「フランス史」

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山川出版 ★★

 

france-his2.jpgほんの数週前、フランス中央部、旧ブルゴーニュ公国の首都だったディジョンという町に4泊しました。で、案内書の類を読むとやたら出てくるのが歴代のブルゴーニュ大公たちの名前。フィリップ善良公とか、フィリップ豪胆公、ジャン無畏公などなど。

この頃のブルゴーニュ大公というと、例のジャンヌ・ダルク映画に登場する悪役ですわな。よくわからんけど偉そうで、シャルル王太子を脅かしたり、すかしたり、イングランドと結託したり。この公国、フランドルのほうにも領地があったらしく、なんかの戦争の戦利品で仕掛け時計を持ち帰って、市街中心の教会の上に飾って誇示している。時刻になると人形が動きます。ジャックマールというらしいです。(私の泊まったのも・ホテル・ジャックマールでした)

france-his1.jpgそういわけで、私は何も知らない。あんまり無知なのも腹がたつのでフランス史を二冊、通読してみました。世界各国史のフランス編と、世界歴史大系のフランス第1巻です。

いやー、思った通り実にややこしい。100年戦争のころですね。フランス国王派とブルゴーニュ派とアルマニャック派とイングランドと、三つ巴、四つ巴になって離反したり取引したり勝ったり負けたり。それぞれが独立国でもあり、臣従の関係でもあり、縁戚でもあり。まったくグチャグチャしています。こんな状況で「フランスのために!」とか叫んで百合の花の旗をもってシンプル頭の田舎娘が乗り込んできたら、そりゃ周囲は困惑します。

ということは理解できました。でも詳細な部分はあいかわらず不明です。そうですね、たとえば日本の室町時代とか南北朝初期あたりの政治事情を詳細に解説した歴史書があったら、やっぱりこんな具合でしょう。単純に日野富子が悪いとか、大塔宮は可哀相だなどと単純なことは言っていられない。

少なくも映画や小説では頼りなくて小心でズルそうなシャルル七世(ジャンヌがランスで戴冠させた)、実はそんなにアホでもなかったというのが、大方の歴史家の評価のようです。