「三国志激戦録」三好徹

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★★ 光文社

sangokushigekisen.jpg三国志ものをいろいろ書いてる三好徹ですが、これは「余りもの」の人物列伝といった感じです。
ここだけは強調しておきたいなあ・・といった余祿。

まず呂布から始まり、ずーっときて最後は孫権あたり。したがって、引用の原典なんかもかなりダブっています。下手すると同じような記述が何カ所も出てくる。

こうした群雄英雄たちの死で三国鼎立の実質は終わります。実際には劉備が死んでから諸葛亮の没まで11年あるし、完全に蜀漢が滅びるのはそこからさらに30年くらい後です。

魏も存続したのは45年間。呉はなんだかんだで60年近い。英雄たちが死んだあともズルズルダラダラ継続してわけです。でも後世、そんなことにはだーれも関心も持たない。

そうそう。面白かったのは曹操の詩「歩出夏門行」の有名な部分。

 老驥伏櫪  (老驥は櫪に伏すも)
 志在千里  (志 千里に在り)
 烈士暮年  (烈士 暮年)
 壮心不已  (壮心 已まず)

これが中国の(なんか忘れたが)なんかの底本では「老驥」ではなく」「驥老」だというお話。「老驥」と「驥老」では、同じようなもんですが、ちょっとニュアンスが変わる。

したがって「老驥 櫪に伏すも」ではなく「驥 老いて櫪に伏すも」という読み下しになるのかな、たぶん。「老いた駿馬が馬小屋に伏しても」ではなく「駿馬が老いて馬小屋に伏しても」という解釈。

「時間の流れ」という要素が加わるというんですね。もしこれが本当なら面白い。三好さんの言い分では、どこかでアホが手を加えて「老驥」にしてしまった。

そうそう。呂布。日本ではそこそこ人気があると思うんですが、本場中国では基本的に不人気なんだそうですね。やっぱ節操なく裏切りばっかりしてたからでしょうか。そもそもを言うなら、なんで劉備は人気あるのかも不思議でしょうがないんですけど。