「とびきり哀しいスコットランド史 」 フランク・レンウィック

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筑摩書房 ★★

大昔、どこかの書評で見たような気もする。先週たまたま会社の所属部署が引っ越しをすることになったが、例によって業者の手順が狂い、何もできない空白時間が生まれた。要するに机も電話もない、PCも使えない、整理する荷物もまだ搬入されない・・・という時間。仕方がないので書店に行って暇つぶし本を探したら、偶然これに当たったという次第だ。で、オフィスの隅っこに座っていざページを開いたら、急に他の連中が机を運んだりし始めたので、仕方なく世間のギリで一応手伝うフリなどするはめになり、結局読む暇がなくなってしまった。

原題は「SCOTLAND, BLOODY SCOTLAND」。ま、哀しいスコットランドの歴史です。哀しいというのは悲惨ということではなく、同情する価値さえあるやらないやらの頑迷な国情とワンパターンの混乱の歴史。故に「哀しい」という表記になったらしい。

ページ数も少ないイラスト入りだけど、寝る前とか、ちょっと時間のあるときとか適当にパラパラ読んでいたら、1週間もかかってしまった。ま、可もなく不可もないといった、それなりの本。書いたのはスコットランドの男爵らしい。自国の嘆かわしい歴史を淡々と、ちょっと自虐的なウィットでつづっている。

これも大昔、スコットランドをレンタカーでうろついたことを思いだした。グラスゴーから車(ただし私は運転せず。助手席)で薄暗いネス湖を経由し、なんと最北のインバネスまで行ってしまった。スコットランド銀行発行の独自紙幣があって、これはイングランドに戻ると使えないと言われた。ただし、イングランド紙幣はもちろんスコットランドでも通用する。

そのとき案内をしてくれた人が途中で「今通っているのがボーダー。国境です」と教えてくれたが、確かに一山上がった感じがあって、以後はいっそう貧しい風景になったことを覚えている。

17世紀か18世紀あたり(もう忘れた)に最後の反乱が起こり、例のハイランドの戦士(ナントカ・ハイランダースという軍だったような気がする。当然毛ズネ足キルト姿の騒々しい軍だったんだろうな)がバグパイプを吹きながら華々しく全滅して、スコットランドの独立はオシマイ。そういえば北海油田の成功で、また独立機運が高まってきたという噂も前に聞いたけど、どうなったんだろう。