Book.10の最近のブログ記事

quatro.jpg★★★ 集英社

あくまで一般論ですが、何かというとキリシタンが登場する時代小説はあまり好きではありません。ついでですが、たいした理由もなく少女が男装する小説や時代劇も好きではありません。無理が多すぎる・・と感じるからです。

そういえば先日読んだケン・フォレットの「大聖堂」続編でも、尼さんたちが男装してフランス戦線に紛れ込むというシーンがありました。百年戦争、クレシーの戦いの現場ですよ。無理いうなよ、と言いたくなります。

好きな作家ですが、山本周五郎にもありました。えーと、例の印旛沼の政治家の・・・田沼だ。タイトル忘れてしまった。トシとると記憶力がなくなるんです。あの小説の中でも田沼意次の愛妾かなんかが意味なく男装して、もちろん見破られてしまうとか。

これも連想がひどいですが、大昔のアメリカ小説や映画、跳ね上がり娘のジェーンが無理やり探検に付いてきて、もちろんワニに襲われる。あるいはゴリラにつかまる。あるいは足をくじいて歩けなくなる。少年読者(あるいは鑑賞者)にとって、こんな腹のたつパターンはありませんでした。

そうそう、悪者につかまって「娘を殺されなくなければ武器を手放せ」とか言われて。正義のヒーローはこういう場合、かならず武器を床に落とします。落としてどうなるんだ・・・と思うんですが、たいていナントカなって大団円。

脱線がひどすぎるなあ。ようするに人気取りを狙った下手な作家はすぐキリシタンを登場させる。大河ドラマでもありましたね。長崎丸山の芸妓が隠れキリシタンで奉行所の密偵で、おまけに竜馬に惚れて後藤象二郎ともナントカで、小舟に乗ってエゲレスに旅立つ。マカオあたりで身ぐるみ剥がれて売り飛ばされてなきゃいいんですが。

という具合に訳のわからないキリシタン事情。で、天正の頃のキリシタンはどうだったのか。なんで少年たちが使節として旅立ったのか。こんごらがった糸が解きあかされます。

イエズス会とフランシスコ会なんかが邪魔しあっていたという事情は想像ついてましたが、同じイエズス会士といってもスペイン人とイタリア人ではまた考え方が違う。要するに「国家をバックにして威圧するか」「人心に分け入って信者を増やすか」という違い。こんなに単純なもんでもないですが、ま、だいたいそうだったようです。

なんやかんや、人生いろいろあって、そこに九州大名の意図やら信長の意向やら秀吉の野望やら、ま、なんだかんだで少年使節たちは帰ってきてから酷い目にあう。

ややこしい時代を詳しく教えてくれる本でした。けっして読みやすい1冊ではありませんでしたが、読んで損はしなかった。これってかなりの絶賛ですね。

★★★★ 中央公論新社

tensei.jpg偶然出会った本ですが、これは凄い。こんな作家をいままで知らなかったなんて。

著者の「莫言」はもちろん「言うなかれ」ですね。言う莫れという筆名で、猛然と書きなぐっている。あるいはのほうずに書きつらねている。

ストーリーは中国の山東省の田舎町、ある地主の死から始まります。国民党が追いやられてしまったんで、当然のことながら圧政の象徴である「地主」はぶっ殺されます。オレはなんも悪いことしとらんぞ!と恨み骨髄の地主は地獄の閻魔の裁定にも納得せず抵抗し続ける。

で、手を焼いた閻魔庁は反抗的な地主をロバに転生。生まれ変わったのはもちろん故郷の山東章高密県。で、かつての正妻やら二人の妾や子供たちが苦労したり、保身をはかったりするのをロバの目で見る羽目におちいる。

やがてロバが死ぬと次は牛、それから豚になり犬になり・・と転生が続きますわな。最後に猿になるころは中国ももう21世紀です。人民公社が促進され、毛沢東の大躍進が始まり、破綻し、紅衛兵が騒ぎまわり、そして個人農家の再開、発展。農民たちもナイキのスニーカーを買ったり、金持ちはロレックスを腕にはめたり。

という長い年月をとうとうたるホラ話でつづります。中国のガルシア・マルケスという評はもちろん当たっていますが、私はブルガーコフ(巨匠とマルガリータ)なんかもちょっと連想。なんというか、ひたすら土臭く、暴力的な大河小説なんですが、濃厚な詩情があるんですね。

豚は空を飛び、水にもぐる。怒った豚は尻をかじり取り、ロバは狼と戦う。可憐なお月さんは地上に近づいていっしょにダンスする。巨大なボス犬は1000匹の部下を統合して、深夜に酒盛りと乱交パーティを実施。

上下2巻、飽きずに読めました。莫言の本は他にもいろいろ出版されているようなので、次も期待です。(嘘か本当か知りませんが「アジアでノーベル文学賞にもっとも近い作家」なんだそうです)

★★★★    朝日新聞社

saigo.jpg全9巻のうち、ようやく6巻まで読了。長いです。

海音寺さん(なぜか「さん」を付ける)のものはたいてい面白いですが、この「西郷隆盛」は史伝なので、フィクション要素はゼロ。雰囲気は少し異なるものの、大佛次郎の「天皇の世紀」と同じですね。

どちらも、読むときは背筋を正さないといけない。実際には、正さないといけないなあ・・と思いながらダラけて読んでます。あっ、ダラけてと言っても、横になって読むのはさすがに無理です。内容も重量も重すぎる。せいぜい、足を組んだり椅子に寄り掛かったり、ストーブに足を乗っけたり程度が限度。

こういう立派な本の内容をあれこれ論評するのも気がひけますが、素朴な感想としては「当時の志士ってのは大変なんだなあ」ということ。京大阪から江戸やら水戸やらまで、ひたすらテクテク歩くのも大変だし、毎日々々手紙をかいたり控えをコピーしたり、毎日のようにだれかの屋敷まで会いに行ったり(もちろん徒歩)、アポがいいかげんだから相手の来るのを待ち続けたり。その挙げ句に必死に説得したり、叱られたり恨みをかって切られたり、切腹させられたり。

航海遠略策の長井雅楽なんて、可哀相なもんです。どこといって悪いわけでもないのに会社に変な責任とらされて切腹。責めたてたのは血気にはやる松陰一派ですか。

他にもいましたよね。切り込みかけられたときにいったん逃げて(刀をとりにいった?)、それで士道不覚ってんで結局酷い目にあった学者。もう名前を忘れてしまった。どんなに弁舌知識があっても「無駄死の覚悟」がないとやっぱりダメらしい。えーと、横井小楠ですね。これで評判おとして、せっかくのチャンスを生かせなかったし、明治になってからはわけわからないトラブルで暗殺ですか。

不条理な時代です。自分なんかだったら、まず脱藩する勇気がたぶんない。仮に脱藩してもすぐ食い詰めて、そのうち「優柔不断! 士道不覚悟」とかソーカツされて非難されて切られてしまうんでしょうね。

まったく関係ないですが、桂小五郎、やっはり上手に逃げてたんじゃないかな・・と勝手に思っています。義理や激情で死ぬにはちょっと怜悧すぎる。

★★ 白水社

h_kaisou.jpg名作という評は知ってましたが、なかなか手にとる勇気がなかった。ん十年目にして、ようやくページを開きました。白水社の本なんて、ほんとうに久しぶりです。

うーん。たしかに悪くない。ハドリアヌス帝っていえばスコットランドとの国境に塀をつくってしまった人ですね。息子に送る手紙という形式ですが、小説というより詩、一種の香気。読むと面白いんだけど、行をたんねんに追うのがけっこう疲れる。

結局、半分ほど読んだとこで挫折。借り出し期間のある図書館本では無理ですね。1冊読むのに数カ月かけてちょうどいいような本なんでしょう。

ついでに「沈黙/アビシニアン」 古川日出男。この人の本は「アラビアの夜の種族」で初めて出会って、びっくらこいた記憶があります。わけわからんけど、迫力あるなあ。

chinmoku2.jpgそれから「13」とか、タイトル忘れたけど小笠原あたりの山羊の島で少年少女が生きのびる話とか。「サウンドトラック」だったかな。

で、今回の「沈黙/アビシニアン」。これも情景がいいです。ストーリーにはまったく感動しないけど、文体とそこで描き出される映像がいい。ちなみに私は「音」とか「音楽」には感動がありません。どっちかというと映像タイプの人間。それが原因で没入できないんでしょうか。

で、結局は途中で挫折。古川日出男を読み切るにはエネルギーが必要で、例によって貸し出し期限が来てしまいました。とうぶん読み直す気力はわかないと思います。

★★★ 角川書店

最初に「お行儀の悪い神々」(マリー・フィリップス 早川書房)に出会って、これがけっこう面白かったわけです。忘れられかけたオリュンポスの神々がロンドンの古屋で暮らしていたらどんな具合だろう・・というストーリー。

ame_goods.jpgま、全体としてはかなり酷かったんですけどね。でも部分々々が悪くない。力を失った見勝手な神々はアルバイトで犬のトレーナーをやったり(狩猟の女神アルテミス)、もうろくして寝たっきりになったり(ゼウス)、やけに忙しかったり(通信と経済のヘルメス)・・・。

で、ネットを見たら「アメリカン・ゴッズ」の英国版じゃないかというような書き込みがあって、そこでニール・ゲイマンという書き手を初めて知った。

で、(で、ばっかし)ニール・ゲイマンの「アメリカン・ゴッズ」を通読し、これも悪くないので「アナンシの血脈」「グッド・オーメンズ」と進んだ。すべて角川書店です。

ゲイマンって、ストーリーは30点、キャラクターや情景の切り取り方は90点というような、不思議な作家ですね。才能がありすぎて空回りしているような作風。3作の中では移民といっしょにアメリカに渡った北欧神話のオーディンが主役の「アメリカンゴッズ」が比較的まっとうですが、光る部分はむしろドタバタ駄作の「グッド・オーメンズ」なんかのほうが多い。

ananshi.jpggood_omen.jpg二級天使と下級悪魔とか、オートバイに乗った黙示録の4騎士とか、かなり魅力があります。
あちこちに点在する挿話も非常に雰囲気がある。こんな作家がきっちりした長編を書いてくれたら楽しめるだろうなあ。

★★★ ソフトバンククリエイティブ

daiseido2.jpgけっこう厚い文庫で3冊。「大聖堂」はもちろん読んでますが、ストーリーは忘れてしまいました。なんか才能あふれる建築職人が巨大な聖堂をたてる話だったような。

で、その続編だそうです。フォレットの本ならある程度面白いはずなので借り出し。舞台は14世紀のイングランドのどこかの街。14世紀というとペスト流行ですから、コニー・ウィリスの「ドゥームズデーブック」と同時代ですね。

スラスラと読了しましたが、うーん、傑作と言うには少し躊躇します。知恵がまわって大工の才能のある兄、スポーツ系(闘争系)の弟、非合理的なことが許せない積極少女、貧しくて生命力のある少女。4人で始まる導入は雰囲気いいですが、ま、そこからがお決まりパターンで・・・。

どうも悪人vs善玉の構図がはっきりし過ぎてるのが物足りないですね。悪人といっても、根っからのワルではなく、それなりの背景はあるんですが、でも常に対立構造でストーリーが進んで行く。才能ある主人公は常に成功するとか、キャラの描き方とか、社会の構図とか、「ドゥームズデーブック」と比較すると辛いものがあります。

とかなんとか言ってますが、一気に3巻を読んでしまったんだから文句言っちゃバチが当たる。はい。面白い本でした。

★★★ 文藝春秋

イメージなし。撮影を忘れてしまいました。

ちょっと前に同じキングの「リーシーの物語」を読もうと企てて、これは挫折。いかにも女性的思考記述(?)と、情景ワープしまくりがダメだった。私、どうもこのての書き方に弱いらしく、好きなアーシュラ・ル・グィンもフェミニズム系のジャンルは読み通せません。なんかありましたよね、カリフォルニアあたりの歌ばっかり唄ってる桃源郷のような代物。

で、この悪霊の島。上下2巻の前半3分の2はたいへんよかったです。いわば序章ですか。ジェットコースターの長い長い上り部分。とくにワイアマンという隣人が出てきてから面白かった。頭の中に弾丸を残した魅力的な元弁護士で、イメージとしては痩身長駆かと思ってたら、そこそこ太ったキャラらしい。

で、終末部分。急展開でなんかが出てきてからの部分はあきまへん。この部分はかなり駄作に属すると思います。

他には「ニッポンの食遺産」(塩田丸男 小学館)、「SUE スー 史上最大のティラノサウルス発掘」(ピーター・ラーソン 朝日新聞社)。

「食遺産」は美味しそうな写真にひかれて借りましたが、どうも内容が日光の手前でイマイチの里。取材が足りないなあという不満が残り、面白そうなところだけ拾い読み。塩田丸男ってこんなに魅力のない文章を書く人だったっけか。

「ティラノサウルス」も書き手がいけない。ウケを狙いすぎというか、恐竜発掘の本なのか訴訟で酷い目にあったことを言いたいのか、ハッキリしません。

はい。なんか発掘に関してガタガタしたらしく(売買契約の不備、インディアン居留地問題、国の所有地?などなど)、FBIに収監されたんだそうです。恨みつらみを妙にオブラートに隠してるので、本ぜんたいの趣旨がモヤモヤしている。ライター(クリスティン・ドナン)が下手ですね。

★★★★ 新潮文庫

bunjin2010.jpgだいぶ前に同じ嵐山の「文人悪食」を読んだことがあります。面白かった。鴎外が餡のせご飯とか饅頭茶漬をよく食べたというのを覚えています。

で、その続編でしょうか。「悪食」。少しずつ読みましたが、やはり達者で面白い。たかが文庫一冊の割りには時間をかけて読むことができました。

なかほどで壺井栄が登場して、「二十四の瞳」について触れている。映画で「百合の花の弁当箱」の部分をみて涙滂沱だった・・・という記述を読んだだけで私も涙腺の土手が切れてしまいました。

あれは確かに泣けます。マッちゃんだったかコトちゃんだったか、みんなの持っているアルマイト弁当箱が買ってもらえない。ついに先生に買ってもらえたけど、それを持って学校にいくことはできなかった。たしかうどん屋かなんかに奉公に出されてしまうんですよね。

こんなエピソードを思い起こしているだけで、ちょっと涙がにじみます。安直だなあ・・・とは思うのですが、涙腺を刺激れさるんだから仕方ない。

ずーっと昔、チャプリンのキッドですかね、子役の達者な演技をみて涙が止まらなくなったことがある。映画館でボロボロ泣いてました。

自分にはそういう部分があるんだなあ、と再認識でした。
★★★ 新潮社

shiono2010.jpgこんなのがあるんだ・・と発見して借り出し。

ま、悪くはないという程度の本。中世、地中海世界ではサラセンの海賊業が猖獗・・というか、アフリカ沿岸の連中にとっては立派な「産業」だったらしい。

金銀財宝だけでなく、とにかく町を襲って人間をひっさらってくれば商売になる。おまけに後期になると、熱心な「拉致解決騎士会」とかの連中がわざわざやってきて身代金を払ってくれる。一介の貧乏人キリスト教徒であっても、身代金の対象になる。すばらしいビジネスです。

イタリアあたりでルネッサンス開花の頃でも、まだ海賊商売は日常茶飯だった。王侯貴族にとってはどうでもいいことだし、十字軍の連中もエレサレムには関心あっても、アフリカなんかには気がのらなかったらしい。華々しくないですから。

ひどい目にあっていたのは海岸に暮らす人々だけ。ただし海賊もたまには内陸まで侵攻してきますが。

なるほど、そうだったのか・・という本でした。

追記
海賊は少なくとも18世紀の末まではいたようですね。フランス革命の後。そういえばモンテクリスト伯の中でも誰かが海賊につかまったとかいうエピソードがあったような。ん、山賊かな。いや山賊とは別に海賊話もあっような気がするけど・・・記憶がおぼろ。
★★★ 文春文庫

ryouma2010.jpg本棚に腐りかけていた全八巻を再読。もちろん何回か読んでますが、そう多くはないと思います。今回がたぶん3回め程度かな。

私が読んで、家人が読んで、娘が何回か愛読して、もうボロボロです。ページは色が変わっているし、表紙カバーはとれている。

司馬さんがこれを書いてから、新資料もずいぶん出ています。いちばん最近では、千葉道場のさな子さんが、竜馬の死後ですけど結婚もしたらしい。あんまり長くは添えなかったみたいですが、それでもよかったですね。竜馬なんぞに操をたてて生涯独身じゃ可哀相すぎます。

そうそう。竜馬が置いていった(司馬さんによると)汚い片袖。なんかまっとうな由緒ものだったという記事もどこかで読んだ記憶があります。おさなさんが許嫁と信じたのも決して根拠がなかったわけじゃないらしい。

ま、これだけ何回も読んでもらえれば幸せだろうな、という本。十分にモトのとれた文庫です。

 ★★ 草思社

学生時代、一般教養(略してパン教)の理系単位として地学をとったことがあります。担当の助教授がやたら休講が多くて、おまけに面白いという評判だったので。はい。化石時代の話です。

  chikyuu46.jpg確かに休講だらけでした。おまけにこっちも適当に自主休講するので、講義に出席した記憶は1回しかない。実際には数日は行ったと思うのですが、あとは覚えてません。

助教授といっでも、髪を角刈りみたいに短くして真っ黒かつ精悍に日焼けして、おまけに長靴はいて教壇にのぼった。いつでも長靴はいてハンマーを腰にぶらさげて山の中を歩き回ってる人という噂でした。顔だけは知的な肉体労働者。なんせ地学のセンセですからね。

講義で聞いたのが古磁気 古地磁気の話です。すでにヴェーゲナーの大陸移動説はある程度知れ渡っていましたが、「南アメリカとアフリカの海岸をあわせるとピッタリ付く」という程度の少しキワモノ感覚で、プレートテクトニクスという言葉は普及していたかどうか。

で、その地学のセンセ、講義をサボっちゃ山の中へわけいってひたすら石を割っているらしい。割って調べると中の鉄分が、いわば小さな磁石のようになっている。見たことはないんですが、そうなんだそうです。

もちろん地球の磁極は移動します。しかしそれとは別にその石をふくんだ地層じたいが、どっちを向いていたか、どこで方向が変化したかも見当がつく。

なんか、西日本と東日本では磁気の方向が違うんだと言ってました。その分かれ目が、もちろん例のフォッサマグナ。要するに東日本は中央地溝帯を境にしてグググッと北にねじ曲げられたらしいです。

アホな文系学生にも面白い講義でした。

しかし今ではプレートテクトニクスどころか、プルームテクトニクスなんて言葉が主流なんですね。地球表面で表皮が移動するだけではなくて、もっと立体的にマントルの構造や噴出・沈降も含めて理屈がなりたっているらしい。

やれやれ。本の感想を書こうと思ってたのに、まったく違う話で行数を費やしてしまった。今回読んだのは「地球46億年全史」。脇道話や観光案内みたいな部分も多くて、けっこう読みやすい内容ではありましたが、それでも後半はだんだん飽きてきました。

たとえばグランドキャニオン。谷底におりるためにのったロバだかポニーだかの話はそれなりに味があるものの、でも基本的に著者の関心は道筋の地層や石ですからね。ナントカ層の下にカントカ層が続いて、その下にナントカ石の層があって・・・とえんえん。

それにしてもこの手の地層や構造の話、読むだけではなかなか理解できません。ナントカ構造体がひっくりかえって褶曲して反転してシーツ状になって・・・って、それ、三次元イメージ図をいれてほしい。バンゲアがゴンドワナでローラシアがどうたら・・も、なんとなく分かるようで、でもあいまい。その時、ニホンはどこにあったんだ? ん?

トシとると、この手の本を読むのが大変です。

 

★★★  毎日新聞社

春秋戦国もので疲れた口直しに近衛龍春の「毛利は残った」です。

mouri.jpg近衛龍春という人、ほとんど知識はありませんが、前に偶然「上杉三郎景虎」を読んだことがある。これが意外に面白かったです。あんまり一流という感じはしないものの、かといって三流でもない。そこそこ、読めます。

で、今回の「毛利は残った」。関ヶ原から死ぬまでの毛利輝元をちょっとコミックに書いたもので、きっとこんな人だったんだろうなあと共感。やはり一流の武将ではないが、かといって愚将と言い切るわけにもいかない。

ちょっといい気になって西軍の総大将にまつりあげられてしまい。かといって積極的に戦いに参加もせず、逡巡しているあいだに敗軍の責任者になってしまった。

歴史にIFはないですが、輝元が大軍をひきいて大坂城を出陣したら、関ヶ原の状況はガラリと変わっていたでしょう。少なくとも吉川広家は東軍めがけて南宮山を駆け下りた可能性があります。

輝元出陣にはもちろん秀頼もいっしょが理想的ですが、名代でもかまわない。千成瓢箪の旗印をかかげただけで、後世の錦の御旗みたいな劇的な効果があった気がします。

ま、それはそれ。結果的にはなーんにもしないで負けて防長2カ国に追いやられてしまった。悔いは残るでしょうが、そこからしぶとく踏ん張ったらしいです。

毛利に暗君なしという言葉があるそうですね。幕末の殿様(敬親)も「そうせい候」とか言われたそうで、これとて得難い資質です。この殿様がいなかったら高杉晋作なんかがあんなに勝手に動けるわけがない。

てなことで、ま、楽しく読み終えました。本は楽しくないといけないですね。

★★  文藝春秋

kanpishi.jpg筑摩世界文学体系の史記は、やはり挫折。それなりに拾い読みするには面白いのですが、字が細かくて疲れます。トシくってから読む本じゃないですね。

大昔の筑摩の全集、なんか3段組もあったような記憶ですが、そうだっただろうか。戦争と平和とか、たしか3巻くらいあって、受験あけの春休みに読みふけっても1週間はかかったような。読了して数日は頭がボーッとしていました。

で、懲りずに(うん、懲りないなあ)今度は「韓非子」。やはり安能本です。

論語やなんかに比べると韓非子は合理的で、ま、近代的マキャベリズム。人間に夢を抱かない。性悪でも性善でもなく、堯舜の世を理想化もしない。孔子の弟子たちから蛇蝎のように嫌われたのももっともです。

そう悪くはなかったですが、でも安能本ってのは、疲れます。疲れてばっかりですね。

唯一面白かったのは、孔子が何かで焦り狂ったとき、主君の前なのに階段を左右一段ずつ登ったということ。不作法のキワミらしいです。通常は一段ごとに足を揃えてから、またおもむろに一段上がる。

そりぁ、悠長な時代だったんですね。主君のすぐ後ろを(接近して)登ってもいけないらしいです。こうしたルール違反をすると、すぐ首チョンになるから古代中国は怖い。

 

★★★ 講談社

sonshi.jpgふと思い出して海音寺潮五郎の「孫子」を再読。再読というより、再々々読くらいでしょうね。適当に細かい部分は忘れているので、けっこう読めます。海音寺ものってのは、どれを読んでも一種の香りのようなものがある。

この小説の孫子はあまり偉そうではないです。英雄豪傑ではない。田舎ディレッタントであり、恐妻家であり兵法マニアであり、でもそれゆえプライドもある。欲に目をくらまされていないので、危険になる前に身をひいて、怖い奥さんがいなくなると若い妾を可愛がって、年老いてからできた孫を溺愛して、どうしようもない幸せな老後を送る。立派な人生です。

何代かあとに生まれたもう一人の孫子も、ま、若いうちはいろいろありますが老後は権力から身をひいて、若い奴隷女を可愛がって小市民としての生活をまっとうする。それでいいじゃないか!というお話。

読み終えてから安能務の「春秋戦国志」(文庫で3巻)なんてのもあったことを思い出し、これも引っ張りだして通読。だいたい同じ時代のお話なので、微妙にダブっていて面白かったです。海音寺はもちろん飽きさせず読ませてくれるし、安能本はちょっと臭味がナンですが、でもそれなりに悪くはない。

ano_sengoku.jpg安能本の「臭味」をどう説明しますかね。大昔に読んだ「封神演義」なんかが典型ですが、とにかくく巻頭から巻末まで八丁味噌かニンニク醤油か、それともカレー味か、とにかく均質の強い味に染められているのでので、かなり飽きるけれども一応は食べきれる。ま、なんとか春秋戦国の3巻も読み切りました。

で、またまた興味が伸びて(血迷ってというべきか)、司馬遷の「史記」なんてのを借り出してしまった。昔なつかしい筑摩世界文学体系です。それにしても活字が小さくてギッシリ。こんなのを目の良い少年時代とはいえ、よくまあ読んだものです。

通して読もうなどとは考えず、適当に拾い読みでしょうね。

そうそう。図書館の棚を見たら海音寺さんの西郷隆盛・新装版(全9巻かな)が並んでいました。これ、なんか完全に通読した記憶がないんです。読みたいけど、書棚にはなぜか第1巻がない。2~3巻があって4巻~6巻がなくて・・・と虫食い状態。こういう借り方をする人、よくわかりません。全巻を一気に借りるとか、あるいは1~4巻までまとめて借り出すとかなら理解できるんですが。

ま、人それぞれ。いろんな読み方はあると思うのですが、虫食い、とくに第1巻を借り出されると、手が付けられないんですよね。

 

★ 講談社

sejima.jpg要するに「不毛地帯」のモデルになった元参謀の話ですね。「転進」という便利な言葉を考えついた賢い人。それを書いたのは、よく知りませんが五島昇のブレーン(?)で、たまたま東急系ホテルで瀬島と隣に部屋をもらったとか、東急エージェンシー社長とかいうんですが、もちろん私は知りません。

書かれていることは真実なのかホラなのか、判断の手がかりなし。東条がミッドウェー惨敗の結果をずーっと知らなかった(海軍が隠蔽)とか、ほんとかなあ・・というエピソード満載です。それに近いことはそりゃあっただろうけど。

開戦前夜、ルーズベルトの親書をわざと遅配させたのも瀬島だそうです。雰囲気としてはわかりますが、当時の参謀(順列は下位)にそれだけの権限があったのか。上層部からの指令だったのた、うーん・・・というエピソード満載。

恩賜の軍刀組の超エリート参謀ですが、シベリア抑留絡みではいろいろ不明なことがあったとかなかったとか、従来から説はいろいろあります。なんせ言いたくないことは何も言わないまま死んだ人なので、真相は不明ですね。

そうした本筋とは別で面白かったのが「田中角栄は献金にキックバックしたから財界の評判がよかった」「中曽根はぜんぶ取り込んだので献金が減った」という話。本当か嘘かは知りませんが、面白い説です。なるほどねぇ。

そうそう、著者は勝海舟と坂本竜馬が大嫌いらしく、いろいろ書いてますが、そう新説はない。唯一面白かったのは「竜馬はようするにグラバーの手先として武器を薩摩や長州に売りさばいて稼いでいた」という説。なるほど。、前々から竜馬が何をやって食っていたのかに興味を持っていたので、これはうなづけました。豪商や松江の殿様からもらった資金だけでは不足するだろうなあと思っていたので。

著者は別ですが、なんか竜馬の活動資金について書かれた本もあるらしいですね。書評の斜め読みですが、どうも国元からもけっこう仕送りしてもらっていたらしい。なるほど。仕送りしてもらってるんなら、せっせと手紙を書いてるのもわかります。

本筋よりもエピソードのほうが面白い。こういう読み方は邪道なんでしょうね、たぶん。

★★ 文藝春秋

かなり昔に読んだことがあるものの、内容は完全に忘れてしまった。やたらミシュビチとかゲシャビシュとか舌をかみそうな名前の王様や貴族が登場したことだけは覚えてます。

poland.jpgで、ふと思い出して借り出し。本当は同じ著者の「ハワイ」を再読したかったんだけど、これがなかなか発見できない。ミッチェナーって、けっこう人気のある作家だったと思うんですが、あんがい見つかりません。

で、まあ何と言うべきか。歴史的なポーランドって、思ったより広大で豊かな国家だったんですね。たぶん最大版図ではバルト海・リトアニアから黒海近くまで広がっていたようです。東はウクライナ、南はたぶんスロバキアとかルーマニアとか。

たぶん、南側以外はあんまり山がない。ひたすら平野が多くて、地味も悪くない。(だから最近、ポーランドで洪水なんてニュースを見ると変な感じがしました)。潜在的に大国になる要素はあったんだけど、なんかうまくいかなかった。

なんでですかね。東側が開けすぎていたからかな。モンゴルは攻めてくる。トルコも攻めてくる。東の広大なロシアは虎視眈々と狙っているし、北からスウェーデンが押し寄せてくる。西にはやけに剛直で効率のいい(頭もいい)ドツイ騎士団がいる。山の南にはオーストリア帝国ががんばっている。

ミッチェナーの言い分では「豊かで人口の多い国なのに、政治がまったく機能していなかった」のが敗因だったようです。「黄金の自由」と称する貴族民主主義が問題で、要するに貴族たちが衆愚デモクラシーを実現して、王様の中央集権を拒否しつづけた。王様が「オレの言うことを聞け」というリーダーシップを発揮できない仕組みになっていた。もちろん市民・農民の発言権なんて問題外ですけど。

というわけで、ロシアとドイツの間で好き勝手をやられた。この2国とオーストリア・ハンガリー帝国の3つの手で、何回も分割されたり、消滅させられたり。グチャグチャです。

大昔、タラス・ブーリバ(ゴーゴリだったかな)で知ったポーランド人はやけに派手で軟弱で見栄っ張りという印象でした。コサックの野生はないし、ロシアの強欲もなし。ドイツの強さもない。たぶんいい人たちなんだろうけど、いつも意見がまとまらないで、仲間割れしては外敵に利用される。

なんか、悲しい歴史ですね。そういう悲しいお話です。

もしも隣国がドイツ、ロシア、オーストリアではなくて、多少は先進のたとえば英国、フランスなどだったらポーランドの運命はまた異なっていたかも・・・とミッチェナーは言っています。こういう隣国に恵まれていたら、ポーランド式グチャグチャ先進民主主義はなんとか機能したのかもしれない。

翻訳の工藤幸雄さんが、縦横無尽に顔を出しては講釈 注釈をたれています。あんまりミッチェナーがいいかげんに嘘ばっか書いてるんで、ポーランド専門家の工藤さんとしては黙っていられなかったらしい。訳者が本文中で何十行も「解説」を追加している、ヘンテコリンな本です。

★★★ 岩波書店

宮崎駿の対談、雑文、講演、メモなどなど。

hayao.jpgなかなか面白ろうございました。そんな人じゃないかと思った通りで、かなり激しいものを秘めている。秘めているけど映画の成功も大事だし、スタッフを食わせることも大切。どこかで折り合いをつけながら生きている。あるいは、少し妥協してる。

子供たちには三歳まではテレビを見せるな」だそうです。アニメなんぞ見るのはとんでもない。高校や中学が問題ではなくて、どうせ考えるなら幼稚園と小学校からやらないとだめ。

手塚治虫と黒沢明なんですね。圧倒もされ、超えないといけないものでもある。もののけ姫はある点では七人の侍への修正クレームでもあるような。「武器ももたず、弱くて卑屈な百姓」という構図に異論をとなえている。

「子供が成長してどうなるかといえば、ただのつまらない大人になるだけ」と言い切るのがすごい。でも、だからといって子どもが希望でないわけではない。たとえ「つまらない大人」になるにしても、希望の対象となるのは子どもたちしかいない。

そうそう。本筋とは関係ないけど「もののけ」のエボシ。「たとえばルソンあたりに売り飛ばされた娘で、現地で豪商かなんかの妾になって、最後は亭主を殺して日本に戻ってきた・・というような経歴の女かもしれない」」という趣旨のことを言うております。ははは。そんふうに考えると、登場人物、みんな趣があります。

名前忘れましたが「何者なんだろ」と思わせるあのカラカサ坊主。彼なんかも深く考えると迷路に入るんで「食べるため、仕事としてやってるんでしょ」とか。軍隊にしても下っぱ政治家にしても役人にしても、なにか深く考えて行動してるわけじゃないわな。みーんな仕事。身過ぎ世過ぎ。

追記
「千と千尋」で眼下を走る電車。どこへ行く電車なのかという問いに対して、「ふだん電車を見てそんなこと考えますか? なーんも関心ないでしょ、ふつう」と答えてます。なるほど。どこへ行く電車であっても、それがどうした。ふつうの人間の日常において、どうでもいいことです。ただ「電車が走ってるなあ」と思うだけ。


★★★ 早川書房

 

pirates.jpgなんか記憶しているような、記憶していないような・・・マイクル・クライトンって、亡くなってたんですね。うーん、惜しいことをした。

で、クライトンのPCの中から発掘されたというのがこの」「パイレーツ」。ややっこしいストーリーはうんざりだけど海賊ものなら読んでもいいか。おまけに未読だし。すべてが傑作とはいえませんが、クライトンもので読み逃しがあるのは少し困ります。

ということで即効借り出して、即効読破。数時間で読み終えました。

けっこう良かったですね。クライトンの特徴と思いますが、細部がいい。総督がどうやって歯を磨くとか、英国から送り込まれた女囚にとって木綿の服がどんなに豪華な感触だったか。ジャマイカがどんなに汚い街だったか。ま、そういうこと。

展開はやけに派手です。さては最初から映画化を狙った代物かな。バッタバッタと効率よく殺すし(もちろんスペイン兵とかスペイン側の船員)、イングランド側の連中(海賊。かっこよく言えば私掠船)はスーパーマン揃いで、いわば七人の侍ですね。

で、出てくる女連中はみんな船長に好意を持つし、我が儘そうな総督も、後半になると妙に行動派でものわかりがいいし。

オトギバナシですからね。オトギバナシとしては、なかなか面白うございました。


あっ、そうそう。故あって「告白」(湊かなえ)も読了。本屋大賞とかいうやつです。ブツブツ言いながら、でも先が気になって最後まで一気に読みました。読ませる力があるんでしょうね。ただ、結末はちょっと???でしたが

 

★★★ 小学館

分厚い上下巻を発見。もちろん図書館でです。買うわけがない。

dawkins.jpgリチャード・ドーキンスは「利己的な遺伝子」で大ショックを受けた人ですが、この本は比較的おとなしい(?)生命史のようなものらしいです。なんせ、まだ読み終えていない。

1巻だけでも400ページ強。念のために定価を見たら3360円だそうです。上下をもし買うと7000円弱か・・・。

読み進めていると、自分の頭が硬直して石になっているのが実感できます。論理的な記述部分がなかなかスッキリ理解できなくなっている。

たとえば全人類の共通の祖先はいるのか、もしいるとしたら何万年前、どこにいたのか・・というテーマの部分。ドーキンスの論理によると「共通の祖先はかならずいた」そうです。もしそうでないとしたら、太郎とヘンリー、ドブロクウィスキが(まったく共通の遺伝子を持っていないのに)同じように人類としていま存在していることになる。

完全に独立して並行進化して、偶然同じ「人間」になるなんてことは論理的に不可能。うん。なるほど。

となると、太郎とヘンリー、ドブロクウィスキに共通するDNAをもった人間、あるいは猿人、あるいはモグラモチがどこかにいたはず。1匹、あるいはツガイの2匹かもしれませんが。

なるほど。でも「2人の両親、4人の祖父母、8人の曽祖父母という枝分かれはどう整合がつくのか。広がっているのか収束しているのか絡み合ってるのか。

わかったような、でもなんとなく納得できないような・・・。こんなとき、頭が硬くなってるなあと実感します。脳硬化症。つくづく実感すると、少し悲しいです。

★★ 早川書房

 副題は「代謝エンジン」で読み解く生命の秩序と多様性。

zounonini.jpgま、だいたい想像できるような内容です。体の小さな生物ほど必死にエネルギーを生産しなければならない。つまり「代謝エンジン」の比重が大きくなる。しかしエンジン性能も限界があるので、たとえば体長1センチの哺乳類は存在しない。

ようするに成長戦略として、図体が大きくなることは有利なみたいですね。ただしこれにも限界があって、キングコングのサイズになると体のほとんどが骨格で占められ、巨体を支えるために足は果てしなく太くなる。だからキングコングはビルに登ることは不可能。極限はピラミッド型の動物ということになりそうです。

ま、そこそこ面白い本でした。

もう一つ。「幻の終戦―もしミッドウェー海戦で戦争をやめていたら」(保阪正康)も一応は読了。ミッドウェーの後で近衛や吉田茂が中心になって和平工作を押し進めていたら日本はどうなっただろうか・・・という「IF」のお話。

あの近衛が人格一変してスーパーマンになることがありえたんだろうか。東条がそんなに簡単に辞任に追い込まれただろうか。当時の軍部は政変(和平内閣の誕生)を許すほどそんなに脇が甘かっただろうか。

ちょっとキャクラターの描き方に肉付けが足りない感じで、やはりキレイゴトのお話になってしまっている。この本読みながら大岡さんの「レイテ戦記」を併読していると、やはり空想と現実の越えられない段差のようなものを感じてしまいます。悲しいほど非合理的でわけのわからない「現実」のほうが、どうしても訴える力が大きいです。

そういいえば大昔、伊達政宗が政権をとったらというIFものを読んだことがあったような。あれも発想は面白かったけど、結果的に政宗という男が全智のスーパーヒーローになってしまった分、つまらなかったです。

カミサマになると、人間臭さがなくなってしまう。IFものはどうしても主人公がカッコウ良すぎる描き方になってしまうようです。(そういえばマーク・トウェインの「アーサー王宮廷のコネチカット・ヤンキー」もそうでした。でもあれはマンガとしての面白さがあって、また再読してみたいです。ん? 要するにトウェインは作家として抜群に上手だったということなのかな)

 

fevre.jpgあれを読んだり、これを読みちらしたりしながら、時折元気が出るとGeorge R.R. MartinのFevre Dreamを開いています。

なかなか進みません。

進まないけど、やはりMartinの英語は読みやすいです。もちろん単語はやたらめったら分りませんが、たいていはスッ飛ばし。どうしても「ここはキーワードだな」という部分だけ7年ものの電子辞書(SEIKO SR-M6000)をポツポツ押して調べています。

この辞書、買うときはいろいろ調べまくって買ったもので、内蔵辞書は厳選されていて使いやすい(特にコウビルド英英は暇つぶしに楽しく読める)のですが、唯一の問題はキーの押し漏れが出ること。かなり注意してゆっくりキーを押さないと取りこぼしてしまいます。

あと、登録できる単語の数が少ないのも難点ですね。ぜんぶで何単語だったか覚えてませんが、たまに登録しようとすると「残り5単語です」とか出るんで躊躇してしまう。覚えさせたのを消してしまえば問題ないですが、でも惜しいような気もします。いま一覧を出したらほとんど忘れてるんだろうな、きっと。

postern(からめ手)とかshed(納屋)、hernit(隠者)、pyre(火葬用の薪)とか、へんな単語ばっかり登録してるはずです。

 

中公文庫 ★★★★

 

leyte.jpg大岡昇平のレイテ戦記をまた読み直しています。なんせ簡単に読める本じゃないんで、まだ完読したのは2回程度。こんどが3回めです。

やはり、読みにくいです。「堺港攘夷始末」もそうでしたが読みとばしが効かない。といって1行々々ていねいに読むと非常に疲れるし、流すとオオオカ爺さんに怒られそうなので、ま、そのへんは折り合いをつけて適当に。

ようやく文庫の1巻の真ん中すぎ。栗田艦隊の引き返しが終わって、特攻の付近です。本当は大きな地図でも目の前にして、一つ一つ確かめながら読まないと駄目ですね。グーグル地図でも印刷してみようかな。

こういう本を読むのは楽しみでもあり、苦しみでもあり。ヘキエキして退散するんですが、時間がたつとまた手にとりたくなる。

そうそう、先日はミッチェナーの「センテニアル」をまた読み返しました。こっちは読みやすいので、たぶん4回目くらい。かなり長い本の印象だけど、実際にはたったの全3巻。

行間に空想の働く余地のある本なんでしょうね。読んでしまってから、記憶の中でどんどん情景がふくらんでいく(ニーヴン&パーネルの「悪魔のハンマー」と同じです)。なんなとく倍くらいのボリュームがあったような気になってしまいます。

ま、気長に読むつもりです。

 

日本放送出版協会 ★★★

 

animal.jpg何気なく借り出したのに、あんがい面白かった本。

子供の頃、たまたま家にあった巨大なダンボール箱の中によく入ってみたことがあります。なんか、気に入ってしまった。たしか思いついて、窮屈な箱の中でこっそり昼寝をしたこともあった(もちろん夏です)。

自分でも理由がわからなかったですね。偏愛。「変なことをしているな・・」とは思っていたけど。

この本の著者(実際には口述かな)は自閉症患者であり、動物学者(なのか?)であり、動物に苦しみを与えず食肉処理するシステムの考案者であり、よく知らないがかなり活躍している人。「動物感覚」の原題は「Animals in Translation」だそうです。

で、グランディンによると「体に適度な圧迫を加えると心地よく感じる」のだとか。グランディン自身も特製の締めつけ機を作って、不安定な思春期をこの器具でしのいだという。不安におそわれると、締めつけ機で体を挟んで寝るというわけ。(処理場に向かう牛も適度に体を締めつけてやると安心してスムーズに歩く)

たしかにね。ただ単に横になるのではなく、たとえばクッションを体に乗せることで、なぜかリラックスする気がします。重みのある掛け布団の効用(たしかに気持ちよい)もここにあったのか。

ウェブで見る「猫鍋」。猫が鍋の中に好んで入りたがる。猫の背中の丸みが鍋の湾曲にあっているからだともいいますが、むしろこの「気持ちよい圧迫」理屈のほうが合っているような感じです。

本人によると「自閉症患者は動物の心がわかやすい」という。ある意味、健常な人間と動物との中間に位置していることが多いという持論のようで、だから食肉処理施設で問題が発生すると著者のテンプル・グランディンは駆けつけて、動物の気持ちになってトラブルを処理しようとする。動物と人間の通訳。

時には四つんばいになり、豚と同じ目の位置で周囲を見る。立っている人間には見えないものが、豚には見える。たとえばチラチラ光る一枚の小さな金属片が気になって仕方ない。食肉処理場に通じる通路が暗くて怖くて、それで豚は通路を通ることを拒否する。拒否する豚に無理強いすると、ストレスにあふれた豚の肉の品質は下落する。

意外や意外で楽しめた本でした。

 

新潮文庫 文春文庫 ★★★

NEC_0010.jpg山本周五郎のものはたいてい読んでいるし内容もだいたい覚えているつもりだが、この「虚空遍歴」は読み終えた・・という意識がない。どんなストーリーだったかもかなりアイマイ。

で、ふと思いついて借り出してみました。

なるほどなるほど。やはり過去に読了はしています。でも、ふーん、こんな結末だったっけか。暗いなあ。

今回は登場する脇役に少し興味をひかれましした。作者の酒竹とか絵師の濤石、医師の無仏といった連中がなかなかいいですね。みんな転落してしまう(無仏は違うか)し、もちろん主人公もダラダラと無限地獄に転落していく。面白かったけど、すぐ読み返すかというと、ちょっとエネルギーが足りない。

正直、疲れる小説でした。

半藤一利の「日本国憲法の二〇〇日」は本屋さんで発見して購入。ま、それなりに読めます。やたら山田風太郎の日記からの引用が多いですね。半藤さんも恐縮しながら、でも引用せざるをえない。風太郎の戦後シリーズは買っておかないといけないかなあ。そのうち・・と思っていると、本屋さんの棚から消えてしまうかもしれないです。

講談社文庫 文春文庫 ★★★★

ここ1~2週、村上春樹にとりついています。ずーっと昔に「遠い太鼓」を読んで、感性があっているみたいだなあと好きになったのですが、なんか以後のチャンスがなかった。

nejimaki.jpgで、ふと思いついて「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」を読みました(本棚には子供の買い込んだハルキの文庫がズラリと並んでいる)。そこそこ読めて、次に「羊をめぐる冒険」「ダンス・ダンス・ダンス」「スプートニクの恋人」。それから遡って「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」「ノルウェイの森」。

順番は必ずしも執筆順ではないですね。でもだいたいは時代に沿っている。

いまは「ねじまき鳥クロニクル」です。これが終わったら「海辺のカフカ」とか、そのあたりかな。たぶん「アンダーグラウンド」には行かないと思います。これは発刊当時に本屋でみて、パラパラめくってみてから諦めました。よほど体力・気力がないと読了はたぶん無理です。

ということで、本当に久しぶりの読みちらし記録でした。

そうそう。いろんな意見があるようですが、ハルキ独特の隠喩(というのかどうか)や文体はわりあい好きです。カート・ヴォネガットJrを愛読したという経歴を知って納得。私もカート・ヴォネガットJrは好きです。ちなみにスコット・フィッツジュラルドは好かんです。美味しいコーヒーも好きです。朝食には食べませんがパスタも好きです。ハルキ本にやたら出てくる歌や歌手に関してはまったく知識がありません。

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