「中原の虹」 1.2.3.4 浅田次郎

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chugennoniji.jpg★★★ 講談社

「蒼穹の昴」「珍妃の井戸」「中原の虹」「マンチュリアン・リポート」と続くシリーズの3作目(「珍妃の井戸」は未読)。

『中原の虹』の主人公は張作霖ですね。満州の馬賊・軍閥で、たぶん関東軍に謀殺された。その程度しか知識はなかったです。なんか拳銃もった髭面の荒っぽい男の雰囲気。

4巻の長大な本です。小説としては正直ちょっと「?」な部分も多いです。例によって神秘の龍玉をめぐる争いとか、占い婆さんとか、やけに壮大に描こう読ませよう泣かせようという意図が垣間見えるのが傷です。ま、浅田次郎の小説、みんなそうですね。ただし書き方は実に巧いんで、つい読んでしまうし、特に読んで後悔はしない。

ただフラッシュバックとかクロスカッティングという手法でしょうか、張作霖の行動と、清の草創期、女真の南攻(長城越え)を交互に描いてるのは、少し煩雑な感じがしました。

そうしたこととは別に、歴史の勉強にはなりましたね。袁世凱がどうやって皇帝になろうとしたか、どうして挫折したか。当時の孫文の位置づけ。関東軍。ちょっと綺麗ごとすぎるけど張作霖という男の雰囲気。

どうでもいいことですが、天子の印の龍玉を手に入れた張作霖はなぜ死んだんでしょうかね。あるいは龍玉を受け継いだ息子の張学良もなぜうまくいかなかったのか。このへんは説明がなかったようです。ツジツマが合わなくなったか。

これも蛇足ですが、後に張学良が蒋介石を捕まえた西安事件。これは結果的に危機的状態だった紅軍の延命に繋がったと何かで読みました。そうか、当時の共産軍がそんなに追い詰められていたとは知らなかった・・。要するに現在の共産中国にとって張学良は大恩人ですね。(高校時代の社会科教師は「長征によって民衆の支持を得て毛沢東はナントカカントカ・・・」と力説。なんか話がおかしいなあとは感じていたものですが)

ちなみに張学良は事件の後、蒋介石(腹たててただろうな)に逮捕され、内戦敗退後は台湾まで拉致、軟禁。死刑にはならず100歳まで長生きしたそうです。最後はハワイで没。