2013年の最近の記事

さて、2013年も暮れます。約束事なので、一応は振り返ってみますか。

Photoshop CS6を購入

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この1年、PC関係ではあまり変化がありませんでした。Windows7導入とSkyrimインストール時にシステムを大きく替えてしまったので、もうやることなし。また、ちょうど1年前にSSDも入れたので、スピードに関しても特に不満なし。

回転体のない高速ドライブSSD(ソリッドステートドライブ)、その後もいろいろ新製品が出ているようです。最近では東芝と絡んだCFDの製品が人気らしいですが、そんなに劇的に進化してはいません。どっちかというと質を少し落として低価格の方向へ進んでいます。要はSSDを使うか使わないか、ですね。スピードの桁が違います。SSDを使うことでPCは驚くほど変化します。

容量に関してもそりゃ予算があれば大きいほうがいいに決まってますが、128Gか256Gかなんてのも些細な問題と思います。メーカーやブランドもたいした差はなさそうです。実際に購入したPLEXTOR PX-128M5Sは当時としても少し型落ち気味のものでしたが、 たしか価格は9000円程度。かなり安く買えたクチでしょうね。(その後は逆にジリジリ値上がりして現在でも1万円近くしている)

SSDを使うと、快適です。静かで、超速い。ハードディスクとは雲泥の差。迷っている方には強くお薦めします。もし予算に余裕があれば512Gの大容量がいいでしょうね。512Gあれば使い方にまったく気を使わず、単純に「速いハードディスク」として利用できます。

というわけでハードは何もいじらなかった代わりに、大決心してPhotoshopを買いました。CS6 Extended。Extendedである必要性はゼロだったのですが、スクール教材仕様がこれだったので仕方ない。えーと、いくらでしたか。3万3000円程度かな。こんな高価なソフトを買ったのは本当に久しぶりで、小心者としては清水飛び下りです。

ほぼ1年近く使いましたが、とくに文句なし。SSDシステムのせいか思ったほど重くもないし、使い勝手も悪くはない。まだ全性能の1~2パーセントしか利用してないですね。これからも多少は覚えるでしょうが、それでも3~4パーセントくらいが関の山でしょう。OSが大変化しない限り、たぶん死ぬまで使うだろうと思います。それじゃアドビが儲からないか。なんかクラウドがどうとか、月会費がどうとか言ってるみたいですが。知るか。

虫歯を抜いた

たかが・・と言われそうですが、自分としては大事件。歯医者へいって虫歯を抜きました。

歯医者へまともに行ったのは生涯2回目。あっさり奥のボロボロ虫歯を抜かれて、他にも怪しいのがたくさんあるとか言われましたが、そこはウヤムヤと誤魔化して放免。これで当分は安心です。

先日、いい気になって甘いものを食べたら、抜いた歯の隣がちょっと痛みだした。狼狽しましたが、せっせと磨いたら治まりました。これからも時折痛むかもしれませんが、ま、なんとか誤魔化して過ごす予定です。歯科医院にはあんまり近づきたくないです。


囲碁対局ソフトを買った

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「最強の囲碁 新・高速思考版」というのを買いました。1800円程度の廉価版ダウンロードですが、私にとっては十分すぎるほど強い。いい買い物をしました。

ただし最近はあまり使っていません。何回やってもコロコロ負けるので、ちょっと嫌気がさしてきた。ただ打ち手はけっこうまともだし変化があるので、末永く使えると思います(大昔のソフトは阿呆PCふうで序盤がひとつ覚え、いつも同じ手順なのですぐ飽きた)。


あまちゃん

4月からは朝ドラ「あまちゃん」を録画して見続けました。こんなに熱心にドラマを見たのは初めてです。クドカンのドラマはどうもテンション過剰というか、少し辟易する部分があったのですが、今回はいい具合に控えめにしてくれた。脇役がしっかり揃っていて、ギャグも楽しめる朝ドラでした。

ただ放映終了後の数日はいわゆる「あまロス」感覚だったのですが、1週間もすると記憶もおぼろ。なんであんなに熱心に見ていたのかなあ・・と不思議なものです。ものは日にうとし。とくに朝ドラが好きだったわけではないので、続編の「ごちそうさん」にはさして関心なし。とりあえず数回は見ましたが、なるほど、ごく普通の朝ドラだなあと納得してそれっきりです。


草津軽井沢とフィレンツェ

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子供がまだ一緒に付き合ってくれるので、今年も旅行。梅雨模様の草津から軽井沢をまわってきました。また9月には遅い夏休みで海外旅行。アリタリアでローマ経由のフィレンツです。狭いエコノミー座席の長時間を辛抱できるかどうか心配でしたが、乗ってしまえばなんとかなるものです。

フィレンツェはけっこう良かったんですが、ちょっと人が多すぎましたね。中心観光地は観光客でごったがえしているし(当然です)、とにかく数の多いカテドラルは大きすぎて中が広いし名画は多すぎるしで、頭の中がゴチャゴチャになる。

ただ、どうでもこうでもイタリアは食べ物が美味しいのが嬉しいです。しかも物価はちょっと安い。そうそう、フィレンツェの中心部はアフリカ系のガラクタ売りがやたら多くて通行が不便なのだけがいけませんね。うかつに歩いてると地面に拡げられた絵を踏みそうになる。これを踏みつけると「汚れたから買え!」と強要されるという噂もあります。真偽は知りません。

近くのシエナまでバスで足を伸ばしました。駅のチケット売り場がなかなか判明しなくてウロウロしました。バス乗り場も様子がわからなくて少し心配。そういえばずーっと以前にローマからアッシジへ早朝バスで行ったときも、行き先が正しいかどうかでかなり心配したことを思いだしました。運転手に聞いてもはっきりしないんです。

シエナはこじんまりした町ですが、広場ではちょうどクラシックカーのデモンストレーションをやっていました。広場につながる狭い石畳の道を轟音たてて次から次へと高価そうなクルマが通過。チョイ悪オヤジふうのドライバーと派手な女が助手席というパターンが多かったです。


オニのかくらん、不思議な発熱

11月はヘンテコリンな風邪をひきました。たぶん風邪だと思うんですが、これまでのパターンと違って喉も痛まず、咳も出ない。鼻水も出ない。ただひたすら熱が出る。子供みたいに熱が上がって39度。

39度の熱だと体がふらふらします。食い物が美味しくない。判断力が鈍る。なにもできないで、ひたすら寝ていました。通常の風邪とは症状が違う気がするのですが、では何だったかというとわからない。その後、なにか別の病気が発症ということもなかったし、いまでも謎です。

下部内視鏡

歳をとると、いろいろ旧悪がバレてきますね。体にいいことしてないしなあ。で、検診でひっかかって、ついに下部内視鏡というのを体験しました。ようするに大腸をカラッポにして、そこに内視鏡をつっこむ。便利な時代になったんですが、この「カラッポにする」というのが、けっこう手間がかかる。

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タテマエでは2日前から食事に気をつけなければならない。そのへんは適当にサボりましたが、でもさすがに前日だけは消化のよい食事にして(ネギとか海草とか繊維の多いものは禁止) 、主食もお粥とかウドンとか。要するに子供の離乳食です。もちろん飲酒も控える。

ここまでやる必要あるの?という気もしますが、でもここをサボっていると当日が辛い。腸内を洗うため、けっして美味しくはないポカリスエットまがいを延々と2リットル飲むんですが、この時間がなかば拷問です。少し飲む。ボーッと待つ。また少し飲む。あわててトイレに駆け込む。また飲む。ボーッとする。またトイレ。

早め腸内がきれいになると、早めに施術してもらえます。なかなかきれいにならないと、しっかり飲みきらなければならないんで、時間もかかる。なるべく隣の連中と目をあわせないように、みんな静かに、ひたすら飲んで待つ。知りませんが拘置所とか同じ拷問を受けている罪人溜まりみたいなもんでしょうね。

内視鏡そのものは実に簡単です。麻酔をきかせれば、ほとんど意識なし。ただしポリープ切除したとかで、終わってから何日かはまた食事節制と飲酒禁止。まるで病人みたいなもんです。ただし医師から見ると、痛くなくたって切除したんだから立派な手術です。「当然でしょ」ということになる。文句をいうほうがおかしい。実際には3日目から少しずつ酒を嘗めました。怖いので少しずつです。良い子は真似をしないように。

ギックリ腰

で、今年は疫病神の当たり年だったらしく、暮れにはギックリ腰。ぺったり座り込んで新聞紙の束に紐をかけていたら、姿勢が無理だったんでしょうね、なんか腰が痛くなってきた。危険かなと察して立ち上がろうとしたら、立てない。あらら、やっちゃった。1カ月前くらいからなんとなくの予兆はあったのに、用心が足りなかったですね。

その日はもう必死です。トイレまで行くのにあぶら汗たらして10分はかかる。ベッドに横になるのにも10分かかる。体の各部と慎重に対話しながらでないと、動けません。ほんの少しでもうかつに筋肉を動かすとギクッと来る。

暗澹たる気持ちでしたが、翌朝になったら少し緩和したので、亀のようにノロノロ歩いて整形外科へ行きました。家内が心配して付き添ってくれましたが、なんか夫婦の老後を暗示しているようです。どっちがどっちを面倒みるにしても、こうやってノロノロと歩き続けなければならない。

で、結果的には、ま、軽いほうだったみたいです。特に骨がつぷれているとかではなかった。強いていえば、暮れも押し迫って医院が混み、待ち時間がえらく長かったのが辛かったですね。時節柄、大量の婆さん連中が待合室に詰めかけていました。ほとんどは薬待ち、または「電気を当てる」ために来てるんだと思います。

結局、レントゲンやら診察やらで計5時間。飲み薬を2種と貼り薬をもらって、ついでみたいな感じで「電気」の処置も受けてからのろのろ帰りました。

要するに運動不足が最大の原因でしょうね。ちょっと反省しています。ちょっと、です。

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東京の公立博物館や美術館は、65歳以上を対象に割引などいろいろ優遇措置を設けています。シルバーデーなんていう無料日もあって魅力なんですが、あいにく月に1日だけ。ケチ。狙って行こうかと計画はしたものの、都合がつかなかった。都合といっても寒かったり雨だったり気がのらなかったり・・という程度の不都合。

活用しないといけませんね。亭主元気で留守がいい。なるべく家をあけるようにしないと。

来年は(来年も)穏やかな1年になりますように。

下手の横好き(ただし観戦のみ)とでもいうか、けっこうテレビやネット中継を見ていた将棋ですが、このところ急に関心が薄れた気がします。なんか気がのらない。

どうも先日の竜王戦、渡辺が10年目にして失冠(10連覇できなかった)からのような気がします。渡辺が竜王であろうがなかろうが、さして違いはないはずなのに、なんか詰まらなくなった。不思議ですね。

関心が薄れたといえば、夏過ぎまでかなり熱心に見ていた「あまちゃん」。最近もときおり能年玲奈をテレビで見ますが、なんでこの子を応援してたんだろ?という感覚。どうしてあんなに魅力的に見えたんでしょうかね。そもそもあの朝ドラがなんでそんなに面白かったんだろ。果てしない大昔のような気がします。

そうそう。将棋では23日、里見香奈二段が奨励会の三段に上がりました。いままでの女性最高位は初段くらいじゃなかったかな。したがって二段でもすごかったんですが、ついに三段リーグ入りです。

三段リーグは鬼の棲み家とか言われる集団で、プロ入り一歩手前の天才集団が血相かえて将棋に打ち込んでいる。ただし年齢制限があり、それまでに四段(つまりプロ)になれない会員は退会させられます。子供の頃から将棋だけしてきた純粋培養の青年が、リミットの26歳までに勝ち抜けできないと「オマエは辞めろ」と宣告される。まったく新しい人生を再設計しないといけない。辛いです。

里見香奈が26歳までにプロになれるかどうか。まったくわかりません。でも生き残ってほしいですね。もし成功すれば日本初の女性棋士誕生です。

今度はこっちのほうを応援しようかな。ただ、奨励会の対戦は公開されないからなあ。もしネットで中継でもあればかぶりつきで見るんですけど。

ちょっとネットを彷徨してたら、三菱が個人向けディスプレイから撤退という記事を発見しました。

rdt232-201312.jpgあらららら。非常に残念。ずーっとモニタは三菱なのに。今はRDT232WXという23インチ液晶(3万1000円弱)ですが、その前はもちろんCRTでRDF193H。19インチで4万3000円。2002年だったかな。

そのまた前は17インチだったはずで、あれ、これも三菱でした。RD17GX2。三菱を3代続けて使っているのか。古いメモを見るとこっちは7万5000円だったらしいです。高かったんだなあ。

そのまたまた前はセットで購入した 富士通の安物CRTでした。たぶん14インチとか15インチでしょう、きっと。

時系列に並べてみると
富士通14インチCRT → 三菱17インチCRT(1997) → 三菱19インチCRT(2002)  →  三菱23インチ液晶(2011) →

三菱のモニター、手頃なんですよね。ナナオとかNECとかにも関心はあったけど、ちょっと高すぎて手が出ない。といって韓国やなんかの安いのはちょっと・・・と迷い始めると、結局は三菱か飯山になる。飯山も会社で使ったことあり、悪くはない印象でしたが、でも結局はちょっと高級そうなイメージの三菱に決定。

使っていて不満はなかったです。特に三菱のCRTはけっこう好きだった。CRT撤退のときもガックリした記憶があります。

さて、今のRDT232WXを買ったのは3年近く前。これからいつまで使えるかなあ。ドットピッチの関係でもう少し大きなフォントサイズが欲しい気はあるんですが、設置サイズ的には23インチがほぼ限度です。24インチくらいまでは大丈夫かな。うーん、次に買うディスプレイは悩ましいですね。

北の零年

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BSで8年前の映画をやってました。

てっきり池澤夏樹の「静かな大地」が原作かと思ったら、違うんですね。たぶんいろんな本を参考にしたオリジナル脚本。船山馨の「お登勢」というのもかなり近いみたいですが、あいにく読んだことなし。図書館で探してみようかな。

映画そのものは、なんというか。吉永小百合サマはあいかわらず小百合サマで、それは良かったし、トヨエツもいかにもトヨエツでまずまずだったし、渡辺ケンさんも、無駄に存在感あったけど、ま、それなり。あいかわらず過剰ですが香川照之も立派な悪役でした。

おしなべてキャストはみんな悪くなかったと思います。果てし無くうねる大地や雪の映像もきれいでした。ただ、肝心カナメの脚本があいにくで・・・。最後のほうなんか、学芸会みたいで見ていて恥ずかしい。惜しいなあ。

重箱のスミみたいですが、たった5年で何十頭もの馬を育てて順調経営ができるものなんでしょうか。いくらなんでも、ちょっと速成すぎるような。

珍しくテレビドラマ。2夜続けてテレ朝の「オリンピックの身代金」を見ました。うーん、期待通りというか、期待外れというか、なんとも難しいです。

少なくとも出演者は超豪華でしたね。有名どころをほんのチョイ役で惜しげもなく使う。ただし、豪華だから見応えがあるかどうかというと、少し疑問ではある。とはいえ下手な俳優だったら、もっと酷いか。

ま、あえて文句いうほどではないんですが、脚本をちょっと過剰ウエットに作りすぎたみたいで、捜査一課のバリバリ刑事があんなに犯人に同情しちゃいけません。もちろん犯人には言い分があるんでしょうが、でも刑事が共感を表に出したらオシマイ。まして人に話すなんて論外。

もちろん他に刑事はいないのかというくらい竹野内豊が大活躍です。ほとんどスーパーマン。なんでもかんでも竹野内がやっちゃう。最近のドラマの困った傾向ですね。

で、逃げようとした笹野高史のほうはあっさり射殺(拳銃でリアウインド越しに命中。神業)。そもそも何で射殺したんでしょう。殺してしまったら身代金取引が破約になってしまう。犯人が2人揃ってる場面でなら一気に制圧という決断もできると思うんですが。はて。

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で、肝心の場面では主犯の松山ケンイチを撃つのを何故かためらう。他の刑事連中も周囲を取り巻いてるだけで(アホか)、マツケンの演技をたっぷり見せるためか、犯人がぶっちゃべりながら悠々とダイナマイトを出し、ライターで火をつけるのを(ずいぶん時間がかかったなあ)ボーッと見てる。ちょっとやりすぎでしょう。

たしか奥田英朗の原作のほうでは、即座に射殺だった記憶があります。ま、当然の判断でしょう。すぐそばに大観衆がいるスタジアムの外廊下です。もし爆発したら大惨事。やはり問答無用、犬のように射殺してメデタシメデタシ。でもその結果として、視聴者側になんか遣り切れない思いを残させる・・とか。ちょっと高等すぎるか。

変というなら、処理済とはいえ爆弾抱えてわざわざ観客席を走るシーンはもっと変ですけどね。

時代をあらわす小道具、大道具はよく用意したと思います。大変だっただろうなあ。でも、それでも時代を知ってる人間からすると、ちょっと違和感が残る。こういう時代物のドラマを作るのは難しいです。幕末ものや明治ものなんか、タイムワープしてきた時代人が見たら怒るだろうな、きっと。

とかなんとか難点は多々ありますが、そこそこ面白かったです。

笹野高史は好演。この人、こういう役柄だとハマリ過ぎ。黒木メイサはそもそも出す必要がなかったけど、少なくともグチャグチャしゃべらせないのが良かった。これが「だっておかしいわ!」とか何か言い出したらかなり興ざめになるところでした。

なまじキッチリした原作があると、あんまり逸脱できないので脚本もたいへんです。原作がないと力のない脚本家は苦労するし、原作があってもやはり苦労する。どっちにしても、いい脚本はめったに作れません。


思いっきり下手(というより中盤以降の指し方がわからない)な将棋ですが、大きなタイトル戦なんかはテレビや棋譜進行を時折見ます。とくに竜王戦。

というより、そもそも渡辺明五段の頃から、彼のブログを見始めたのが将棋に興味をもったキッカケでした。棋士というより普通のニイチャンが日常を記したようなブログで、あれは面白かった。そして、ちょうど見始めた頃に結婚し、リーグを勝ち進んで竜王戦に挑戦、タイトルを奪取。一気に貫祿をつけていく。20歳が29歳になった。

将棋をよく知らないオヤヂにとっても、渡辺明の将棋は楽しいんですよね。え?というようなタイミングで攻めに転じて、その攻めが意表をつく。鋭くて、しかも続く。伝説となった羽生・渡辺の永世をかけた対決なんて抜群でした。3連敗から奇跡の4連勝。

ryuousen201305.jpgで、竜王タイトルを9年キープして迎えた今年。ついに負けました。永久にタイトル保持はできないんで、いずれは負ける。仕方ないことですが、もう「渡辺竜王」ではないのか。いまさら「渡辺2冠」というのも、なんか似合わない感じがします。

このまま静かになるような人ではないので、来年がまた楽しみですね。いつかきっと復冠するでしょう。

フィリピン台風関連ニュースで、アナウンサーが「レイテ湾」が云々・・と言っているのを聞いて不審。タクロバンのあるレイテ島北東部、サマール島南部、あれはレイテ湾じゃないぞ。レイテ島の東部って、湾というほどの深い地形じゃないような気がするんだけど。

leyteGulf.jpg自分の記憶の中のレイテ湾は、レイテ島の西側です。たくさんの島に囲まれた内海のような部分。そこに栗田艦隊が突入しようとして米艦隊と衝突した。

数日たってから念のためネットで確認してみました。あららら、完全に自分の記憶違いだった。内海(シブヤン海)をレイテ湾と思い込んでいたらしい。戦艦武蔵はこのシブヤン海で沈んだんですよね。

恥ずかしいですが、こういう思い込みがけっこう増えている。自分なりに確信もっているのに、調べてみると真っ赤な嘘。たびたびあるんで、自信を持って断言するのがだんだん怖くなる。ちょっと反論されると「うん、そうかもしれないけど」と曖昧に誤魔化しておくようになった。

いやですね。子供の頃、ギリシャの陶片追放システムを「陶片で人気投票し、いちばん人気のある政治家は(独裁者になる危険性があるから)追放」と納得してしまったことがあります。そう思い込んでたんで、中学の世界史の時間では先生の説明に食ってかかった。

なんでそう思い込んだんだろ。でも、けっこう有効性のあるシステムじゃないかなと、いまでも思っています。日本だったらコイズミとかアベとか、とっくに追放になってる。民衆に媚びるような政治家、妙に国民に人気のある人物は公職追放。追放されるのがイヤだったら、ときどき国民に嫌われるような政策を提示しないといけない。

けっこう面白いような気もしますね。

何の気なしにモンテクリスト伯なんて書いてしまって、昔からの疑問が頭をもたげてきました。エドモン・ダンテスが孤島の地下で発見したスパダ家の財宝、いったいどれくらいの価値があったのか。

子供の頃はこの本、特に財宝発掘の箇所が大好きでした。地下から金貨がザックザク、貴重な宝石もジャンジャラン。いいなあ。

で、当時の印象としてはなんか一国の予算くらいの額はあったような雰囲気。何をやろうとしても、不可能はない。スパダ家ってのはすごい資産を持っていたんだ。

で、少し調べてみたらそんな資産家はいなかったようですね。ローマにスパダという家系(いちおう枢機卿を出すくらい)はあったようだけど、でもそんなに大金持だったかどうか。狙われてボルジアに毒殺されるほどの資産家であったかどうかは疑問。Wikiにはスパダ家=メディチ家という説もあると紹介されていました。

で、試しに検索してみたら、やはり偉い人はいるんですね。ここです。

それによると本の中で「スパダの財宝=1300万フラン」と書かれているそうで。その後なぜか「伯爵の総資産=8000万フラン」とも書かれている。なんか当時の利率は高かった雰囲気だし、上手に運用すればこれくらい増えても不思議はないかな。

で、当時(19世紀の前半ですか)の1フランはどの程度の価値があったのか。これが実は難しい。リーブル、フラン、エキュといろんな通貨が出てくるし、換算方法もいろいろあるけど、紹介のブログの方は「1フラン=1000円」が妥当な気がするという。

パリで銀行家のダングラールが伯爵に「100万フランほど用意しますか?」とフッかけるシーンがあります。もちろん相手がひるむことを想定している。この100万フラン、1フラン=1000円なら10億円です。なんとなく妥当な感じがありますね。それに対して「そんな額なら財布にいつも入れている」と、伯爵が手形(だったと思う) を見せます。2枚くらい入っていたっけか。

それにしても、伯爵の資産総額、1フラン=1000円なら800億。うーん、多いというべきか、たいしたことないと言うべきか(ビル・ゲイツは資産数兆円、かつてのオナシスも1兆円近かったはず)。ただ、会社経営しているとか、子供に残そうというんならともかく、ぜんぶ自分が使い切ってもいいんだ!と割り切ればすごい額であることに間違いないかな。

でも小説の最後のあたり、ギリシャ美人と一緒に暮らすような雰囲気になっています。王族出身の若い豪華な美人がその気になってバンバン使いだしたら、はて、800億は十分と言えるかどうか。あの宝石、欲しいわ・・で5億、10億。豪華ヨット買ってクルーズしましょ・・で20億、50億。あんまり持ちそうな気もしません。色気に負け てしまった伯爵の運命やいかに。

でも伯爵、しっかり者だからけっこう財テクしてるかもしれません。鉄道株を買ったり不動産に投資したり。

今回も無駄話でした。

急に冷え込んできました。新聞とりに下へ降りるだけで体が冷えきってしまう。まるで冬みたいです。

フィリピンのレイテ島はものすごい台風に襲われたみたいです。風速90m。タクロバンとか、あのへんの地名を新聞で見ると、大岡昇平さんのレイテ戦記を思い出します。あの本を読み通すには、ある程度レイテ島の地理概念がないと無理。地図と首っ引きで読み進めた記憶があります。

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で、最近は変な天気が続くわねと家人と会話。地球温暖化のせいかしら。

温暖化、人為的な影響もたしかに大きいような気がしますが、でもそれだけじゃないでしょうね。たぶん大きな地球規模の気候変動の流れがあって、可能性としては、人間の作った炭酸ガスがそれを加速しているかもしれない。加速しないほうがいいには違いないんですが。

なんかの本で、そのへの解説を読んだことがあります。もし人為的な二酸化炭素発生が主原因なら、19世紀初頭あたりの産業革命から変化の兆候が見られるはず。でもこの頃、世界は大幅に冷え込んだ。だから化石燃料の影響がなかったともいえませんが、必ずしもスッキリしたグラフにはなっていないみたい。

資料に残っていないだけで、地球は何回も何回も暖かくなったり冷えたりしてるようです。ごく最近でも、世界規模という実証はされていないけど中世温暖期(10~14世紀)というのがあったらしいし、その後の15世紀から19世紀半ば頃は小氷期。シャーロック・ホームズが徘徊していたロンドンは非常に寒かった。

そういえば中世のパリ、城壁の周囲が大雪に埋もれて、郊外から薪炭をはこぶ百姓が通れなくなり、市内は氷漬けになったとかいう記録があった。何で読んだんだったか。で飢えたオオカミの群れが(連中も食うものがなかった)壊れた下水道出口から城内に進入して、市民たちが大騒ぎした。シャンゼリゼをオオカミが走ったんだったかな。よほど寒かったんでしょうね。

ただしシャンゼリゼってのは、ちょっと前まではパリ中心部ではなかったと思います。たぶん、ちょっと外れた閑静な街。だからモンテクリスト伯がシャンゼリゼに邸宅を構えたと聞くと友人たちが意外性に驚く。雑踏の市街地ではないけど完全な田舎ではない。なるほど、さすが伯爵、素晴らしい趣味である・・。

話が飛びすぎるなあ。それはともかく、化石燃料の影響が甚大にしろ少ないにしろ、それとは関係なく地球は大きく冷えたり暖かくなったりしている。そのたびに海面水位も上がったり下がったりしてるんでしょうね。だから南洋のなんとか島が水没しそうだと聞いても、ま、仕方ないんでないかいと感じてしまう。

富士山だってそのうち爆発するだろうし、極冠の氷が溶けだすこともあるだろう。日本の傾斜地に建てられた家なんて、みんな危険です。これから数百年レベルではすべからく崩れるでしょう。抵抗できないエントロピーの増大。

裏日本の海岸っぺりに住んでいたことがあります。あっちはあんまり海岸(の砂浜)がありません。古老に聞くと、数十年前までは砂山が2つ3つと連なっていたもんだ。それがどんどんどんどん浸食されてきて、もう最後はテトラポットで防ぐしかなくなっている。テトラポットがズラリと並んだ海岸はあんまり綺麗なもんじゃないです。

大昔のアフリカ北部は豊かな農耕地だったらしいし、レバノンのあたりも緑したたる地方だったらしい。それが何世紀かたつとみーんな旱魃化して、荒れ地になる。アフリカ北部、中東、パミール高原・・・と続く地球の乾燥ベルト地帯、みーんな同じ原因・理屈で水不足になったとは何かで知りました。面白いなあとその大気循環モデルを記憶したつもりなんですが、すぐ忘れてしまった。どういう理由でそうなったんだったか、もう何も覚えていないです。


うーん、読み直すとぜーんぶ無駄話ですね。何か言いたいことがあったんですが、何を書くつもりだったかも忘れてしまった。ま、いいか。要するに今日は底冷えする。

こういうことはあんまり書きたくないんですが、なんか酷すぎる。あ、以下は完全に独断、偏見です。面白い話ではないので、読まないほうがいいと思います。


安倍政権がやりたい放題ですね。秘密保護法案ですか。何も理解してなそうな大臣がオロオロ弁解して、頭の悪そうな野党が質問。何を秘密にしているかは秘密だから公開できない。秘密。いつか公開するかもしれいけど、しないかもしれない。関連があれば民間にも適用する。マスコミはいちおう例外だけど、その「マスコミ」の定義が明快ではない。

戦後の大転機、自衛隊創設日米安保改訂に匹敵するくらいの大問題だと思います。その割りには世間が静かです。たぶん各地でデモくらいやってるんだろうけど、聞こえてこない。さんざん偉そうにしていたリベラル派マスコミも妙に静か。

どうしても秘密漏洩が問題なら、公務員に限って漏洩罪を思い切り重くすればいい。そもそも公務員ってのはそういうもんだから、問題ないと思っています。秘密を漏らすときは、覚悟を決めて漏らしてもらいたい。

これまでTPPで嘘いってるぐらいは、ま、どうしてもやりたいんだろうな・・と暖かく(はないけど)見てましたが、だんだんエスカレートしてますね。図にのってる。

道徳を正式教科にするらしいです。どうして自民の族連中はこれをやりたいんだろう。教科書にすれば何か解決すると思ってるんだろうか。教科書に何を書かせるんだろ。それを担任のあの先生方が教えるんですか。あほくさ。顔色を見るのが上手な嘘つき生徒が増えるだけです。

おまけにドサクサ紛れに、フィリピンへ自衛隊を派遣してもいい、とか。これが成功すれば大偉業ですね。相手政府の要請があり、人道的任務なら軍隊派遣もいいじゃないかという理屈。とりあえずは救助部隊だし、イラクの例もある。ふんとにまあ。韓国や中国が大騒ぎしそうです。しなかったらアホ。

大震災の復興、福島の避難民と除染に関しても、もう何をかいわんや。小泉御大が何か威勢のいいこと言ってるそうで、それは、ま、いいでしょう。小泉ってのは基本的に政治家じゃなくて単純アホですから、単純アホなりの良さがある。うさん臭くて信用していないけど、嫌いではない。はい。どんどん主張してほしい。

安倍は、嫌いです。ホクホクしてる顔を見るたびに気分が悪くなります。他に政治家はいないのか・・・うーん、いないなあ。トシとると我慢がきかなくなります。イライラ。


碁よりももっと下手なんですが、将棋も好きです。ただし対局するのではなく、一流のプロの指し方を見るだけ。見ていたってほとんど分かりませんが、詳しく手順を解説してあると、ふんふん、なるほどなあ・・と一応は感嘆します。

とはいえ、たいして熱心じゃないので、ここ数年は渡辺明竜王の対戦だけ真面目に見ています。金を払ってニコニコ動画見るとかは遠慮して、公開中継サイトのリアルタイム棋譜だけを見ている。それだけでは飽きる(なんせ、なかなか指さない)ので、某巨大サイトの無駄話進行を眺めながら、ときどき指し手をチェックする。BSで生放送がある時間帯は、そっちを見ています。

ryuousen201303.jpg昨日は竜王戦3局、渡辺vs森内。珍しく1局2局を渡辺が落としたので、ここで1つ返さないと按配悪いという進行。ところが序盤はその1局2局となんかまったく同じ戦法をたどったそうです。どっちも頑固なんですね。「アレで悪かったはずがない!」と、意地はって進めると、相手のほうも「なにを生意気な」と同手順にする。こういう部分、けっこう好きです。自分の非を認めるのがてんから嫌いな連中なんでしょう。

で、昨日は渡辺得意の「(守りが)固く・細く・切れない」攻めが、結果的に成功した。肉を切らせて骨を絶つ。いかにも無理攻めふうの雰囲気だったんですが、素人から見ると曲芸みたいな指しまわしで、あれれれれっ・・と勝ってしまった。ひぇーと感嘆。これが渡辺将棋の醍醐味です。面白い勝負でした。

次の対局はまたさ来週。楽しみです。金のとれる勝負(払ってないけど)って、あるんですね。

先日、市ヶ谷へ所用。久しぶりに神楽坂へまわろうと思ったのですが、あんがい乗り継ぎが不便です。正しくはJR市ヶ谷から飯田橋まで1区間乗り、そこから地下鉄で神楽坂というのが筋なんでしょうが、実は飯田橋での乗り継ぎがけっこう歩く。

幸い天気もいいのでショートカットして歩くことにしました。目的は地は神楽坂通りの真ん中あたりです。

市ヶ谷駅から橋を渡ってお堀沿いに少し歩き、大日本印刷の看板を過ぎたあたりから住宅地に左折する。牛込通りというのかな、正式な名前は知りません。坂をだらだら登って、適当なところで今度は右折する。ちょっと古びた住宅街をいいかげんに曲がったり下りたり上がったりしていると神楽坂の真ん中へんにひょこっと出ました。20~30分くらいですかね。たいした時間ではなかったです。

出たところにPAULがあったんで(前からあったっけ)バゲットを1本。混んでいました。少し坂を降りて五十番で肉まんを5つ。ここもオバはんたちで混んでいました。神楽坂商店街、平日でもけっこう人出が多いです。

で、ちょっと厚着してたせいか汗をかいてしまった。

たぶんそのせいでしょう。翌日から不調。風邪ひき。通常パターンなら必ず鼻水から開始なのに、この風邪はいきなり熱が出る。翌日は39度近くまでいきました。関節も痛まないし、喉も痛くならない。頭痛もない。ただ、熱。これくらい熱がでると歩くのが不便になります。やたらフラフラして、かなり注意していても転びそうになる。

背筋が弱って、平衡感覚が乱調で、物との距離感覚がへんになる。ベッドから起き上がるのが苦労で、スリッパ履いて立ち上がるのも大変。転倒するとみっともないので、かなり注意深く動くんですが、それでも危ない。

結局、3日間ほど寝てました。すっかり寝飽きました。で、最後は汗をかいて回復。

わかったこと。

たった3度近く体温が上昇するだけで人間の体はずいぶん不自由になる。食べ物がちっとも美味しくない。文字通り砂を噛むような味になる。白湯がいちばん美味しい。思考が定まらない。活字が読めない。テレビも見たくない。コーヒーカップに湯を注ごうとするだけでヤカンの口がカチカチ当たる。ほんと、役にたたないもんです。

パソコンの熱暴走みたいなもんで、あっちこっちが訳わからなります。よく聞く、オレは病気なんかに負けないぞ!という方、すごいですね。この点、どうも自信がなくなりました。

人間、健康が第一ですわな。

先月も内幸町のホテルで恒例の兄弟昼食会。ホテル名をいうと「豪華だなあ」と言われることが多いのですが、ディナーじゃなくてランチ、それもバイキングなんで、それほど高くはないです。今年はワインも1本だったし。高くはないけど、安くもないか。

兄姉のみなさん、元気でした。上は80歳過ぎ、下も四捨五入すると80という歳だけど、ほんと元気。とくに姉なんか、山盛りの皿を3回くらいはお代わりしていた。見ていて心配になるほど。本人は「いまでもプールは1000メートル泳ぐ」とか豪語してるし、民謡で入賞したとかケータイの写真をみんなに見せて自慢してる。戦前生まれは強い。体力があるんです。

kashimaya.jpgその姉から数日後、梅干しが届きました。採れた年度が違う2種類、梅酢、梅ジュース、梅味噌。ずっしりした宅急便です。これは正直、ほくほく嬉しいです。手作りの酸っぱくて塩っぱい梅干し。そう、ジャムは濃厚に甘いのが美味いし、梅干しは塩の効いたのが美味しい。

恒例の加島屋への新巻き注文も「いつも通り少し塩をきかせて」と添え文しました。デフォルトだとちょっと甘めなんです。

もちろん、スーパーなんかで買う塩鮭の「甘塩」はまったく問題外です。ただし辛塩と称する、単に塩をなすり付けた代物はもっといけません。塩が辛いだけ。やっぱ、すり入れた塩が身に馴染んだものが美味しいですよね。

そうそう別件。カメラに凝っている2番目の兄、キャノンのPowerShot G1 Xでした。てっきり一眼かと思っていたら、いわゆる高級コンデジですね。たしかセンサーが大きいモデルです。

重さが500g程度のものと思ったけど、持たせてもらうとそれほどの重量でもない。設定次第ですがメモリ4ギガを入れて、撮影可能枚数2000枚とか。あは、2000枚ですか。連写で撮って、いらないのを捨てたりもするんだと言うておりました。

以上、身辺雑記。メモ代わりに。

吾妻ひでおの「失踪日記2 アル中病棟」を読んで思ったこと。

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読んでるあいだ何かをぼんやり感じてたんですが、それが何だったのか。なんせトシなんではっきりしなかった。だいぶ時間がたってからようやく気がつきました。そうだったのか。

「集団生活」です。子供時代なら林間学校とか合宿とか。サラリーマンなら泊まり掛けの研修とか。あるいは長期の入院生活とか。あまり知らない人間同士がせまい空間で気を使いながらの生活。

年齢を重ねるにつれて、こういう集団生活の場は少なくなる。けっこうなことです。人間がどんどん狭量わがままになってるんで、たとえばこれから軍隊にでも入れられたら辛いだろうなあ。飯の不味いのは比較的我慢できるし、時間を決められた行動もなんとかこなせる。その空間でのルールをなるべく早く習得して、可能な限り快適に過ごすノウハウもたぶん持っている。でもアホ軍曹に理不尽ないいがかりでビンタ張られて我慢するのは悔しいだろうなあ。そもそも体力が限界まで減退してるし。

どっちにしても長期は無理。せいぜい1週間とか2週間が限度でしょうね。猛烈にストレスがたまる。

先日、定期検診で病院に行きました。待合室で座っていると、受付あたりでやけに大きな声で看護師としゃべっている男がいる。べつに変な人ではなく、単に声が明瞭かつ大きいんです。語尾も非常にはっきりしている。けっこう離れていても、話の内容がビンビン聞こえてくる。たとえば消防士とか建設現場とか、はっきり大きな声を出す習慣のある人なんでしょ、きっと。有能な営業マンなのかもしれない。

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とくに悪い人ではないし、男らしいタイプなんでしょうが、でもこんな人がいつも傍にいたらけっこう疲れるだろうなあ・・とぼんやり思いました。

集団生活では、いろんなタイプの人間と折り合いをつけながら暮らさなければならない。今でもある程度はできそうな気がするけど、それが長くなったら辛い。

「失踪日記2 アル中病棟」の吾妻さんも、他の患者やスタッフたちとけっこう丸く付き合っていたようです。病院だって経営利益が大切だし、看護師もいろいろ。馬鹿馬鹿しいことや理不尽なことは山ほどあるけど、だいたい人生なんてそんなものです。おまけにアル中病棟の入院生活は壊れかかった患者や自暴自棄の患者ばっかり。一見まともそうに見えても、ほんとうにまともな人なんてまずいないでしょう。みんな激しいストレスと底無しの恐怖をかかえているからアル中になるわけで、退院してからも80%はまた戻ってくるんだそうです。何回も入退院を繰り返しているうちにのたれ死にする。つまり生還率はわずか20%

そんな爆弾かかえた患者同士の共同生活はかなり酷いです。詐欺師まがいもいるし、人格破綻者もいる、暴れるのもいる。おまけに週替わりの役員に選出されたり、当番などの雑事もある。反省会のような集会にも出席しないといけない。てきとうに嘘も言わないといけない。集団生活では偽善も重要です。

吾妻ひでおセンセもけっこう円満に折り合いをつけてたようなんですが、でもだんだん苛立ちがつのってきて、最後の方では何回かブチキレになってます。マンガなんで軽く描いてるけど、かなりあったんだろうな、きっと。こういうブチギレ、いきなり理不尽に噴出してるんですね。理屈で怒ってるんじゃなくて感情の爆発。だからたぶん周囲から見たら訳がわからない。

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マンガの最終ページでは、そうしたアル中病棟をなんとか退院して、通常の喧騒の街に戻ってくる。社会復帰。枯れ葉が舞い、バスが走り、女子高生がぺちゃくちゃ話ながら通りすぎ、酔っぱらいが騒いでいる。そんな都会の街を、ちょっと下向いて吾妻ひでおが歩いていく。もちろん現実の吾妻日出夫はかなり大柄で(たぶん)根暗そうに見える、分別臭そうなオヤジです、たぶん。


話は違いますが今回の定期検診。人の声が聞こえにくくなったような気がします。明瞭に話してくれるぶんには問題ないんですが、たとえば視力検査機の小さなスピーカーが単調な音声で「上にあるレバーに右手をあてて画面のマルのなんとか・・」とか、ボソボソ説明してるのを聞き漏らす。聴力が落ちたんではなく、集中力が欠けてきたんでしょうね。看護師が「あそこの椅子に腰掛けて説明を・・」とか早口で言うのがよく聞き取れなかったりもする。

そういえば上部内視鏡の麻酔も今回はやけに効いた。検査室で横になって、点滴管を差して、口に突っ込んできたな、ウェ!・・と思ったら、その1秒後には休憩室で寝ていた。あれ、部屋が違うぞとかなりびっくりしました。ストレッチで運ばれたんではないと思います。たぶん検査が終わってからは自分で立ち上がって、看護師に支えられながら歩いて移動したんでしょう。ただし、その記憶が完全にゼロ。

ゼロってのは、かなり気味が悪いですね。ボンヤリでも覚えていればいいんですが、なにもない。空白。麻酔薬の1滴か2滴で人間の記憶なんてどうにでもできる。よくあるSFの設定ですが、ほんとうにそうなんだなあ。これも唐突ですが、ハンニバルのレクター博士といっしょに暮らしている(ブエノスアイレスだったっけ)クラリスも、なにか強力な薬を処方されてましたよね。人肉嗜好の殺人鬼と暮らす酒と快楽の日々をクラリスは記憶しているんだろうか。

そんなとりとめもないことを連想。意味ないですが、いちおうメモしときます。ダブル台風が接近とかで、今日も雨。

先日読んだ「罪人を召し出せ」。英国16世紀のトマス・クロムウェルのお話ですが、アン・ブーリン裁判に絡んで「彼は貴族だから拷問はできない」という記述がありました。どうしても拷問したい場合は王の許可状が必要なんだそうです。

したがって、たとえば宮廷楽士のマーク・スミートンの尋問。こちらは単なる庶民なので、やろうとすれば簡単に拷問可能です。だからスミートンはいろいろ自白しましたが「どうせ拷問されて苦し紛れに吐いたんだろう」とみんな思ったわけです。

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しかしたとえばアンの兄(弟)、ジョージはロッチフォード子爵です。父親はアンのおかげとはいえ一応は伯爵になっている。とうぜん、彼を拷問することはできない。なんとなく納得はできるものの、でも、何故なんでしょう。

考えてみましたが、やっぱ、貴族連中はみんな仲間だったからでしょうかね。日本なら戦国大名かな。たまたま家康が天下をとったからといって、他の大名諸侯も格としては同列です。世が世なら彼が天下を制覇したかもしれない。徳川ン百万石も田舎の数万石領主も、たまたまの運不運の結果でしかなく、可能性としては同列同僚。そうした気分が「拷問すべきではない」という暗黙ルールになった。

ま、建前としては「貴族やジェントルマンは嘘をつかないはず」という考え方もあったかもしれません。要するに、魂を持ったまっとうな人間。庶民なんて嘘つきで高貴な魂なんてなかったんでしょね、きっと。

そういえば、幕末の土佐勤皇党、武市半平太の処分。まっさきに岡田以蔵がつかまって拷問にあって打ち首獄門となった。以蔵、もとは郷士という話もありますが、その後に足軽身分になったという記述もある。では足軽は武士なのかどうか。同じ下っぱでも中間小者はたんなる使用人ですが、足軽はいちおう武士です。

あるいは、幕吏に逮捕されたとき以蔵を土佐藩が「そんな家来はいない」とシラをきった経緯があったらしいですが、それで無宿者あつかいとなり、故に(なんか矛盾してますが)土佐藩が拷問することもも可能だったのか。論理がややこしい。

この見方を反対から眺めると、貴族や武士は有罪であろうとなかろうと「有罪である!」と言われたらもう最後。おとなしく従うしかない。日本なら切腹。英国なら斬首。従うのがいやなら抗命して戦うしかないですわな。ま、反逆して死ぬのは大罪ではあるものの、名誉は傷つかないみたいですから。

渡辺崋山だったか、たぶん鳥居耀蔵あたりの取り調べを受けて「恐れ入ったか!」と尋ねられる記述がなんかの本にありました。杉浦明平だったかな。

ようするに「はい。恐れ入りました」と返事をすると、罪を受け入れたことになるんですね。罪を受け入れたのなら、取り調べの奉行も「殊勝である。そんならコレコレの罪に処す」と命令できる。ところが被告人が「恐れ入らない!」と抵抗すると、非常に困る。

イヤだと抵抗する人間を制圧するには拷問しかないんだけど、他藩の上級武士である崋山を石責めするわけにはいかないんです。だからあくまで論理的、あるいは精神的に責めるしかない。あるいは、渡辺崋山の場合だったら所属の田原藩を脅かすしかない。脅された藩の老職たちが、本人を「これ以上抵抗すると藩の迷惑になる」と説得するしかない。

ま、たいていの場合はこれで解決するんですよね。周囲に迷惑をかけ続けてもいい!と意地を通して頑張り続ける人はあまりいない。

「罪人を召し出せ」でも、みんな家族のことを考えて最後は諦めてます。「自分は無実だ」「証拠はない」「でも無実を主張しても通らない」「抵抗して死ぬと妻子が路頭に迷う」「自分が犠牲になるかわりに所領は子供に継がせてほしい」・・・。だいたいこんな道筋。

ただしアン・ブーリンがなぜ罪を受け入れたか、それは不明。首を斬られるまえに無実を訴える感動的な演説をしたとされる説もありますが、「罪人を召し出せ」作者のヒラリー・マンテルは否定的なようです。だいたいアン・ブーリンに関しては分からないことが多すぎる。残った文書のほとんどは矛盾していたり飛躍があったりで、たいてい信用できない。

定説が信用できないという意味では、極めつけの悪人とされるリチャード3世の無実を証明した小説、ジョセフィン・テイの「時の娘」が有名ですね。そのリチャード3世をボズワースの戦いで殺したのがヘンリー・テューダー。つまり後のヘンリー7世で、今回のヘンリー8世の父親。ただし「時の娘」ではリチャード3世の醜い体型についても疑問を提していたような気がしますが、去年教会跡地で発掘されたリチャード3世の背骨は湾曲していたという報道がありました。誇張はあったもののシェークスピアの描写はあながち嘘ではなかった。

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