「イギリスの妖精」 K・ブリッグス 

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筑摩書房 ★★


igirisuno.jpg副題は「フォークロアと文学」。よく知らないのですがブリッグスという人、このジャンルでは定評のある研究者らしく、堅い真面目な本です。ファンタジーがすごく好きでつい手にとってみた・・という読者にはとっつきにくい内容でしょう。

と、偉そうに書いてる私も、けっこう手こずりました。そもそもの素養がないからなー。ゴブリン、フェアリー、インプ、ブラウニー、ドワーフ、エルフ、シルフ・・・あとは知らない、という程度。

なんとなくブラウニーというのは家にいて、よい事もしてくれる妖精というイメージはありましたが、読んでみると面白い。妖精と付き合うのはそれなりに大変なんですね。気がむくと家事を手伝ってくれるけど、お礼には最上のクリームを容器に入れて暖炉の上に置いておかなければならない。感謝しないと怒るし、といってへんにお礼を言ったりするとヘソを曲げるし、感謝の気持ちで着るものを作ってあげても素材が粗末だといって文句をいったり、あるいは上等の衣服でも「もういなくなれってことか!」と怒って消えたり。

だいだいは小さな連中のようです。小はキリギリス大、親指大からせいぜいで子供程度。岩山の内部に宮殿があって、月夜は丘の上で踊ったり、歌ったりする。日本のコブ取り爺さんのような話も多々あるようです。ま、日本にすれば河童とか天狗とか、狸みたいなイメージなんでしょうかね。キリスト教の立場からは「悪魔の手先」と毛嫌いされているけど、民間には根強く残っている。

そういえばあのジャンヌ・ダルクも村外れの泉で妖精のダンスを見たということ読んだ記憶もあります。感受性のある人には彼らの存在が感知できるのでしょう。

なかなかに勉強になりました。