老境

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終日雨

老いて何が欲しいか。夕暮れのベランダでふと考えた。

眼前の景色。

そうですね。眺めが欲しいです。ある程度の広がりの眺望と、風に揺れる木々。木は一本でもかまいません。平凡な桜でもいいし、なんならポプラでも黒松でもいい。杉は嫌です。枝葉が風に揺れ、葉っぱの間に雀やカラスの遊んでいる姿が時々かいま見える。ま、そんな程度の自然。

で腰を下ろせる椅子があり、美味しいコーヒーでもすすりながら煙草をくゆらす。ぼーっと30分でも1時間でも眺めている。背後の家の中にはやはり奥さんなり子供なりがいたほうが安心ですね。

腰を下ろすのは戸外でなくてもかまいません。肘枕してガラス越しに外を眺めているのでもいい。目が重くなったらうとうとまどろむ。ここまで行くと極楽になってしまうか。

夕暮れの頃、ベランダから眼下の紅葉がかった桜を眺めながらとりとりめもなく、そんなことを思いふけりました。10月末とは思えぬ風の冷たさに体が冷え、ほんの10分ほどで室内へ退散しましたが。

補足
大事なことを忘れていた。本は必須ですね。読み進むのが楽しみな本、数冊。活字を追える視力。これがないと人生はやはり寂しいでしょう。