳課にいた人らしい。ある日突然、宮内庁からの招待状が舞い込んだとき、庶民であるあなた(および奥さん)はどう対処するか・・。ふつうはあり得ないとこなのだが、なんせ田中耕一さんの例もあるからなー。(今日の朝、文化勲章受賞のため正装した田中ご夫妻の写真を新聞で見た。妻によると、いい御着物だそうだ)

前半は招待状の細かな読み方、用意すべき服装、金額、前夜の過ごし方、交通手段などなど。後半は晩餐会の実際とマナーなど。著者によるとこうした公式行事はすべて「プロトコル」に乗っとって行われるものなのだそうだ。

昔、つきあっていた英国人の友人から「マナー」と「エチケット」の相違についていろいろ(日本語で)レクチャーを受けたことがあり、片方はいわば一般社会常識、片方は外交官などに通用する交際ルールであって、本来はまったく違うものと聞いた。どっちがどっちだったかは、もう忘れた。

こうした「マナー」と「エチケット」の更に上位に「プロトコル」なるものが存在していたとは・・・。「プロトコル」じゃ、通常の生活をしていたら身につくはずもないわな。一読、かなり笑えた。ただし後半の


NHK出版


toshimatsu.jpg悪名高い大河ドラマの原作となった著書。本人が原作(?)を書いて脚本もやっているんだから、この竹山さんという人の方向性はこの本ですべて見えるはずだろうと、怖いもの見たさで借りた。

今年の利家とまつについては、大河ドラマサイトなどで徹底分析され、かつクソミソにけなされている。借用になるかもしれないが、私自身も実感しているのは

・どこのお城もすべて出入自由で至便の3LDK構造
・近畿・北陸など各地を結ぶ「どこでもドア」開通済
・少数の主要人物はどこでも、何にでもすぐ集合する
・登場人物の性格と意見は毎週コロコロ変わる
・季節はその場に応じて自由自在に変化
・腰元・小姓・家来などは原則として存在しない。

見たことのない人には意味不明かもしれないな。たとえば清洲時代は重臣・柴田勝家が、部下・利家の留守宅に上がりこんでまつとダベっていたり、淀の方は生まれてまもない捨松を抱いて、前触れもなく金沢城の一室に出現したり(絶対にワープ!だ)、利家夫人が急に一人で城を抜け出して敵方の富山へむけて(吹雪の中!)歩きだしたり。それを亭主が一人で追いかけてきたり。佐々の奥方がなぜか厳冬の立山で遭難して助かったのに、夫には無意味に秘密にして会わなかったり。ま、しっちゃかめっちゃか。

で、文句ぶーぶー言いながら、でも毎週見ています。だって今度はなにをやってくれるか、ワクワクしてしまうんだもの。

そうそう、肝心の本の方ですが、こりゃ小説ではありませんな。テレビ見てるよりは登場人物の心理説明らしきものがある程度で、基本的に肉付けゼロの単なる脚本です(それもセリフの重みがまったく感じられない脚本)。それにしては厚い本で上下2巻もある。寝る前に寝っころがって下巻の半分までは我慢したけど、もう終わり。NHK出版もよくこんな本を出版したなー。倉本聡さんなんかんだと、テレビもいいけど脚本読む方が楽しい部分もあるんですけどね。

上巻を借りてる人が待ってるといけないんで、なるべく早く図書館に返却します。

そうそう、「アメリカの歴史 第3巻」も駆け足で読了。予想通り、ケネディは徹頭徹尾クソミソに叩かれていた。P.ジョンソンって、決して読みやすくはないのだが、こうした頑固オヤジふうのところがあって、つい手にしてしまう。


共同通信社 ★★


america.jpg実はまだ読み切っていない。実は1巻、2巻も読んではいない。たまたま図書館の新着図書コーナーでこれを発見したので、パクッと借りてしまった。ポール・ジョンソン爺さんだから、たいして面白いはずはないけど、なんといっても新刊だからね。図書館で新刊を借りられるなんて超ラッキー。

このとき一緒に借り出したのが「サローヤン伝説(ローレイ・バリー・ギフォード/青土社)」、「入江相政日記 第3巻(朝日新聞社)」。サローヤンの方は前半4分の1を読んで飽きてしまった。少なくともこちらが勝手にいだいていたイメージとはかなり違う人物だったらしいことだけはわかった。若くして成功して、予想外にリッチな男だったらしい。

入江日記は面白そうな印象。御所へ通勤して、誇りを持って仕事をして、たまさか入手した食べ物やお酒に心から喜びを覚えて(大変においしくいただく、という趣旨の記述が非常に多い)、自己流体操をしてから寝る毎日・・。機会があったら、また読もうと思う。いかんせん今回は時間がなかった。

というわけで冊数が多すぎたなー。下の方で書いた「天皇の世紀」もあったし、土日はゲームで忙しいし、旅行も入りで、今回の借り出しは失敗。ほとんどが読み残しになってしまった。

「アメリカの歴史」で記憶に残ったのは、国際連盟提唱で理想派学者肌「悲劇の政治家」というイメージだったウィルソン大統領が、かなり違うタイプだったらしいこと。P.ジョンソンによると、議会側は多少の譲歩と引き換えに国連加盟法案を通す意思があったのに、なぜかウィルソンは頑固に突っ張ったため批准案は潰れ。結果的に国際連盟そのものも屋台骨なしのクラゲ状態となる。このウィルソンの晩年は廃人同様で、恐妻が大統領代理サインをしていたなんてのも、すごい。

ついでに。歴代大統領の中でも評判の悪いクーリッジとかフーバー。これもP.ジョンソンによると立派な仕事をしていた。ただ任期中には成果があがらず、漁夫の利の形でその収穫をざっくり頂いたのがF.ルーズベルト。真偽を判定する根拠はなにもないけど、いかにもありそうな話だと思う。

高安犬物語(戸川幸夫/新潮文庫)」もつい最近読んだことを思い出したので記しておこう。もちろん再々読か、再々々読かになる。こちらの歳のせいか、少年時代ほどには感動を覚えなくなった。文章のあちこちから作者の「意図」が見えてくるようで、ちょっと身を引きたくなる部分がある。

とはいっても、やはり名著であることに変わりはないのだが。

そうそう「美空ひばり(大下英治/新潮文庫)」も半分ほど読んだのだっけ。たぶん、再読。あいかわらずそれなりに面白かったが、多分残りの後半はもう読まないだろうな。


アーカイブ

このアーカイブについて

このページには、過去に書かれた記事のうちBook.02カテゴリに属しているものが含まれています。

前のカテゴリはBook.03_1です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。