サウンドトラック」

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集英社 ★★

soundt.jpg

読み終えて表紙を撮影。フォルダに入れようとしたら「上書きしますか?」のメッセージが出た。え?とチェックしたら、今年の1月に同じ表紙画像を(それも同じ soundt.jpgという名称)入れていたことがわかった。

要するに8カ月前、いったん読みかけて挫折していたということのようです。ひどいものだ。なーんにも覚えていない。

で、この本。うーん、古川日出男という人、魅力ある設定で魅力あるストーリーを展開し始めるんだけど、必ず途中からおかしくなる。今回の「サウンドトラック」も二人の子供が孤島で生き延び、片方は音楽を憎悪、片方は身体を動かす=舞うという強迫観念にとりつかれてしまう。

これからどうなるのかなーと思っていると、結局どうにもならない。熱帯化した近未来のトーキョーを舞台にこの二人が勝手にアホをやりつづける。トウタはアンダーグラウンドで生き続け、ヒツジコはカトリックの学園でダンスの巫女となる。そこにアラブの少女(少年)が絡んで、なんだか知らんけどカラスに惚れてしまい。ついでに映画を撮る。古川作品って、映像とか音楽に奇妙なトラウマありますね、いつも。

完全に分裂、混乱してしまった失敗作でしょう。部分部分には面白い味があって、それが古川日出男の魅力ではあるのですが。そういえば「13」も「アラビアの夜の種族」も、みんな失敗作といえなくもないような気がします。